トシコロのありのままの暮らし


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マルクスの足りなかった点を挙げる

2016-10-14 11:39:34 | 日記
  一つは官僚制の問題をほとんど述べていない点。恐らくは、当時のイギリスでは資本家たちの横暴ばかりが目立ち、官僚の問題は小さかったためだろう。しかし、すでに当時のロシアや中国では官僚の腐敗が深刻だった。歴史を見ても、東ローマ帝国はそうだったわけだし。マルクスは中国の事はよく知らなかったのは仕方ないにしても、ロシアや東ローマ帝国に学べばよかったのに、とも思う。


  もう一つは人間の持つ欲望の問題。何故、当時の資本家たちは搾取したのか。物欲と金欲が限りなく膨らんでいたからだ。それを見落としている。その二つの欲にこだわると、人間は他人の人格を無視するし、限りなく追及するようにもなるものである。更に、マルクスの描いた革命後の労働者たちが物欲や金欲を限りなく追及した場合については想定されていない。その場合でも、その国だけでは資源が足りなくなり、労働者帝国主義みたいになり、世界に資源を求めて覇権を伸ばすわけである。国名は挙げないが、第二次大戦後はそのような国々もかなり出現している。軍事的な覇権はしなくても、経済的な覇権を求めるとか。また、もう一つの問題として、当時のイギリスの資本家たちみたいな生き方が本当に幸せだろうか。その考察も欠落している。雇人たちに恨まれるような生き方は何なのかと。

   一方では、人間は芸術や自己表現などの文化的な欲望も持つ。真理の探究とか。そのような事に欲望を向ける人たちは尊敬さえされても、他人に恨まれる事もない。人類の進歩にも貢献できる。最低限度の食べ物しか食べられなくても、非常に幸福にもなれる。文化的な欲望はいくら追及しても貪欲に陥る事もない。その辺の心の考察も不足していたわけです。現在の経済学にも言えますが、文化的な価値も経済学に取り入れない限りは人間はどうにもならないわけです。

  あと、時代状況ゆえに仕方なかったと思いますが、エコの問題も述べられていない。マルクスの思想をテキストみたいにした旧ソ連にも公害問題が起き、特にカスピ海に注ぐ川の流れを改変させて、カスピ海周辺では塩害も起きた事は有名です。勿論、公害問題は資本主義国でも深刻ですが。

  一人間の述べる事には何事にも限界がある。マルクス自身も自分の書いたものが国作りのテキストになる事は想定していなかったでしょう。資本論に限らず、何かの本を絶対視もできないものだと思います。