東葛人的視点

ITを中心にインダストリーをウォッチ

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「東葛人的視点」を移転します

2005-06-01 10:41:19 | お知らせ
 2004年7月から書き続けてきた「東葛人的視点」ですが、日経BP社のブログサイトに移転します。テーマや切り口、文体、投稿頻度(週2~3回)などは変えるつもりはありませんので、今まで同様お付き合いいただければ幸いです。新しい「東葛人的視点」はこちらからどうぞ。

 この旧・東葛人的視点のコンテンツはこのまま残しておきます。当然、これまでいただいたコメントやトラックバックもそのままです。今後ともよろしくお願いします。
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IT企業の売上計上基準が明確に、次なる課題はユーザーとの契約の明確化

2005-05-27 11:15:47 | ITビジネス
 今日の日本経済新聞1面トップの「情報ソフト関連企業 会計処理にルール」は、オンスケジュールの話。今年3月に日本公認会計士協会が「情報サービス産業における監査上の諸問題について」を発表した際に、企業会計基準委員会に具体的な収益の認識基準、つまり総額・純額表示の区分、収益の認識時点などに関する基準を作るように要請するとしており、このニュースはそれを受けた動きだ。

 ITサービス会社の不透明な売上計上の問題については何度も書いたので、ここではあまり繰り返さない。とにかく「これは総額ではなく、手数料(純額)のみを計上」「売上が立ったのはこの時点」という基準ができるわけだから、不透明な会計処理に強力な抑止力になるだろう。

 ひと昔前までIT業界の営業現場では、ライバル企業の営業同士ですら、お互いの売上成績を膨らませるために実態の伴わない取引を行う「名板貸し」が常態化していたという。こうした取引は、右上がりの時代、売上至上主義の時代ならではのものだ。昨年は、その残滓がメディア・リンクス事件などの形で燃え上がったわけだ。明確な会計処理の基準ができることで、こうした不透明な取引や会計処理は最終的に消滅するだろう。

 むしろ、依然として問題が残りそうなのが、ユーザー企業との取引関係だ。確かに、システム・インテグレーションやソフト開発において、「システム検収後もソフトの手直しを続けている。さて、売上計上はいつの時点か」といった、会計上の「収益の認識時点」の問題については基準が明確になる。しかし、「システムは完成したが、顧客の都合で検収書を出してもらえない」「システムは完成していないが、とりあえず検収しておこう」といった、極めて曖昧な商慣行は、会計処理基準の明確化だけで解決するものではない。

 これはITベンダーとユーザー企業との契約面での問題だ。曖昧な契約を結び、ITベンダーとユーザー企業がもたれあってきたことが原因で、システム・インテグレーションでの大トラブルにつながるケースは多い。ユーザー企業では、ITベンダーとの訴訟沙汰という大トラブルを経験したJTBが、ITベンダーとの契約の精緻化に取り組んでいるという。IT業界、ITサービス業界のとっても、次なる課題は契約・取引条件の明確化だろう。
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減損会計の強制適用で見えるITサービス会社のストックビジネスの現状

2005-05-24 17:49:35 | ITビジネス
 ITサービス会社の2005年3月期決算は、ある意味“ツッコミどころ満載”だった。今回もやはり、「予期できなかった不採算プロジェクトの発生」や「依然として続く価格引き下げ圧力」のため、業績を下方修正する企業が続出。いわゆる「口座貸し」問題の余波で、売上計上基準を見直したことで“減収”となった企業も数社。完全子会社化されるNEC系の2社など、上場廃止で“最後の決算発表”になった企業もあった。

 なにかITサービス業界の現状を端的に示しているようだ。これらの話に比べると目立たないが、興味深いトピックがほかにもあった。インテックの決算を見ると、今期の業績見通しで当期純利益8億円の赤字(営業利益、経常利益は黒字)と予測しているのだ。なんだろうと思って短信を読んでみると、減損会計の適用で44億円の特別損失を織り込んでいることが分かった。

 そういえば今期、つまり2006年3月期は、固定資産の目減りを損失として顕在化させる減損会計が強制適用される年だ。会計パッケージ・ベンダーやシステム・インテグレータは、減損会計ソリューションなどをユーザー企業に売り込んでいるようだが、当然のことながら自分たちも減損会計の適用から逃れられない。

