Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

雨待ちの木蔭

2017-06-20 | Walk on

 

カラカラ…日照りの梅雨である。

昨日は、初めて30℃を越えた。

空気が乾燥しているので、うだるような暑さではない。

木蔭にいると、ひんやりやり過ごせる。

谷津の奥の溜池を覗いてみた。

そろそろ桔梗の咲く頃かと見当をつけた。

オカトラノオ(岡虎の尾)の白い尻尾が茅場にチラホラ。

 

植物の漢字表記に疑問を呈する記述を見かけた。

どうも百田尚樹の失笑を買った「漢文不要論」を始め、漢字文化を否定する傾向があるようだ。

表意文字である漢字は、表音文字であるカナやアルファベットと違って、

その文字を見るだけで意味を理解できるようになっている。

だから明治の文化人たちは、漢字文化圏である東アジアから東南アジアの一部まで、

筆談だけで、おおまかな会話が成り立ったという。

そして西洋文化の翻訳は、日本語訳と併記して漢文訳も行い、

広く東アジアの文化人たちにも読まれたらしい。

民族主義や愛国心という概念も、現在と明治の近代化黎明期では、まったく別のものに見えてくる。

ケント・ギルバートのヘイト本(愛国ポルノと云うらしい)が30万部も売れている恥ずかしい現状を見ると。

いつから日本は儒教文化圏を外れてしまったのだろう?

尊王攘夷思想の水戸学派が教本としていたのは、何だっけ?

百田尚樹の本もそうだが、なぜ、あんな底の浅い憎悪を煽るようなヘイト本に騙されてしまうのだろうか?

自分の信じたいものにしか関心を示さないポスト真実の時代の特徴なのだろうか?

それは人類が積み重ねてきた叡智や多様な文化の否定でしかない…哀し過ぎる。

 

溜池の奥では、箆鮒(ヘラブナ)釣りの人と出会った。

釣りは鮒に始まり鮒で終わる、という有名な言葉もある。

バス釣りが主流の昨今だが、午後遅い山間の池畔で、長閑に和竿を振る人の姿は、なかなか良いものだ。

「めっきり箆鮒の姿を見なくなった」と釣り人は嘆いていた。

傾いた陽射しを待って、木蔭に射す淡い光に浮かぶ糸蜻蛉(イトトンボ)の姿を。

蜉蝣(カゲロウ)のように淡く儚い、このトンボが好きだ。

帰路は一面の水田に浮かぶ氏神様の杜を黄昏の光の中で。

さぁ、いよいよ明日から待ちかねた雨の予報…

 


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 八ツ塚夕映え | トップ | 雨上がりの空を映す »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
秩序の破壊者 (ランスケ)
2017-06-21 10:35:12
国の秩序を守るべき為政者が、ことごとく真実であることや守るべきルールを蔑ろにしているのですから、
安倍内閣は保守ではない。破壊者だ。
という言説が正しかったことが、日々証明されてきました。

安田登 ‎@eutonie

萩生田氏関連の文章。
専門家が「行政文書である」といっても行政側は「行政文書ではない」との見解。
専門家が何をいっても閣議決定で決められる。
稲田氏を始めとする日本神話に関連する発言も、まるで日本には記紀・風土記以外の神話があるかのよう。
これも専門家が何をいっても閣議決定されるかも。


Mitsuyoshi Numano‏ @MitsuNumano ·

テレビのニュースを見ていると、このところ、どんどん顔が醜くなってきたように思える政治家が何人もいる。
嘘ばかりついていると心に負担になるのか。
ということは、やはり心はあるのか。
シンボルスカの詩によれば、人は魂を持つこともあるけれども、持たないでいることも多いそうだが。
漢字文化 (鬼城)
2017-06-22 07:13:20
昔、卓球をして居た頃の話です。
中華料理店を開いた中国の方が練習させてくれと来られた。
日本語はほとんど分からず、身振り手振り・・・
生徒がサーブについて聞いたけれど?
生徒はメモ帳を出し、漢字で「回転?」と書いて示した。
すると実演とピン球でレシーブ方法を・・・
ランスケさんが書かれているように文化圏は東南アジア・・・
篦鮒の漢字は初めて見ました。
政治家は傲慢!謙虚さ、潔さが無い。
国民のため?自分のためだろう!
自国の文化を葬り去る愚行 (ランスケ)
2017-06-22 11:13:46
雨が、よく降りましたね。
昨日は雨上がりの虹を期待して出掛けました。
でも、雨が止んで日が射すまで時間が空いたのでダメでした。
なかなか虹の風景に出会うのはタイミングが難しい(笑)
待ちかねた雨の季節なので、色々、雨ならではの風景を探してみます。

