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SFマガジン2017年6月号


SFマガジン2017年6月号№721        早川書房

雫石鉄也ひとり人気カウンター

1位 折りたたみ北京      郝景芳 大谷真弓訳
2位 コンピューターお義母さん 澤村伊智
3位 母の記憶に        ケン・リュウ 古沢嘉通
4位 麗江の魚         スタンリー・チェン 中原尚哉訳
5位 スタウトのなかに落ちていく人間の血の爆弾  藤田祥平

連載
小角の城(第44回)         夢枕獏
椎名誠のニュートラル・コーナー 第55回
むじな虫               椎名誠
マルドゥック・アノニマス(第14回) 冲方丁 
プラスチックの恋人(第3回)     山本弘 
忘られのリメメント(第2回)     三雲岳斗
幻視百景(第8回)          酉島伝法
近代日本奇想小説史(大正昭和篇)(第31回) 横田順彌
SFのある文学誌(第52回)      長山靖生
にゅうもん!西田藍の海外SF再入門(第15回) 西田藍
アニメもんのSF散歩(第16回)    藤津亮太

筒井康隆自作を語る♯1           日下三蔵 筒井康隆

アジア系SF作家特集
2017年春アニメ特集

 特集企画はアジア系SF作家。とはいいつつもほとんどは中国系の作家。たしかにテッド・チャン、ケン・リュウの二人を中心に、いま中国系のSF作家が元気。しかし、これは、ほとんどケン・リュウ一人の尽力によるところが大きい。彼がこれはと思う中国語SFをせっせと英訳してアメリカに紹介している。一人の尽力に頼っているようでは本物とはいえない。ケン・リュウに続く中国SFの紹介者の登場を望む。
 アジア系とはいってるが、タイ、マレーシア、ベトナム、韓国、ミャンマーなどの中国以外のSFの現状を知りたい。映画は友成純一氏の「人間廃業宣言」で、いろんな国のホラーやスプラッター映画が紹介されているが、かような国の活字SFはどうなっているのだろう。不満は残るが、こういう他国のSFを紹介する企画はSF専門誌としてやるべきこと。こういう企画を立てたことは評価する。
 読切短篇では「折りたたみ北京」「母の記憶に」の2篇が面白かった。「折りたたみ北京」は24時間ごとに街が「交替」建築物などが「折りたたまれる」という奇想天外なお話。
「母の記憶に」ケン・リュウーお得意の「母もの」で泣かせる。
「コンピューター義母さん」これは面白かった。「ぼぎわんが、来る」の作者だから期待して読んだが、期待通りであった。ネチネチと来る嫁いびりの描写は世の嫁たちの逆燐を逆なでするだろう。
 5位の長いタイトルの短篇。評価に値せず。ファンジン、同人誌レベル。
 椎名誠の連載。先月号から小説になったが、面白くない。以前のような最果てのびっくりするようなお話の方がだんぜん面白い。元に戻すことを望む。            
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