 ITサービス会社の多くは、“フロービジネスからストックビジネスへ”をスローガンに事業構造の転換を目指してきた。もちろんストックビジネスだからといって、それが即、固定資産の増加に直結するわけでない。しかし、データセンター事業やアウトソーシング事業などを強化すれば固定資産は増える。その資産が本当に将来に渡り利益を生み出すのか。インテックの減損処理の内容は詳しくは知らないが、減損会計は、ITサービス会社のストックビジネスへの取り組みの功劣をあぶり出すかもしれない。
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大手企業のCIOいわく「ITに関してはユーザーはアマチュア」

2005-05-20 15:18:57 | ITビジネス
 大手ユーザー企業のCIOの方の話を聞く機会があった。「情報システムの構築では、プロはITベンダー、ユーザー企業はアマチュアだとお互いに割り切らなければならない」。とても印象に残る言葉だった。IT技術がここまで複雑で拡がりを持つようになった今、中堅・中小企業だけでなく大企業といえども、ユーザー企業がIT技術をハンドリングし続けることは非現実。だから、ITベンダーも「ユーザーの要求が曖昧だったので、要件定義がうまくいかなかった」などとアホなことを言わないで、プロフェッショナルに徹せよというわけだ。

 私は以前から、ユーザー企業自らがシステム開発に携わることが時代にそぐわないと考えていたので、この話は非常に素直に飲み込めた。少し前まで、ユーザー企業にこんな話をすると、「ITベンダーに任せると、とんでもないことになる。情報システム部門が主導しないといけない」と“お叱り”を受けた。でも、これはおかしな話だ。例えば不動産ディベロッパーは、ビル建設を“内製”したりはしない。少なからぬ一級建築士を抱える企業も多いが、ビル建設自体はゼネコンに任せる。他の産業のそういう常識からすると、システム開発=システム部門という図式は、どうもおかしい。

 中堅・中小企業なら、システム開発をすっぱりとITベンダーに任せる企業は多いが、大企業では自社開発にこだわる企業が多かった。しかし、冒頭のCIOの方のように、大企業でもシステム開発はITベンダーの仕事と割り切る企業が増えてきたようだ。ITベンダー、システム・インテグレータはそこのところをしっかりと認識しておかなければならない。相手はアマチュア。曖昧にニーズから、相手が納得できる見積もりを出し、要件を定義し、QCDを満たした成果物を納入しなければいけない。「ユーザーがアホで…」と陰口をたたくようでは、プロとは言えない。

 一方、言うまでもないが、ユーザーの業務に関しては、ITベンダーはアマチュアである。プロに対して「御社の業務改革について…」などと、下手にコンサル営業の真似事などをすると、「差し出がましいことを言うな」と怒られてしまうだろう。実際、そんな目にあったITベンダーの営業の方は多いようである。
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“ITゼネコン”という言葉は、とてつもなく失礼だ!

2005-05-17 20:48:35 | ITビジネス
 最近、コンピュータ・メーカーや大手システム・インテグレータを称して“ITゼネコン”というらしい。しかし、これはとてつもなく失礼な言い方だ。もちろん、建設会社に対して、である。

 少し前だが、ある中堅ゼネコンの情報システム担当者と会ったとき、そのゼネコンの社長がシステム・インテグレータに対して激怒したという話を聞いた。その“事件”の発端自体は、システム開発が遅れ納期に間に合わなくなったという、ITサービス業界にはお馴染みのものだ。しかし、その話を聞いた社長は、担当のシステム・インテグレータを許せなかったという。納期に遅れそうでも、どんなことしてでも間に合わせるのが仕事。その社長の常識からいうと、システムの納期遅れなど信じられない事態だったらしい。

 「ゼネコンのプロジェクト管理能力はすごい。我々はその足元にも及ばない」。大手システム・インテグレータからも、そうした声が漏れてくる。実際、建設業界は法令で厳しい基準が定められていることもあり、プロジェクト管理には恐ろしくシビアだ。システム障害は許してもらえるが、建てたビルが崩れたら建設会社は終わり、それは完成物のシビア度の違いの反映でもある。

よくシステム・インテグレータは「ソフト開発は目に見えないから難しい」と言い訳するが、これはやめた方がよい。建設会社が「高層ビルは高さがあるので難しい」と言い訳するだろうか。失敗の理由を自らの商品の属性に求めるようでは、プロ失格である。