いつもコメントを書き込んで頂いて恐縮です…
書き難い話題なら、どうかスルーしてください。
近頃、コメント欄はツイッター代わりに使っていますから(笑)

唯、美しい風景だけを掲載していれば、多くの人が気楽に訪問してくれることは分かるのですが、
それでは自分の気持ちを偽っていることになります。
3.11の震災以来、風景の見え方が、まったく変わってしまいました。

目の前の自然を在るがまま捉えていると、今の私たちの姿は、余りに歪に見えて来ます。
昔の日本人は自然の循環と共に生きて来たと思うのですが…
民俗学や自然科学の本を読んでいると、それを強く実感します。
その自然観や宗教観に。

鬼城さんの卓球を通じた交流は、良いお話ですね。
私も春先に八坂寺で会った台湾からのお遍路さんとのコミュニケーションに、それを感じました。
特に台湾は古い漢字文化が残っていますからね。
中国本土も漢字は簡略体に変わりました。
韓国は漢字教育を廃止したようです。
だから自国の古典が読めなくなっているようです。

ほんの百年から二百年前まで日本人にとって教養とは漢文を読むことだったのです。
韓国同様、自国の古典を葬り去るような愚行をしてはいけません。
それでは世界遺産の仏教遺跡を破壊するイスラム原理主義のテロリストと同じです。

自分たちの先祖が築き上げた貴重な文化を大事にしないと。
中国憎けりゃ、なんて短絡的な感情で自国の豊かな文化を破壊するのだけは止めてほしい。
時々、日本人は、こんな愚行を平気でやってしまいますから…廃仏希釈のような。
少子化の要因 (ランスケ)
2017-06-22 13:26:08
この指摘は、かなり的を射る内容ですね。

団塊ジュニアが結婚、出産適齢期に当たった90年代後半に労働市場の自由化が始まり、
企業は派遣労働や非正規雇用を増やしました。
賃金は下がり、本来なら結婚して家庭を持ち、子供を作るはずの世代に
第三次ベビーブームが起きませんでした。
こんにちわ (しずく)
2017-06-22 16:39:07
心温まるコメントをいただき、ありがとうございました。

今は、のんびりと里山歩きや花巡りで有意義に過ごしています。色々な発見があって、楽しいものですね。

花は、カタカナだと覚えきれなくて、いつも漢字表記や別名(ついでに花言葉も)合わせて調べることで、頭に入ります。
命名するには、何かしらの歴史・関わりがあったはずなので、先人の方々がどんな思いでこの花を見つめていたんだろう・・・と想像しながら眺める時間も楽しいと思いますが・・・

先日、見つけた「トウゴクシソバタツナミソウ」は「東国紫蘇葉立浪草」
花の特徴と想像力を膨らませて覚えました(*´▽`*)とっても綺麗な可憐なブルーの花でした・・・

これからも花を見つけたり、空や風を感じながら、自分なりの時間を大切にしてアチコチのんびりと出掛けて行きたいです。

また、石鎚山でお会いできる日を心待ちにしています。
ありがとうございました。
おめでとうございます (ランスケ)
2017-06-22 18:31:37
しずくさん、おめでとうございます。
風景写真誌で優秀作品賞は、本当に素晴らしい。
それが石鎚山の写真なのですから、尚更です(笑)

http://aoisizuku1982.blog.fc2.com/

コメント欄に書き込みをして送信すると非公開になっていました。
私の手違いだったのでしょうか?
しずくさんには、二度手間になってしまいましたね。御免なさい。

コメントにも書いたように、最近のしずくさんの作品に取り組む姿勢には共感を抱いていました。
巷に溢れる誰かの真似でなく、自分の写真を撮ろうと努力されている様子が
ブログ掲載の写真から充分に窺えました。
そのことは、Masaさんやペンタ君、光るキノコ事件のNさんにも話していました。

その努力の結果が、こういう最高の形で報われて、本当に良かったですね。
しずくさんの云うように、小さい頃からお父さんと通ってきた、お山の神様からの贈り物です。

私もブログで云っているように、通い続ける場所は、
そこから何かを受け取っている場所なのです。
そんな場所が、手垢のついたパワースポットじゃなく、自分自身にとっての聖地なのだと思っています。

しずくさんとは、自転車や石鎚山と嗜好が似ているようです(笑)
ゆっくり身体を治して、またお山でお会いしましょう。

コメントを投稿

Walk on」カテゴリの最新記事