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平壌の制圧へ

2017年09月24日 | Weblog

第2次の朝鮮戦争を予想する向きもあり、その場合、北から数十万の難民の発生を想定する政治家、例えば、麻生副総理、事態はそうならない。アメリカの最高の軍人であるマティス国防長官は、極めて高度な軍事学の専門知識を駆使しているので、もし、軍事的な攻撃では、ピンポイントで金正恩の個人の孤立化を緻密に構築する政治、経済の外堀、内堀を埋める策に徹している。トランプの口攻撃は、敵のミスを誘い出すためのシステムの一部にすぎない。

9月より成功したのは、金融制裁による石油供給のパイプを締め上げることである。中国企業とロシア企業が、ドルベースのアメリカ系銀行との取引関係の持続か、断絶かを迫られ、中国企業、ロシア企業が、アメリカ系銀行の取引口座を保全するために、北朝鮮の企業との取引口座を凍結し始めたことである。

北朝鮮の欠点は、石油を自給自足できない国内経済の最大の制約条件を明らかにし、石油に依存しない自主防衛のためのエネルギー循環を構築してこなかったことにある。本質的に、「主体」思想による自主防衛の根本を怠ったことにある。アメリカ軍が世界の歴史に貢献できたのは、そのロジスティクス・マネジメントを軍事科学の基本におき、政治工作の基本に心理学を置くなど、文科系の学問を軍事科学のベースにしているからである。「主体」思想が、民衆の思想として体現されていたら、その呪いを解くのは困難である。エネルギーの自給自足策を深めるために国民の一人一人の英知が積み上げられたなら、それは可能である。アメリカ軍は、北朝鮮のロジスティクス・マネジメントを分析し、遂に、北朝鮮への石油供給のバルブが、中国、ロシアの石油企業にあるのではなく、最上位にある金融の決裁メカニズムにあることを正確に探知した。アメリカ国防省は、その内部に独自にロジスティクス部門を擁し、ピンポイントでマテリアル・フローの情報を把握し、行動できる総合商社機能を備えている。

アメリカにおける第2次朝鮮戦争は、30分以内、ピンポイントの攻撃で完了する軍事行動の実効性に絞りこまれている。北朝鮮は、「主体」思想により、自国の領空の制空権を確保できていない。これが第2の弱点である。従って、戦略爆撃機から守るための自国領空の防衛は、迎撃ミサイルに絞られた。そこから、攻撃もミサイル依存に一気に傾き、現在に至っている。そして、陸上兵力も、アメリカの平壌のピンポイント攻撃を迎撃する受け身の形に固定化し、他方で、ソウルへのピンポイントの先制攻撃に神経が集中している。

平城の制圧には、最低でも、100週間(700日)の細密な作業工程を必要とする。世界最新のロジスティクス・マネジメントのAI頭脳を駆使すれば、アメリカ軍は戦わないで勝利する「平壌制圧」に向け、原油価格、ドル価格の高め誘導、石炭・レアーメタルの価格の押し下げ、緻密なアジア・アフリカ通商外交に取り組んでいる。すでに、巨象であるアメリカは、ようやく最大機能の40%程度の対北朝鮮へのインテリジェンス能力を発揮し始めている。北朝鮮には、経済戦争に勝てる保証はゼロ、制空権はゼロ、ミサイル唯武器思想による自己制約のトラップ、全ての敗北条件を整えてた。金正恩の敗北原因は、「主体思想」を唯武器論にすり替えたことである。

 

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