 もちろん、ITゼネコンという言葉は、ITサービス業界の多層下請け構造や、公共分野という名の“公共事業”への依存の深まりという事象を端的に示すための表現である。ただ、ゼネコンの関係者がITサービス業界の実態を知ったら、ITゼネコンという言葉に怒り出すかもしれない。ITサービス業界は建設業界に比べ、プロジェクト管理をはじめ様々な点で遅れている。ITゼネコンと言うのは10年早い-----そんな声が聞こえてきそうだ。
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昔、ITが家電を制覇するという幻想があった…そういえば最近似たような話が

2005-05-16 20:20:28 | ITビジネス
 マイクロソフトがデジタル家電分野で、東芝など日本の家電メーカーと特許を相互利用するクロスライセンスの交渉を進めている-----この週末、様々なメディアを賑わしたニュースだが、私はふと昔の騒動を思い出した。

確か1993~94年ころの話だったと思う。マイクロソフトなどITベンダーが、家電分野を新たな市場と狙い定めて動き出したときだ。家電とコンピュータの融合が進み、というか家電技術がIT技術にリプレースされて、日本の家電メーカーは覇権を失い、マイクロソフトやIBMなどITベンダーがデジタル家電の覇者になる。そんな予測が流れ、こりゃ大変だと結構な騒ぎになった。

 しかし、この予測は見事に外れ。個々の家電メーカーの浮沈はあったが、10年以上経った今でも家電の覇者はやはり家電メーカーだ。家電製品はIT技術を取り込み、デジタル家電となったが、今でも家電製品だ。ゲーム機もやはりゲーム機。マイクロソフトが日本ではダメだが米国でゲーム機で成功したのは、ITベンダーだからでもWindowsが素晴らしいからでもなく、ゲーム機のビジネスモデルを確立したからだ。

 最近、これと似たような話がほかの分野でも出ている。何かというとIP電話。当初ITベンダーは、電話がIP化することで音声通話がコンピュータのアプリケーションとなるから、そこに自分たちの新しい市場が生まれると見た。いち早く製品を提供したシスコの動きも、そうした見方を後押しした。しかし、そうした認識は少し甘かったようだ。実は、私もそうした認識を持っていたので、自分の読みの甘さを痛感している。

 現状は「電話が電話として売れている」という。通話がコンピュータのアプリケーションになるのではなく、家電と同様、電話がIT技術を取り込んだのだ。一部のITベンダーを除けば、IP電話ビジネスの主役は今もPBXメーカーや、PBXを取り扱っていた業者だ。これらの企業は、コンピュータ・メーカーであったり、システム・インテグレータでもあったりするのでややこしいが、ビジネスの主体はPBXの販売を担ってきた部隊や人であることがほとんどだ。

 私は、この話をなにもネガティブに書いているわけではない。どんな産業でも、その産業を担ってきた企業や人は“すごい”という当たり前のことを再確認しているだけだ。IT技術だけで他の産業に切り込み、市場を塗り替えられると思うのは夢想にすぎない。なぜなら、どんな産業でも技術を売っているわけでなく、ソリューションを売っているわけだから。

 IP電話に関しては、いまIT業界では「結局参入しても商売にならない」という失望感が広がっているという。しかし、それはどうか。確かにIP電話の提案は、ITソリューションではなく、オフィス・ソリューションの切り口が必要で、多くITベンダーにはそのノウハウがない。しかし“謙虚”になって、通信系のベンダーなどと協業を模索すれば、それこそIT・通信融合ソリューションの可能性が見えてくるような気がする。そういえばマイクロソフトも、家電分野のビジネスに関しては随分謙虚になった。
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“オフコン商売”が新しい? 日米でのワンパッケージ・ビジネス

2005-05-11 17:48:39 | ITビジネス
 昨日、キヤノン販売とオラクルが、中堅・中小企業向けのERPパッケージを発表した。オラクルのEBSをベースに独自の味付けをした商材を、キヤノンブランドの製品として販売しようというものだ。OSとしてMIRACLE LINUXをバンドリングしており、ハードやサポートなども込み込みで販売するという。

 筋のよいソリューションだと思う。なにも、キヤノンの調達先企業という“基礎票”が期待できるという理由だけではない。中堅・中小企業マーケットをERPベンダーは新規市場として位置づけるが、なんのことはない旧オフコン市場である。つまり、かつてのオフコン市場に対してERPをオフコン的に売るということだ。それなら売りやすく、買いやすい。自社ブランドであることと相まって、これならキヤノン販売の営業部隊も動くだろう。

