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うどんすき


 今夜の鍋はうどんすきや。うどんすきは大阪の料亭「美々卯」が発祥の店で有名やけど、今夜は美々卯に負けへんうどんすきを作ったろやないか。
 うどんすき用の鍋は、アルミで平べったい第2次大戦のイギリス軍のヘルメットみたいな鍋やけど、あれはうどんを鍋のへりにそって、引きずり出しやすいようになってるんや。ワシとこには、そんな鍋は無いさかい、普通の土鍋を使う。
 うどんすきで一番大事なんはなんちゅうても、ダシやな。昆布と鰹節でちゃんと
ダシとらなあかんで。昆布は羅臼を使うた。利尻の方が澄んだダシが取れるけど、羅臼の方が旨味が濃いダシが出るで。羅臼は高いけど、ここはひとつフンパツや。日高なんかの安もんの昆布でもええけど、日高でダシとると白く濁るで。昆布は1~2時間以上は水につけて置いて、じっくり加熱するんや。ぶわっと強火で急に沸騰させたらあかん。ゆっくり昆布が温まっていくあいだに、じんわりと旨味が出るんや。弱火でゆっくりな。
 沸騰ちょっと前までいったら昆布を取り出す。そこに厚削りの削り節を入れる。ワシはヤマキの「業務用だし」ちゅう混合厚削り節を使うとる。いろいろ試したけどこれがワシの口におうとる。これをグツグツ煮出す。泉が湧き出るように煮出すんや。そやな7分ぐらい煮るなワシは。これで旨味が充分に出たら、次は香りや。薄く削った花かつおをひとつかみ入れて、加熱、今度は煮出さずに、すぐ火を止める。そして濾す。ダシのとり方はいろんな流儀があるけど、これがワシのうどんすきのダシのとり方や。ワシかて、吸いもんの時、うどん蕎麦の時、煮物ダシの時、それぞれダシのとり方を変えとるで。
 そして味つけや。味つけはワシんとこ秘伝の「かえし」を使う。ワシはうどんや蕎麦を食うときのために「かえし」を常にストックしとるんや。うどん用は薄口醤油と味醂、蕎麦用は濃口醤油と味醂を同量、壷にいれて置いとる。今回はうどん用のかえしを使う。さて、これでダシが出来た。
 で、中身やがな。まず肝心のうどん。太目の煮込み用讃岐うどんを用意した。他の具は、鶏もも肉、焼きあなご、サワラ、椎茸、湯葉、白菜。鶏ももはワシがいつもやっていることやけど、皮をあぶって軽く焦げ目をつける。照り焼きや唐揚げの時はええけど、鶏もも肉を煮て食べる時は、皮目をあぶったほうが、絶対おいしいで。香ばしくなって、鶏が苦手な人もおいしゅうに食べられる。なに、そんなに手間やあらへん。ガスレンジ付属の魚焼きグリルに入れとくだけや。
 さてさて、鍋が煮えてきたみたいや。桜正宗を燗しよか。
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