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前立腺風雲録 第20回

 自己導尿を始めた。直径4ミリほどの樹脂の管を、尿道に挿入して尿を排出するのである。小生の膀胱は弱っていて、尿を排出する力はない。試しにトイレに立って自然排尿を試みたが、尿は1滴も出ない。導尿をしなければ、尿はどんどん膀胱にたまって膀胱が破裂する。そうなる前に、腎臓に負担がかかり腎不全になる。そうなると人口透析を受けなくてはいけなくなる。
 自己導尿は必ずマスターしなければならない必修科目となった。最初は看護師がやってくれる。女性の看護師も導尿をしてくれるが恥ずかしさはない。今後の自分の身体の重大事である。導尿の手技の習得に必死である。
この導尿指導、男性の看護師がやってくれることが多い。この病院の男性看護師はどの看護師も大変に良くしてくれた。そのうちのAさんという若い男性看護師さん。非常に優しく親身なってくれた良い看護師さんであった。彼の親身な指導によって、導尿というなれないことができるようになった。
3日ほど、看護師が導尿してくれた。これからは自分でしなさい、ということになった。最初は見ていてくれる。だいじょうぶと判断したら、自分ひとりでやる。看護師に頼っていれば、いつまでたっても退院できない。
自己導尿の手順はこうである。導尿用カテーテルは一回り太いプラスチックの管に入っている。管の中は消毒液が充填されている。カテーテルは常時、消毒液に浸っているわけだ。
 導尿を行う前に、必ず手を洗う。カテーテルを管から引き抜く。尿道の入り口とカテーテルのゼリーを塗る。滑らかに挿入するためだ。アレをまっすぐ上に立てる。そこにカテーテルをまっすぐ、静かに挿入していく。あくまで、尿道もカテーテルもまっすぐである。カテーテルの先が尿道の内壁に接触しないように気をつける。内壁を傷つけると出血する。なれないうちは、導尿するたんびに出血していた。
この自己導尿を、1日に5回行う。もちろん、摂取した水分と、導尿で出した尿の量は記録する。自己導尿が自分でちゃんとできるようになれば退院といわれる。
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トラキチ酒場せんべろ屋 第22回

 ここは阪神電車今津駅うらの居酒屋せんべろ屋。甲子園にほど近い、この居酒屋に今宵もトラキチたちが集う。
「こんばんは」
「お、こんばんは」
「あきまへんな」
「そやな。あの巨人さまが広島に勝ってくださった。こんなことめったにないことやさかい、きょうは勝たなあかんかったのにな」
「お、大将。おもやんは」
「え、休み。あかんやんか看板娘が休んだら」
「しゃあないわ。論文のおいこみやねんて」
「え、おもやん学生やったんか」
「そや。あのこ、阪大の大学院やねんで」
「へー、そんな優等生がようこんな飲み屋でバイトしとうな」
「こんな飲み屋で悪かったな。なに飲むねん」
「とりあえずビールや。あては、そやな川津えびあるか」
「あるで」
「そしたら川津エビの唐揚げや」
「しかし、なあせーやん。こりゃ広島に追いつくどころかDeNAに追い抜かれるで」
「ま、時間の問題やろか」
「きょうはピッチャーへぼ合戦やったな」
「そや。メッセンジャーも濱口も四球量産やったな」
「メッセンジャーはバックに足ひっぱられたな。あそこで福留が取ってたら」
「それに、やっぱ、あと一本でえへん病やな。大山の神通力ももうないんやな」
「ま、今年も4位やな」
「そやな」
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