 ところで昨日は、SRAがオープンソース事業の拠点を日本から米国に移すという発表を行っている。一見、キヤノン販売・オラクルの発表と全く異なる内容だが、結構深いところで文脈がつながっている。SRAはPostgreSQLの販売・サポートなど既存のビジネスだけでなく、いわゆる“スタック”の提供にビジネスの可能性を感じているようだ。

 スタックというのは、OSをはじめDBMS、アプリケーション・サーバーなど様々なレイヤーのオープンソース・ソフトを、アプリケーション・ソフトも含めてワンパッケージ化したもので、いわばアプライアンス製品だ。行政や教育など特定業種のバーティカル・マーケット向けにカスタマイズして提供するのだが、米国ではそれなりのニーズがあるという。当然、ハードも合わせて提供することになる。

 これを、オフコン商売のモデルとまでは言わないが、日米でユーザーのニーズに同じ基調が感じられる。スタック、ワンパッケージ、アプライアンス、まあなんと言ってもいいだろう。なんだったら日本のオフコン時代の用語を使い、ターンキーと呼んでもいいだろう。そんな手軽さへの志向、そこにビジネスチャンスを見出したIT企業の動きがこれらの発表なのかもしれない。
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NTTデータが同業他社に対するM&Aを宣言、業界再編の号砲か

2005-05-09 18:08:10 | ITビジネス
 NTTデータが同業のシステム・インテグレータの買収に乗り出すそうだ。NTTデータといえば、これまで日本たばこや三洋電機などユーザー企業の情報システム子会社を買収してきたが、2005年度からは独自の顧客基盤を持つシステム・インテグレータにまでM&Aの対象を広げるという。ターゲットは製造・流通業を得意とする年商数百億円規模のシステム・インテグレータというから、その買収先のイメージはかなり具体的だ。

 業界最大手のNTTデータがこうした同業他社のM&Aを成功させれば、それこそITサービス業界再編の号砲となるだろう。NTTデータの場合、金城湯池だった政府系システムの構築・運用ビジネスの先細り懸念という特殊事情がある。官公庁のレガシーシステムの見直しが進んでおり、今後、競争激化や料金低下が予想される。このため、同社は新たな成長領域として法人分野、特に製造・流通分野を挙げており、手っ取り早い拡大策としてM&Aを強化しようとしているわけだ。

 そうは言っても、最大手がプライムを取れるようなライバル企業を買うと宣言する意味は大きい。グローバル化する大手ユーザー企業のニーズに対応するためにも、需給バランスを改善しユーザー企業との力関係を変えるためにも、業界再編は不可避というのは業界の共通認識だからだ。やはり今年は業界再編の元年になりそうである。

 ところでグループ内再編、つまりNTTデータとNTTコムウェアの合併は当面、なさそうな情勢だ。こちらは“NTTの論理”が最優先される見通し。
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個人情報保護が理由とはいえ、IT会社までノートパソコンの携帯を禁止してどうする!

2005-05-02 13:21:50 | ITビジネス
 この前、あるITサービス会社の営業の方と酒を飲む機会があったが、その方は終始、自分の鞄を膝の上で抱えたまま酒を飲んでいた。理由は簡単。その鞄の中にはノートパソコンが入っていたからだ。そのパソコンにどんな情報が入っているかは聞かなかったが、ご時世柄、容易に想像はつく。とても酔える雰囲気ではない。ひょっとしたら、ノートパソコンを持ったまま酒の席に行くのは禁止といった社内規則があるのかもしれない。しかし営業なら、そんなことを言ってはいられない場合もあるだろう。

 個人情報保護法の完全施行に伴い、ITベンダー、ユーザー企業を問わず、こうしたパソコン紛失恐怖症とでもいうべき“症状”が蔓延している。無理もない。ある弁護士によると「5000人の個人情報の入ったパソコンを持ち歩くのは、5000万円の現金を持ち歩くのと同じ」だそうだ。宇治市の個人情報漏洩での慰謝料が1人1万円だったことからのレトリックだが、個人情報漏洩で被る経済的・社会的リスクへの不安をうまく表現している。そこで、ノートパソコンの携帯を禁止する企業も増えているという。ITサービス会社の営業ですら、ノートパソコンの持ち歩かない人を結構見かけるようになった。

