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経済成長率を唯一の尺度とする経済論について

2017年07月27日 | Weblog

国民総生産、もしくは国内総生産の対前年比を指標とする経済論への疑問が正面から語られている。低成長か、マイナス成長というシグナルは、確かに危険信号である。だから、そこから目を背けるのは、専門に経済学を学んだ人材が犯してはならないワナである。

経済成長率の理論の創始者は、アダム・スミスである。特に、「諸国民の富」の序論は、見事な解説的な定義である。と、同時に、日本人の誤読はいまだに続いている。平気で、経済成長を指標とする経済論を否定する書物が横行する。

そこを読み込むと、経済成長率の計算よりも、完全に定式化されているのが雇用率である。言い換えると、「完全雇用」に近づくこと、そして、成長の原動力は、市場ニーズを汲み取り、実現する専門的なサービスの質量である。アダム・スミスは、すでに「道徳感情論」を完成させ、その各論をして、経済の自然の秩序に取り組んだ。それが、「諸国民の富」である。経済活動の達成目標は、「国民総福祉の実現」である。だから、不完全な国民医療保険制度しかないアメリカ、中国は、GDP規模では世界第一位、第二位であるが、第三位の日本の雇用と医療を見れば、実質世界第1位である。雇用と医療は、人としての類的な共感という感情性の道徳律の理論と見事につながっている。

だから、そもそも経済成長率を唯一の指標とした議論は、少なくともアダム・スミス経済学のPLANには無かったわけである。全人口に対して、有用な仕事に従事する人々の割合と、国民の資質(教育到達)が問題とされる。

アメリカの雇用統計が、毎月、毎月、プロから注目される。日本では、年功序列型の賃金制度から、専門部署の職能に合わせた制度改革の途上にある。企業の人事制度の改革が、企業と社会とを結び、企業の成長のカギをにぎっている。スミスの説いた「成長の原動力は、市場ニーズを汲み取り、実現する専門的なサービスの質量」(技能、練度、判断力)は、働き方改革と課題が重なる。なお、岩波文庫では、まだ、誤訳がのこれており、下線部は原書でしか読み解けない。経済成長は、人として成長と深くつながっている。

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