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とつぜんSFノート 第13回


 SFマガジンとのつきあいも長くなった。小生が生まれて初めて買ったSFマガジンは1967年9月号№98。もう43年になる。この時生まれた子供が、前立腺肥大の心配をしなくてはならないおじさんになるわけだ。この時以来、1号も欠かさず毎月毎月SFマガジンを買い続けている。そして読み続けている。いっとき、(今もそうかな)小生の周辺のファンダムで、SFマガジンは惰性で買っているけど読んでないという、SF者がけっこういた。小生は毎月律儀に読んでいた/読んでいる。
 現在、小生は毎月2冊、この雑誌を読む。最新号と古い号。最新号は、少々遅れ気味ではなるが、読めば必ずこのブログでレビューする。古い号は星群の会ホームページ「SFマガジン思い出帳」で、毎月1冊づつ紹介している。初めて買った1967年9月号が第2回目で、第1回は創刊号を取り上げている。この時は中身にはふれずに、入手したときのことをエッセイで書いた。今年の夏、神戸文学館でSF企画展「SF幼年期と神戸」が開催されたが、その時展示してあったSFマガジン創刊号は小生所有のものを貸し出した。
 さて、そのSFマガジン創刊号、いかなる内容であったか、実は小生も大昔に買って、大昔に読んだので忘れている。だいたいが長い間、手に触れていない。確か、クラークの「太陽系最後の日」とシェクリイの「危険の報酬」が載っていたはずだ。
 文学館へ貸し出すために、SFマガジンの山から発掘して、企画展も終わり、返却してもらって、また、SFマガジンの山に埋めたが、ふと思い立って読み直した。若いSF者の諸君の中には、創刊号の書影は知っているが、中身までは知らないという人もおられるだろう。そういうわけで、今回の「とつぜんSFノート」ではSFマガジン創刊号を紹介する。本来は「SFマガジン思い出帳」で書くタチの記事だが、同コラムでは一度取り上げているから、今回はここで紹介する。
 まず、全体的に福島正実編集長の初々しい意気込みが、よく伝わってくる編集となった。あたりまえだが、連載モノの記事はすべて第1回目。連載読み物は日下実男「地球物語」岡俊雄「空想科学映画まかり通る」
「地球物語」「地球の生成から消滅まで」という副タイトルがついている。第1回ということで、宇宙の創生から銀河の成り立ちまでを紹介。ガモフなんて懐かしい名前も出ている。
「空想科学映画まかり通る」宇宙映画から。まずは、ジョージ・パルから。話題にしている映画を列挙しよう。「月世界征服」「地球最後の日」「宇宙戦争」「禁断の惑星」「遊星よりの物体X」「地球が静止する日」「宇宙水爆戦」「地球防衛軍」などなど。このうち「地球防衛軍」は子供のころ、今は亡き甲南朝日に親に連れて行ってもらった。「中は寒いですからマントを着てください」というセリフが記憶にある。
 あと糸川英夫、アイザック・アシモフ、荒川英俊のエッセイ。糸川英夫はあのハヤブサが行って還ってきた小惑星の名前は、この人の名前から。あと「さいえんす・とぴっくす」で最新の科学の話題。「SFライブラリー」ブックレビューである。エドマンド・クーパーの「アンドロイド」を紹介している。アシモフとMFSF誌編集長ロバート・P・ミルズから祝辞が届いている。
 さて肝心の小説だが9編掲載されている。

七年に一度の夏 R・ブラッドベリ
太陽系最後の日 A・C・クラーク
限界角度    B・チャンドラー
危険の報酬   R・シェクリイ
探検隊帰る   P・K・ディック
次元断層    R・マティスン
やがて明ける夜 I・アシモフ
愛しのエレン  L・デル・リイ
地獄行列車   R・ブロック

 大変に頭を使った作品選択であることがよく判る。福島編集長は、この九編を選ぶのにかなり悩んだろう。創刊号である。SFとはいかなるモノかを読者に知らしめなくてはならない。とっつきにくい作品では困る。かといってSF色が薄くSFの醍醐味が少ない作品では、新たにSF雑誌を創刊した意義が薄れる。
 F派の大御所ブラッドベリ、S派の大御所クラーク。短編の名手シェクリイ、マティスン。奇妙な味のブロック、SFミステリのアシモフ。新鋭ディック(当時は)バランスが取れて、SFの多様性がよく判り、なおかつ面白い。絶妙な作品選択である。では、それぞれの作品を紹介して行こう。
「七年に一度の夏」雨が降り続く金星。七年に一度太陽が顔をのぞかせる。ブラッドベリらしいウエットなSF.
「太陽系最後の日」名作。クラークを代表する短編。太陽爆発寸前。人類救出に宇宙人がやってきた。人類は地球にいなかった。ラストが感動。
「限界角度」月ロケットでソ連に遅れをとったアメリカは有人月旅行を強行。いまとなっては懐かしい米ソ宇宙開発競争。
「危険の報酬」あまりに有名なシェクリの近未来疑似イベントSF。殺し屋に追われる主人公。逃げ切れば巨額の報酬が。テレビで衆人環視の中で殺人が行われるか。
「探検隊帰る」火星探検隊が帰ってきた。彼らは歓迎されたか。本物かニセ者か。ディックお得意のネタ。
「次元断層」レストランで見知らぬ男に話しかけられる。妙に親しげ。しかし知らぬ男だ。楽しくイライラできる奇妙な短編。
「やがて明ける夜」めぐまれない天才が大発明をした。ところが変死した。犯罪性がある。容疑者は天才の学友三人。犯人はだれだ。ミステリとしてはいまひとつ。
「愛しのエレン」ロボットに愛されてしまった。ロボットから見れば悲恋。人間から見れば・・・。
「地獄行列車」星ショートショートを思わせる悪魔との契約モノ。皮肉な結末はお約束通り。
 結論として、大変面白く読めた。もしコレクターズアイテムとして創刊号を持っている方がおられれば、本棚の奥にしまっていないで、ご一読をお勧めする。

 星群の会ホームページの「SFマガジン思い出帳」が更新されました。どうぞご覧になってください。

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