 しかしITサービス会社の場合、これでは格好がつかない。これまで、「ノートパソコンを社員に持たせることで、情報を戦略的に活用できるようにしましょう」「SFAの導入で営業の生産性向上を図りましょう」などと提案してきたのである。そして自らも、そうした戦略活用を実践してきたはずである。ところが、個人情報漏洩怖さに、というか、漏洩事件を引き起こした企業として報道されるのが怖くて、便利なITツールを取り上げるようでは、「今までの提案はなんだったの」と言われかねない。

 こんなシニカルな物言いをせずに言えば、個人情報保護法がホワイトカラーの生産性向上や“増力化”への取り組みにとって、大変な“逆風”となっているのは確かだ。個人情報が保護されなければいけないのはもちろんだが、モバイル・ワーカーなどが非IT化を迫られるようだったら、それこそ本末転倒だと思う。

 いまコンピュータ・メーカー各社は、個人情報などをローカル・ディスクに残さないセキュア・パソコンなどの製品化しており、ユーザー企業化からの引き合いも強いという。ITサービス会社もそろそろ、個人情報保護ならぬ個人情報“活用”ソリューションを提案してほしい。そうしないと、ユーザー企業のトップが恐ろしいことを言い出すかもしれない。「なんだ、パソコンを1人1台持たさなくても、業務になんら支障はでないな」。実際、「パソコンなど2人に1台で十分」と言い出した経営者に、私は会ったことがある。
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ITサービス業界とデジタル家電業界、決算での思わぬ一致点

2005-04-28 23:18:39 | ITビジネス
 2005年3月期決算で、日立ソフトウェアエンジニアリングの連結最終損益が113億円の赤字になった。二度も業績予想を修正した末の大赤字だが、不採算プロジェクトによる来期に見込まれる損失に対する引当金などを計上した結果だという。

日立ソフトと言えば、業績不振から住商エレクトロニクスとの合併の道を選んだ住商情報システムと共に、数年前までITサービス業界の勝ち馬と言われた企業。今でも勝ち続けるITサービス会社がある中で、どうして日立ソフト、そして住商情報がこんな状況に追い込まれたのだろうと考えていたら、デジタル家電業界でも似たような話があった。

今日の日本経済新聞の「デジタル家電『消耗戦』響く」という記事中に、不振の三洋電機やパイオニアは「昨日の勝ち組」だったという記述があって、思わず引き込まれて呼んでしまった。少し長いが、私が特に面白いと思った部分を引用する。

「決算会見で不振の家電各社は一様に厳しい価格下落を指摘した。(中略)ただ、価格下落は各社共通の課題。三洋やソニー、パイオニアなど業績不振組はそれまでの好決算に油断し、経営構造や事業戦略の抜本的な改革を怠ったのが響いた」

 どこかで聞いたような話だ。家電をITサービスに置き換え、三洋、ソニー、パイオニアを日立ソフトや住商情報に置き換えると、そのままITサービス会社の決算記事として通用する。やはり、企業が負ける理由はどんな業界でも同じということだ。つまり、思わぬ苦戦に直面したとき、それを外部環境や顧客のせいにする企業は必ず負けるというわけだ。
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インテルも顧客志向に、IT産業の成熟化に危惧すること

2005-04-25 19:39:09 | ITビジネス
 最近、米インテルが顧客志向に急旋回しているそうだ。この前に書いたIBMネタと同じ4月19日付の日本経済新聞に「インテル、市場ニーズに軸足」と題して、そうしたインテルの動きがコンパクトにまとめられていた。バレットCEOの「利用者は製品の速度よりも、個々が抱える問題を解決できるのかを気にするようになった」とのコメントを引用し、6月に新CEOに就任する“文系”のオッティーニ氏の下、顧客志向をさらに強めるだろう、と結ぶ内容である。

 この場合の顧客というのが、パソコンメーカーのことなのか、エンドユーザーのことなのか判然としないが、おそらく両方を指すのだろう。プロダクトアウトから顧客志向へ、というのは方向として正しい。IT業界全体が顧客志向へと舵を切っていく中、インテルといえどもIT技術のリーダーとして業界やユーザーを引っぱっていくのは難しくなったということだろう。

