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習近平政権の孫文にたいする歴史評価の新側面(校正)

2016年11月19日 | Weblog

中国共産党の孫文評価は、中国共産党の現在地がよくわかる資料となる。

毛沢東は、孫文の三民主義を尊重し、新三民主義を唱えた。特に、ロシアの共産主義、レーニン、スターリンの教科書を丸写しにするのではなく、中国の独自の社会主義を目指した点で、孫文と毛沢東は、師弟関係に近い存在だった。中国共産党が一時のロシア派から、中国独自派へと大転換できたのは、孫文の社会主義思想を重んじ、その延長線を選んだからである。それで、毛沢東はマルクス主義の中国化に成功した。

鄧小平は、毛沢東の人民公社を基盤とする精神主義的な共産化運動を否定し、孫文の強い民族主義国家への提言を継承するという中国革命の原点に立ち返った。それで、鄧小平により中国への孫文の貢献を評価することは、中国共産党の党是となった。

江沢民は生産力を高めることが共産主義だという立場で、過剰生産で経済不振となる原因をもたらした。胡錦濤は、はっきりと孫文を先行者として敬意を述べながらも、孫文革命の不備を指摘し、中国共産党の孫文主義に対する優位性を強調した。習近平の孫文評価は、どうなるのか?

習近平の政権は、今年2016年、孫文生誕150周年の中共中央主催の記念式典において、孫文をいかに再評価したのか?基本は、鄧小平の孫文評価と同じである。孫文の「建国方略」による革命の未達に加え、特に孫文の「革命未だならず」という遺言を強調した。それは、中国国民党の党員にも、中国共産党の党員にも当てはまる革命党人の精神の腐敗、という現状への危機感の反映でもある。

習近平政権は、中国古代の思想では「孟子」より「荀子」を重んじ、「強国」主義の旗を掲げてきた。中国近代では、誰のどの思想を基点とするのか、特に孫文思想に対する習近平個人の独自な見方が注目されていた。基本は、鄧小平の孫文観を継承し、鄧小平の物質建設を重視した立場を集成した。と同時に、孫文の革命の「精神建設」という精神の面を前に押し出した。結果として、孫文生誕150周年の記念式典での習近平の講話は、官僚の腐敗を裁くための、革命精神の原点を孫文におくことで、「モノがたくさんある」だけが社会主義ではなく、貧困農民を救うための強国となる、という孫文の中華大国への夢を継承するカリスマとしての道を宣言したことになる。党の機関で、正式に習近平が「中核」として、一段高い「思想家」としてデビューした瞬間でもある。物資主義から精神主義への回帰である。なお、これは孫文評価という1点に限った話である。

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