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カルメン故郷に帰る


監督 木下恵介
出演 高峰秀子、小林トシ子、笠智衆、佐野周二、井川邦子

 浅間山麓の牧場の娘きんは家出して東京にいる。そのきんが故郷に錦を飾る。帰って来るという。きんはリリイ・カルメンという名前のストリッパーになっていた。
 友だちマヤ朱美と二人できんが帰ってきた。ど派手な衣装で太ももをチラチラさせながら、二人は浅間山麓の大きな自然に包まれた、純朴な村を闊歩する。
 日本初の総天然色映画である。だからことさら天然色を強調するため、二人のストリッパーきんとマヤの衣装が大変にカラフル。原色ギラギラで、まわりの田舎の地味な色彩から突出している。1951年の映画。敗戦直後の作品である。息の詰まる軍事国家から、戦争、そして敗戦、新しい日本へ一歩踏み出したころの地方が舞台の映画である。民主主義が認識され始めているとはいえ、まだ古い価値観の残る田舎。その田舎に風穴を開けたのはきんとマヤの二人だ。
 東京でストリッパー。今でいうならAV女優にあたるか。AV女優に知人はいないから、彼女たちがどういう心情かは知らぬが、この映画のきんとマヤの二人はストリッパーということを、まったく後ろめたく思っていない。自分たちのやっていることは芸術である、と誇りにさえ思っている。主人公二人がこうだから、映画全体が突き抜けた明るさを持っている。
 主演の高峰、小林の二人のストリッパーのキャラが微妙に違うのが面白い。高峰のきんはおきゃんで元気、小林のマヤは蓮っ葉でちょっと斜に構えている。この二人と対象をなすキャラが、笠の校長先生。教育者であるから、自称芸術家の二人を最初は歓迎するが、村で二人がストリップを公演する聞く、それが劣情を誘う裸踊りだと知って、怒り、主催者の金貸しに背負い投げをくらわす。この校長、突然、浅間山に向かって詩吟を唄いだす。
 これらの大騒ぎを、浅間山が静かに見守っている。
 
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コメント
 
 
 
観たいなあ (深田亨)
2013-01-14 18:48:14
この映画の冒頭と終わりのシーンで、草軽軽便鉄道が出てくるんですよね。L字型の車体と特異なパンタグラフと、その小ささがたまりません。
デジタルリマスター版が出たそうで、いずれ観てみたいです。
もちろん映画そのものも楽しみですが。
(なにを隠そう、かつては鉄男くんでした)
 
 
 
深田享さん (雫石鉄也)
2013-01-15 09:18:04
この映画、NHKのBSプレミアムで放送されていたのを、録画したままになっていたのを、見ました。DVDも発売されていたのではないでしょうか。
深田さん鉄男くんでしたか。
ラストにきんとマヤが軽便鉄道に乗ってましたが、感心したのですが、蒸気やディーゼルではなく電気なんですね。
当時としては非常に先進的だったのではないでしょうか。
 
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