 もう一度書く。方向としては正しい…しかし、つまらない。1つの産業が成熟し、高い成長を望めなくなると、その業界の企業は必ず顧客志向に舵を切る。ハイテク産業が成長セクターのうちは、顧客志向などは口だけである。様々な企業が先端技術を使った製品、サービスを生み出し、顧客に新しい可能性を提示し、100%プロダクトアウトで顧客や経済、そして社会を引っぱっていく。それゆえに顧客がひどい目に会うことも多いが、エキサイティングでワクワクするようなビジネスが展開される。

 従来のIT産業は間違いなく、そんな成長産業だった。それが今や、最強の“部品メーカー”のインテルまでが顧客志向に本気で取り組む。IT産業が成熟化したことを、まさに象徴するような話だ。何度も言うが「ネジ、クギ1本までお客様の声を反映して」というのは間違ってはいない。「つまらないとは、なんと不謹慎な」とお叱りを受けるかもしれない。

 しかし皆さん、思い出していただきたい。IT関連のビジネスに携わる人は、技術者であろうと、営業であろうと、マーケッターであろうと、多かれ少なかれハイテク産業の一翼を担い、企業や経済・社会の先端を走っているという自負が強いモチベーションになっていたはずだ。それはユーザー企業の情報システム部門の人たちは同じである。社内では間接部門として低い地位に押し込められていても、先端のITを使った業務改革の推進者としてのモチベーションを持ち、激務に耐えてきた。

 インテルですら路線転換をするぐらい産業が成熟化する中で、ITを担ったこうした人々が、これからも高いモチベーションを持ち続けることができるだろうか。最近の多発するシステムトラブルは、高い使命感を持てなくなってきたことに起因する面もあると思う。もちろん、成熟産業であってもプロとしての誇りを持ち続けることができるし、実際ほかの成熟産業には多くのプロがいる。ただ、そのモチベーションの中身は違う。IT産業の構造変化は、そこで働く人の意識の構造変化を迫っているような気がしてならない。
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米IBMが東証から撤退、「会社法施行で外資による買収が増える」はカラ騒ぎか

2005-04-22 17:21:25 | ITビジネス
 4月19日付の日本経済新聞19面の『IBMよ おまえもか』と題した囲み記事は、とても参考になった。この前、ブログに書いた『会社法施行でITサービス会社も外資の買収ターゲットに』の記事での認識が、少し安直だったことが分かったからだ。

 日経の囲み記事は、米IBMと米ペプシコが5月に東京証券取引所への株式上場を取りやめることを題材にしたものだ。今、巷では「会社法施行によって外国株などが企業買収の対価として使えるようになるので、外資による日本企業の買収が増える。大変だ!」と騒ぎになっている。ライブドアvsフジテレビ騒動の余波だが、企業は防衛策に頭を痛め、自民党は騒ぎ出し、外国株などを対価にできるという条項は1年先送りされ2007年からとなった。この前に記事に書いたように、ITサービス業界の中でも買収攻勢を警戒する声が出ている。

 しかし、この『IBMよ おまえもか』では、肝心の外資には自社株(外国株)を使って買収に乗り出す意思がないことを明らかにしている。

 自社株を使った株式交換による買収を行うためには、日本の株式市場への上場が不可欠。なぜなら、日本の株式市場に上場していない外資が株式交換で日本企業を買収しようとした場合、被買収企業の株主は外国の株式市場に上場する外国通貨建ての株式を受け取らざるをえず、様々な不利益を被るため買収に同意するとは考えにくい。つまり、IBMが東証への上場をやめるということは、将来的に日本企業を株式交換で買収する意思がないことを表明したに等しい――これが記事の骨子である。

 IBMとペプシコが撤退することで、東証に上場する外国企業はわずか28社になる。1991年には127社が上場していたというから、往時の2割強にすぎない。28社の中にIT関連企業は、と探してみたが皆無。わずかに関連する企業として、モトローラやアルカテルが上場している程度だ。最も手軽な自社株を使った外資による買収は当面ないと、ITサービス会社は“安心”してよい。もちろん買収手段は他にもある。業界再編の胎動が聞こえる今、企業価値向上への取り組みを休むわけにはいかないのは確かだ。
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MS日本法人が社長交替、日本人をトップに起用しないのは日本重視の表れ

