誓球の空 to the victory - since 2001 -

未来に羽ばたく使命を自覚するとき、
才能の芽は急速に伸びる。
ガンバレ創価、目指せ甲子園、願いは一つ誓願の旗

epilogue 2016 ドラフト会議(七)

2016年10月29日 | 青藍の譜

あっという間だよねぇ・・・ ほんと、いろんなことがあった4年間ですよ。
監督・岸雅司のよく陽に焼けた温顔がほほえんでいる。

手塩にかけた4年間
投手・田中正義、そして池田隆英がまもなく学窓を巣立ちプロ野球に進む。
田中正義、福岡ソフトバンクホークス1位
日本ハム、千葉ロッテ、巨人、広島を含めた5球団の1位入札の末、ソフトバンクが抽選で2016ドラフトの目玉を射止めた。

池田隆英、東北楽天ゴールデンイーグルス2位
前評判では1位指名の候補にも挙げられたが、2位のあたまから3人目
全体で15人目の上位指名で、田中正義と同じパ・リーグの楽天に進む。

正義と初めて話をしたのは高3の夏だったかな。
創価高の生徒だけの練習会があってね。
高校ではセンターを守っていて、正直、野手としては魅力はなかったのよ、バッティングも粗っぽかったしね。

でも本人と話すと、僕、ピッチャーなんですってね。
じゃあ、ピッチャーやったらって、割と軽く考えてピッチャーにしたんですよ。
欲しかったのは、エースの池田隆英のほうだったからね」

岸監督がいうには、選手にはピッチャー顔と野手顔があるという。
できればもう1つ、捕手顔というやつも仲間に入れていただければ、
地味な顔立ち、ジャガイモ系でも目だけがキラリと賢く光っている。

かつては、西武・伊東勤(現千葉ロッテ監督)に、横浜・谷繁元伸(元中日監督)、
今の捕手なら、西武・炭谷銀仁朗に、ヤクルト・中村悠平

とても共感できる話である。
ピッチャー顔だって思ってね、正義の顔見てて。
本人はウズウズしてたんだろうね、投げたくて、うれしそうにしてましたよ。
そこから、そうだねぇ、もう4年か・・・

監督の視線が、ブルペンで投げる田中正義の姿からグラウンドの外野の向こうへ飛んでいった。
その時言ったんですよ正義に
もうバットは持たなくていいから、ランニングと体幹鍛えてキャッチボールでもう一度肩を作っておいてくれって

高校の時の田中正義はずっと右肩を痛めていて、実戦ではほとんど投げていない。
その代わり、抜群の身体能力の強肩でセンターを守って4番を打ち、
最後の夏の予選で神宮球場の左中間上段に放り込んだ大アーチを私はたまたま目撃している。

しかし強烈な印象として残っているのは、シートノックで三塁に返球したボールがぐんぐん伸びて、
伸びっぱなしのまま三塁側のスタンドに飛び込んだその記憶のほうだ。
とんでもない猛肩、さらに均整抜群の体躯に豪快な腕の振り
なんでピッチャーやらないのだろう・・・ 不思議に思ったものだ。

とにかく野球のことしか考えてないから正義は
休みの日も練習してるし、寮でのんびりしてるのなんて見たことない。
ジム通いも欠かさないしね。
もう立派なプロ意識ですよ、僕はそう思うね。

寮ではもちろん食事が出されるが、
それ以外に、お母さん手作りの惣菜が冷凍パックで送られてきて、
田中正義の体作りの強力なバックアップをしてきた。

正義はスナック菓子なんて絶対食べない。
ときどき選手たちをウチに呼ぶのよ、いろんな話をしたいんでね。

岸監督のご自宅は、実は選手たちが生活をする「光球寮」の中にある。
初めて寮にうかがった時、玄関を上がったすぐ右のトビラに「岸雅司・城子」の表札がかかっていて
とてもびっくりしたものだ。

来てくれれば、お茶も出して、お茶菓子も出してね。
でも正義は食べない。
スナック菓子なんて絶対食べない。

体にいいものはドンドン入れるけど、そうじゃないものは入れない。
徹底してるのね。
小川(泰弘・現ヤクルト)も食生活にはストイックだったけど、正義ほど徹底的にこだわる子は今までいなかったね。

お腹がすいた状態でトレーニングやっても筋肉はつかないって情報があると、
練習中に、おにぎりとかゆで卵とか入れて、
それでトレーニングでどんどん体が大きくなっていってね。
まだ大きくなると岸監督はいう。
体が大きくなっていくほど、野球もレベルアップしていける。そういうタイプの選手だとも言う。

高校の時、ほとんど投げてないでしょ。
大学から投手を始めて2年の春でブレークして、そこからずっとエース格で投げてきてるから、
どうしても“調整”中心できてるでしょ。

追い込んだ走りこみとか、投げ込みとか、本当の意味での強化練習をあんまりやってない。
今年も、その強化をやろうとしていた時期に肩を痛めたり、夏になって太ももの肉離れをやっちゃって、
秋のリーグ戦に備えた走り込みができなかったり。
そういう意味では、歴史が始まったばっかりのピッチャーですよ、
正義はいってみれば、伸びしろのかたまりみたいな・・・ ね。

まだ手放したくないでしょ? と訊いたら、そうだねぇと、珍しくちょっと下を向いてしまった。
正直、もう1年・・・ って気持ちはあるけど、
来年の今ごろになったら、また、もう1年・・・ なんて言ってるんだろうね、きっと
キリがない、正義がオジサンになっちゃうよ。

ただね、ただ1つだけ心残りがあるとすればと前置きして、
そこからウーンとしばらく考えて一言
完成形が見たかったって思いはあるね。
それも創価大のユニフォーム姿でね。

みんなに注目されて、みんなに大きな期待をかけられ続けた4年間
すごい、すごいと言われながら、故障もあってほんとにすごいとこ、ほとんど見せられなかった4年目の今年
毎日をすぐそばで暮らしながら、悩みも、迷いも喜びも、ぜんぶ見てきた田中正義がまもなく手元から離れていく。

その一部始終を見つめ続けた監督・岸雅司もまた、懸命に前を見ようとしている。
学生野球の秋の景色である。
 

                                       心の琴線に触れる記事を見つけた。
                                       [ 2016.10.29 number web 安倍昌彦氏のコラム ] 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« epilogue 2016 ドラフト会議... | トップ | epilogue 2016 ドラフト会議... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

青藍の譜」カテゴリの最新記事