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とつぜんSFノート 第5回


 小生が初めて読んだ大人向けSFは「銀河パトロール隊」ではないだろうか。なにせ大昔のことだから記憶があいまいだ。ただ、この「銀河パトロール隊」を読んだことによって、小生は本格的にSFの面白さに目覚めたといっていい。
 この作品は、E・E・“ドク”スミスのスペースオペラ。そう、小生の「最初の1冊」はスペースオペラだったのだ。
 単純明快、気宇壮大、奇想天外、波乱万丈、奇妙奇天烈ななお話が大好きな少年にとって、スペースオペラは、渡りに船、かゆい所に手が届く小説なのである。SFのキモはやっぱりこういったモノではないだろうか。
「銀河パトロール隊」レンズマン・シリーズの最初の作品。小生が読んだのは東京創元社版のもの。1966年発行。厚木惇が編集者で、小西宏訳。イラストを真鍋博が描いている。実は、小生の記憶に間違いがなければ、雑誌「ボーイズライフ」に矢野徹の妙訳で掲載されたはず。この矢野徹訳のものも読んだ記憶がある。というか、小西訳より矢野訳の方が早かったのではないか。この「ボーイズライフ」という雑誌。小学館の雑誌だが、前身誌「中学生の友」を小生は定期購読していたから、自動的に購読するようになったが、めっぽう面白い、男の子が興味を持ちそうなものがいっぱい詰まった雑誌だった。
 漫画劇画は白土三平の「忍法秘話」さいとうたかおの「007シリーズ」なんか。それにタイトルは忘れたが、赤塚不二夫のギャグ漫画が載っていたな。とても前身が学習誌とは思えない「ワルイ子」好みの雑誌であった。漫画劇画といったビジュアルよりも読み物活字の比重が多かった。その読み物の柱として海外SFの紹介があった。完訳ではなく妙訳であったが矢野徹が良い仕事をしていた。ハイライン、アシモフの短編もあったように記憶する。それにこの雑誌では「1000字コント」というショートショートの公募をやっていた。小生も応募した。谷甲州も応募したといっていた。甲州は知らぬが小生は一度も掲載されたことはなかった。その時書いたのが、小生が初めて書いたショートショートであった。それから40年。いまだにショートショートを書いている。まったく進歩していないのはこのブログの読者ならご承知の通り。小生たちの世代のSF者にとって、この「ボーイズライフ」の存在は大きい。
 それはさておき「銀河パトロール隊」だ。日本のスペオペファンは2派に分かれるのではないだろうか。レンズマン派とキャプテンフューチャー派。レンズマンが組織に属して組織で動くスペオペ。キムボール・キニスンは軍人でしごくまっとうなヒーロー。かたやキャプテンフューチャーは組織に属さず、バットマンと同じように趣味でやっているヒーロー。小生はだんぜんレンズマン派。創元文庫で一通り読んだ。
 キニスンたちレンズマンが戦う相手は宇宙海賊ボスコーン。このボスコーンの背後にはエッドール人なる超越者がいる。そしてキニスンたち銀河パトロールの後見人はアリシア人なる超越者。このあたりのコンセプトは後の平井和正の「幻魔大戦」を彷彿とさせて面白い。
 このレンズマンシリーズ、小生が読んだ本と同じ出版社の東京創元社より、2002年新訳が出た。新版は小浜徹也編集、小隅黎訳、生頼範義イラスト。ファンダムの父小隅黎氏(柴野拓美)の最後の翻訳がこの仕事だった。小生も多くのことを学んだ小隅氏の最後の仕事がレンズマンであったことは、なんとも感慨が深い。
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