2005-04-20 17:02:47 | ITビジネス
 マイクロソフト日本法人の社長が交替する。現社長のマイケル・ローディング氏が7月1日付で本社コーポレートバイスプレジデントに就任。日本法人の後任社長には本社コーポレートバイスプレジデントのダレン・ヒューストン氏が就任するという。日本法人トップへの日本人の起用は二代続けて見送られたわけだ。

 ひと昔前なら、外資系IT企業のトップに日本人を起用しないと、「日本市場を軽視しているのでは」と勘ぐられもした。しかし今では、日本市場を重視するゆえに、日本法人のトップを本社から派遣する外資系企業が増えている。一時、日本市場の地位低下に伴って、日本をパッシングする外資系IT企業が増えたが、ユビキタス時代の到来が現実感をもってくるに従い、その分野の先進国である日本の株は再び上がり、今や“最も重要な市場の1つ”の地位を取り戻した。

 そんな重要な市場の現地法人のトップはというと、人材難だ。日本人だと、よほどの“国際人”を起用しないと、どうしても本社との間にコミュニケーション・ギャップが生じる。その結果、日本市場への機動的な対応ができず、日本市場のニーズをグローバルにフィードバックすることも難しくなる。

 それで思い出すのが、ボーダフォンのトップ人事。NTTドコモ副社長から三顧の礼をもってボーダフォン社長に迎えれれた津田氏は、わずか4カ月で自ら会長に退き、英本社からウィリアム・モロー氏を日本法人の社長に迎え入れた。モロー氏に本社との強力な“土管”になってもらうためだ。話をどんどん脱線させたが、マイクロソフトの場合もしばらくは本社との強力なパイプが必要なのだろう。

 昨年春、米マイクロソフトと北海道が、道内のIT産業新興で協力することを発表したのは、ちょっとした驚きだった。北海道は、経済産業省がLinux、オープンソース普及の拠点と位置付けている上、高橋知事も通産官僚出身だからだ。バルマーCEOが来日して契約調印に臨んだと記憶しているが、経済産業省の官僚は前日までその事実をつかんでいなかったという。こうした芸当は、本社と強力なパイプのある日本法人の存在なくしてはできない。

 今後は対オープンソース、Windowsの基幹系での実績作り、携帯電話事業者や家電メーカーとの協業など、米マイクロソフトが直接乗り出さないといけない場面が増えるだろう。そうすると当分の間は、日本法人の社長に日本人が就任することはなさそうだ。
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システム・インテグレータのオープンソースへの期待は幻想だったのか?

2005-04-17 23:39:50 | ITビジネス
 どうも最近、オープンソースに対するユーザー企業のニーズは、かつてシステム・インテグレータが期待したものとは違う方向に向かいつつあるようだ。

 オープンソースに関しては、1年以上前からLinuxといったOSレベルだけでなく、JBossやMySOLなどミドルウエア・レベルにも注目が集まってきた。こうしたオープンソースのミドルウエアを活用すれば、オラクルやBEA、IBMなどの高額な商用ミドルウエアを使わなくても、かなりミッションクリティカルな業務システムでも構築できる。Linuxのカーネル2.6の登場と相まって、基幹業務システムへのオープンソースの適用の対する期待は大きく膨らんだ。

 特にこうしたオープンソースに強く、ユーザー企業とのプライム契約が結べるシステム・インテグレータの間では、1つのシナリオが期待を込めて語られていた。それは次のようなものだ。「オープンソースのミドルウエアを活用すれば、商用ミドルウエアを活用する場合に比べ、システム構成次第だが半分のコストで済むケースもある。これを製造業に例えれば、資材調達費の大幅削減に相当する。身を削らなくても、労働力のオフショアリングに求めなくても、ユーザーのコスト削減要求に十分に応え、かつ自らも利益を取れる」

 もちろん、ユーザーがオープンソースのミドルウエアのサポートに不安を抱いているうちは、基幹系への適用などあり得ないので、システム・インテグレータがオープンソースのミドルウエアに対するサポート力を持つ必要がある。それさえできれば、ITデフレ下にあってもシステム・インテグレーションの利益率を維持、うまくいけばアップすることができる。多くのシステム・インテグレータはそうした期待をかけた。

