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老人と宇宙(そら)

ジョン・スコルジー 内田昌之訳 早川書房

 主人公ジョン・ペリーは75歳。年老い、愛妻にも先立たれて、人生の目標を失って軍隊に入隊する。その軍隊、コロニー防衛軍は老人だけが入隊することができる軍隊だ。ペリーは厳しい訓練を経て実戦におもむく。様々な戦場で色々な敵と戦い、戦友を失いながらも手柄を立てる。
 老人だけの軍隊というメインアイデアだが、別に腰痛、肩こり、前立腺肥大をかかえたまま戦争をするわけではない。そういう軍隊も面白いと思うのだが。認知症、リューマチ、末期ガン、白内障、糖尿病なんかで身体が思うように動かん老人ばかりで戦争するSFなんて筒井的で面白いのでは。
 ところがこの作品はそうではない。肉体が老人なのは最初だけ。すぐ老人ではなくなってしまう。それどころか超人兵士になる。どうなるかはネタバレなのでここでは書かないが、ま、要するに生身のパワードスーツといったらいいだろう。
 肉体が若返ったとはいえ中身は75歳なのだから、ゆうてることや考えていることが老人かといえばそうではない。じいさん特有の偏屈さ頑固さを持ったまま若い肉体を持った新兵。どんな新兵やろか、新兵どうし偏屈合戦するのかな、認知症の兵隊さんが斥候にでたらどうすんねんやろ、「ハイハイ愚僧かな」といってる好々爺の鬼軍曹っておもろいな、といった面白さを期待すると裏切られる。後半はちょっと有能なただの中年のおっさん兵士になってしまう。
 どうも話しが類型的。例えば訓練に向かう途中の宇宙船で知り合った戦友同士が「オイボレ団」と称して手に手を重ねてガンバロウ。それに彼らの訓練を担当するのは絵に描いたような鬼曹長。戦友とは固い絆で結ばれている。
 主人公ジョン・ペリーは実にうまい具合に手柄を立て、重症は負うが死なず、順調に出世する。最初はペーペーの新兵が、話しが終わるころには大尉にまでなる。これでは「宇宙の戦士」ではなく「宇宙ののらくろ」だ。古いなワシも。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 1 )
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コメント
 
 
 
最初は面白いと思いましたが (アブダビ)
2015-11-25 00:56:52
数年で志願者の半数が戦死する。だから人生を終えた人達が人体改造されて兵士になる。…初動は面白かったです。
しかし…4冊が翻訳されてますが、続きは読んでません。
人類は宇宙では敵対的なエイリアン種族に囲まれていて、その為に、宇宙進出を代行する組織は、地球から独立状態にある。
不老技術は地球の為政者に渡さない。
…この辺り神林氏の「戦闘妖精雪風」に にているのてのですが、話の進展と供に
その切迫感というか、緊張が持続しのいのですね。
これなら「人の死なない宇宙戦記」である
銀河お騒がせ部隊のあっけらかんとした
バカっぽさの方が面白かった。
 
 
 
アブダビさん (雫石鉄也)
2015-11-25 09:28:17
この本はそれなりに面白いところもありましたが、私も続編は読んでません。
 
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