Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

嵐の夜が明けて

2017-09-19 | Walk on

 

夜半の嵐は、心穏やかではない。

その日一日NHKは台風情報を流し続けた。

九州に上陸した台風は、TVの切迫した嵐の臨場感とは裏腹に、

シトシト粉糠雨が降ったり止んだりを繰り返す、

いたって穏やかな二百二十日過ぎの秋の雨降りだった。

15日は放生会(ほうじょうえ)、氏神様のお祭りだと先日、総代さんが言っていた。

目の神様として近郊でも信心を集め、参道に出店が並ぶ賑やかなお祭りだったらしい。

一番近い八坂寺のバス停まで、お祭り当日、臨時バス便が出るほど。

今は寂しく境内で餅撒きをする程度だとか。

雨のお祭りになったようだ、と憂いていた。

夕刻から雨風の音が、急に変わった。

17時を過ぎると、どんより闇が降りてきた。

ゴーゴーガタガタ家鳴りが轟き、時折ドーンと衝撃音が走る。

なにせ築数十年の老朽家屋である。

雨漏りは直したが、地震が来たら本に埋もれて圧死すると覚悟している。

19時のNHKニュースは、全国放送で市内を流れる重信川が危険水域に達したと増水した川の映像を流す。

同じく冠水したマンションの映像は、同じ町内の建物。

あの普段は涸れ川で申し訳程度しか水の流れない重信川が、橋桁のレッドゾーンに迫る濁流と化している。

私の住む街は、市内を流れる重信川、石手川、小野川に挟まれた中洲に広がる低地。

市内一番の一級河川、重信川が決壊すると、あっという間に浸水してしまうだろう。

一度、小野川が増水して町内まで浸水したことがある。

それも真っ暗な夜半から明け方にかけて、川が決壊すると目も当てられない。

夜半に雨は止んだが、安心できない。

山に降った雨水が支流から本流に流れ込んで来て、一気に閾値を超える。

最近の自然災害は、今までの常識がまったく通用しないことを如実に物語っている。

短時間に降る雨量が半端でないのだから。

眠っている間に家が浸水しては敵わないと、一階の仏壇の位牌や遺影に布団などを二階に担ぎ上げた。

NHKの災害特番の被災シミュレーションを観ておいて良かった。

自然災害に対する警報は、過敏であるくらいが丁度いい。

何事もなければ、それで済むが、その逆は取り返しのつかないことになるのだから。

気候変動による自然災害は、もう今までの気象データが通用しないところまで来ているようだ。

香港やアメリカ南部を襲ったスーパー台風が日本列島に猛威を振るう可能性も増している。

元々、日本列島は、地震、津波、火山の噴火、台風の自然災害の頻発する気候風土なのだから。

自然に対する畏れの感情は、日本人の基調をなす気質であり信仰心の発露だろう。

どうも文明の恩恵を当たり前のように享受する近代化以降、私たちは、この畏敬の念を忘れてしまったようだ。

 

一夜明けて、台風一過の朝、重信川沿いのサイクリングロードを自転車で走り、皿ヶ嶺山麓まで。

すっかり水は曳いているが、河川敷のグランドや公園まで土砂や流木が堆積する痕跡が。

ところによっては、土手のサイクリングロードまで土砂が流れ込み、

下の田圃が冠水した痕跡が見られた。

明け方まで雨が降り続いていたら、危なかっただろう。

そう予感させる台風一過の風景だった。

皿ヶ嶺山麓の里山で秋の風景を拾った。

雨上がりの青空に緋色が映える彼岸花に土手一面のツルボの群生。

アキアカネ、ナツアカネ、ミヤマアカネと赤トンボの楽園に遊んだ。

黄昏の光に映える野芥子の咲く秋の草叢の風情が好きだ。

 

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2 コメント

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拾った秋 (鬼城)
2017-09-20 08:27:03
確かに頂きました。ごちそうさまですね。台風、近くよりも北側の方が影響があったようですね。宇和島は雨でした。避難勧告が出ていましたが、いたって靜か・・・川の氾濫、なぜか?普段は水量は少ないのに大雨が降ると決壊するような濁流が・・・雨がやむと涸れ川に近い。コンクリーで固めた護岸工事が影響しているのではと思わざるを得ない。異常気象・・・要因は地球温暖化が主だと思うのですが、どうでしょう?
気候変動の時代を生きる (ランスケ)
2017-09-20 11:04:57
気象予報の精度は人工衛星による地球全体を俯瞰する観測の成果で確実に進化しています。
それでも最近の急激な気象変化を予測しえないと気象学者は危機感を抱いています。

主な原因は温暖化による海水温の上昇で大気の流れが変わってしまったことにあるようです。
日本列島に大きな影響を及ぼす偏西風の流れまでもが変化しているとか。

だから狭い範囲にだけ雨雲の流れが集中する現象や
時間の経過と共に衰える台風が海水温の上昇のせいで勢力を増すなんて現象も起こっています。
もう何処で、どんな災害が発生するか予測不能な状態ですね。
私たちは、そんな気候変動の時代に生きているのだ。ということを肝に銘じる必要があります。

気象予報も変わりました。
気象学者たちは度重なる予測を超える災害の頻発に危機感を抱き、
災害警報の段階を詳細に明示して避難誘導するようになりました。
これには謙虚に耳を傾ける必要があります。
私たちには東日本大震災の教訓が深く胸に刻まれています。

北朝鮮によるミサイル騒動は米国と北朝鮮、それに中国やロシアの政治的思惑が絡んだ人為的厄災です。
これは100%対話による解決しかありません。
武力行使の結果は、そのまま米国の介入した戦争後の混乱の世界情勢を見れば明らか。
何処かの阿呆は、その尻馬に乗って危機感を煽っていますが。
本当に勘弁してほしいです。

台風一過、秋が深まってきます。
鬼城さんも秋の石鎚へ向けて期待感が増してきますね。
9/20過ぎれば、そろそろ山の樹々も色づいてきます。
後は順調に気温が下がってくれるのを待つばかりです。
平地の最低気温が20℃を下回り17℃くらいになると、石鎚山頂付近の紅葉は一気に加速します。
お楽しみに。

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