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SFマガジン2014年3月号


SFマガジン2014年3月号 №696
                   早川書房

雫石鉄也ひとり人気カウンター
1位 廿日鼢と人間     深堀骨
2位 九万頭の馬      ショーン・マクマレン 小野田和子訳
3位 スシになろうとした女 パット・キャディガン 嶋田洋一訳
4位 没入         アリエット・ドボダール 小川隆訳

連載
小角の城(第25回)   夢枕獏
絞首台の黙示録(第2回) 神林長平
近代日本奇想小説史[大正・昭和編](第8回) 横田順彌
SFのある文学誌(第27回)         長山靖生
連載コミック
ニュートラルハーツ File2電気少女の欲望   吉富昭仁

スチームパンクテキサス-第71回世界SF大会
ローンスターコン3レポート          巽孝之

 今月号は手にした瞬間、なんやねん、これ、と思った。なんだこの表紙のイラストは。なんとも稚拙。これではそのへんのデザイン学校の卒業制作の方がよほど上手い。へたくそなイラストの表紙をめくると、これまた幼稚な漫画が。絵もへたくそなうえ、アイデアも陳腐。こんなアイデア、小生が10代のころに書いたショートショートにあったぞ。
 それはさておき、今月号の特集は「英米SF受賞作特集」この企画も毎年3月号でやっている。昨年はいちおう及第だった。2012年は合格。さて、今年はどうであろうか。結論からいう。落第。昨年の紅毛碧眼どものSF者は見る目が曇っていたと見える。
「スシになろうとした女」「没入」この2作。なんとも独りよがりな作品。この「スシになろうとした女」の「スシ」まさか鮨のことかいなと思っていたが、どうやら鮨のことらしい。不可解。
 受賞作企画3作のうち「九万頭の馬」がいちばんマシだった。ナチスドイツがV2ロケットを開発するずっと前、イギリスで巨大な蒸気ロケットが創られていた。天才女性数学者がメイドのかっこうして、その秘密を探りに潜入する。
 さて、紅毛碧眼受賞作よりずっと面白かったのは久しぶりの深堀骨。深堀の作品はジャンル分類不可能。フカホリというカテゴリーをつくらなしゃあない。
今回もフカホリSFだった。
 珍獣怪獣を探しに山奥秘境に行く必要はない。足元にいる。たとえば廿日鼢(はつかもぐら)20日しか寿命がない。モグラだから常に土中。だから人間に見つからなかった。我蠅は廿日鼢を発見しようとする。八茶草カヲルなる演劇の教授がからんできて、本田博太郎芝居に巻き込まれる。奇絶怪絶また壮絶。   
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