 だが現実は、システム・インテグレータの期待を裏切り、より厳しい方向に向かっているようだ。最近では、オープンソースのミドルウエアに対するユーザー企業の不安感は、以前に比べ薄らいでいる。それと共に、ユーザー企業の中には、こうしたオープンソースのミドルウエアの使用を前提に、システム・インテグレータに値引きを要求する動きも出始めたという。つまり、オープンソースの活用で浮いたコストはユーザー企業に還元せよ、という要求を出し始めたのだ。浮いたコストの一部を、システム・インテグレーション料金に上乗せするといったことは、システム・インテグレータの甘い願望に過ぎなくなりつつあるのだ。

 これはちょうどオフショアリングでの事態に似ている。現状では、オフショアリングによりコストを削減しても、結局はその利益をユーザー企業に還元しなくてはならなくなっている。今やお堅い金融機関でも、オフショアリングを前提に料金引き下げを要求するご時世だからだ。オープンソースのミドルウエアでも、これと同様のことが始まろうとしているのだ。オープンソースのミドルウエア活用を積極的に推進していたシステム・インテグレータからは、「たとえ儲からなくても、ユーザーのニーズに対応しオープンソースのミドルウエア活用を進めなければ生きていけなくなる」といった、当初の期待とは全く異なる嘆きも聞こえてきている。

 さて、ではオープンソースのミドルウエアは全く商売にならないかと言えば、決してそんなことはないだろう。こうしたソフトのサポートや、システム構築のノウハウの提供はビジネスになる。ちょうどe-Tetsuさんが報告されているSourceLabsのようなビジネスモデルだ。あるいはLinuxにおけるレッドハットなどのモデルと言ってもよい。つまり、オープンソース化が進めば進むほど、ITインフラに関する知見が大きな付加価値を持つ。

 システム・インテグレータが目指したオープンソースにおけるビジネスモデルは、業務ソフト開発が主で、オープンソフトのサポートなどを従とした。しかし、現実のビジネスの可能性は、どうやら逆だったようだ。オープン化の流れの中でシステム・インテグレータが生き残っていくためには、オープンソース、そして商用ミドルウエアなどを最適に組み合わせるITインフラのコンサル力・構築力・サポート力を高め、ここにビジネスの焦点を当てていく必要があるだろう。
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ITILブームの到来、運用管理プロセスの“カイゼン”は誰がやるのか

2005-04-14 13:37:18 | ITビジネス
 いまやITILは一大ブームになった感がある。情報システムは使ってナンボだが、その運用プロセスで、情報漏洩やシステムダウンが頻発し、コストも年々肥大化するなど、多くのユーザー企業で深刻な問題が顕在化して久しい。そうした中、救世主として期待を集めているのがITILだ。ITサービス会社も大きな商売のネタを見つけたと、一斉に対応サービスの提供に乗り出している。だが、私はこのITILブームにとても違和感がある。ITILは本当に救世主になれるのだろうか。

 ITILは、情報システムの運用管理において「何をしなければいけないのか」を規定したベストプラクティス集のことだ。これを基に運用管理プロセスを再構築・可視化することで、無駄な業務を削ぎ落とし、トラブルの発生を未然に防げるようにしましょうというのが、ITIL導入の眼目である。確かに、英国政府がまとめたグローバル・スタンダードのドキュメントを精読して、自社の運用管理プロセスを鑑みれば、現状のプロセスの問題点は明確になるかもしれない。

 だけど待てよである。「何をしなければいけないか」が分かったからといって、実際にできるとは限らない。ITILで規定された“なすべきこと”は膨大な量に上る。半面、なすべきことをどうやって実現するのかについては、企業個別の問題としてITILでは一切規定していない。だから、多くのユーザー企業が、どうしたらいいか分からなくて途方に暮れているという。ここでITサービス会社の出番と言えればいいのだが、ユーザー企業に適切なコンサルティングを行える企業はいったい何社あるだろうか。

 運用管理プロセスの改革とはオペレーションの改革である。オペレーションの改革である以上、工場の生産プロセスなどの改革と同様、地道なカイゼン活動が不可欠である。ITILはそのための1つの指針にすぎない。ITILをベースに運用管理プロセスを見直すだけでは、どうにもならない。ところで、運用管理プロセスのカイゼン活動に関するノウハウは、誰が持っているのだろうか。フルアウトソーシングを請け負っている企業でもあやしい。またぞろ「トヨタにでも頼むか」という話になりそうだが…。とにかく、こうしたカイゼン活動を真にコンサルできれば、大きなビジネスになることは間違いないだろう。
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