レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

隣りのエルバちゃん

2012-09-18 05:00:00 | 日記
私の住むアパートは6世帯が入いる、そんなに大きなブロックではありません。各階2世帯なのですが、私の隣りには若夫婦が住んでいて、エルバちゃんという3歳の女の子がいます。お父さんお母さんはアイスランド人ですが、エルバちゃんは髪の毛も瞳も真っ黒な中国系の顔立ちです。

そうです、エルバちゃんは養子なんです。

去年の夏、引っ越して来た当時は玄関先でなど顔を合わせると、じーっと不思議そうな顔で私を見つめます。日本人の私を見て、子供心にも「この人はなんか仲間っぽいな」と感じていたのでしょうか?へへ)

ちょっと調べたのですが、アイスランドでは毎年40-50件の養子縁組みがあるようです。そのうちの半数が国外から養子を迎えるケースです。どこから来るのかと言うと、やはり中南米やインド、中国などが多いようです。経済的な理由から子供を適切に育てられない、ということが、これらの養子縁組の大きな理由として存在するようです。

もちろん、これらの養子縁組は誰でも勝手にしていいわけではなく、法律に則り、公的な機関が申請の受理や受け手の審査を行います。年間で多い時には50人近い赤ちゃんが養子としてアイスランドに迎えられています。平均すれば20人程度とのこと。

体外受精など赤ちゃんの出産に関しては、大きな変化が訪れており、この地でも盛んな議論が持たれています。ただ、その一方でこのように養子を迎えるという選択肢を取る夫婦も少なくはないわけです。

私はこの辺はアイスランド人の偉いところだと思うのですが、子供の授かりがない場合に照らうことなく養子を迎え、しかも傍目にも「養子」と分かる肌の色の違う子供を毅然として自分の子として生活をしています。また周囲でもそういうことを特別な問題として見ている風はありません。

私は移民の人を相手にした牧師ですので、ティーンの歳に達した養子の子から相談を受けたこともあります。決して全てが容易なわけではないのでしょう。ただ、それでも知っているいくつかの例を見る限りは、それぞれにアイスランド人として成長していっているように思われます。

国籍とか、自分の生い立ちのルーツとか、人はどういうところに求めるのでしょうかね。国籍や母国を軽んじるつもりはありませんが、あまりにそれらに囚われ過ぎることも望ましいことではないように思います。



エルバちゃんが描いてくれたトシキ


日本へ行く度にキティちゃんなどのお土産を隣りのエルバちゃんに買ってきます。エルバちゃんは大きくなって、生まれた国である中国をどのように自分の中に位置付けるのでしょうか?私がとやかく言える問題ではありませんが、できればポジティブな方向で受け止めてもらいたいものです。

その時にはもう、今のような「センカク」のごたごたは治まっていますように。
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