Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

夏の残像

2017-08-13 | Walk on

 

 

ある日を境にして、何かがくっきり色分けされることがある。

物事は、そんなに単純に区分けできるものではない…そう思いたがっているだけで、錯覚だ。

というのが昨今のカオスや複雑系を経由してきたポストモダン的解釈だろうか?

ところが偶に、こういうことが起こる。

台風一過のその日がそうだった。

立秋過ぎの、その日を境にして夏は峠を越えていた。

もう猛々しい、あの焼けつくような酷暑は影を顰め、朝夕めっきり涼しくなっていた。

お盆の墓参を11日に済ませた。

寝坊して菩提寺に到着したのが、日盛りの正午過ぎだった。

河口を望む墓所はミンミンゼミの蝉しぐれの中、容赦ない陽射しが照りつけていた。

半年分の堆積した落葉と旺盛に繁茂する夏草と4時間格闘して、

ツクツクボウシとヒグラシの蝉しぐれに変わった17時前、やっと片付いた。

昨夏は、何度も井戸水を浴びて、火照った身体を冷ました。

今年は、それがなかった。

陽射しは容赦なかったが、川風が涼しいのだ。

宇和島のその日の最高気温は33℃だった。

やっぱり少し凌ぎやすい。

エアコンなしの夏を7年も続けていると、暑さに対して耐性ができて来たのかもしれない?

「原発止めるなら、電気を使うな。夏にエアコン使うな」

と云われて意地を張ったカラ元気も7年続ければ身体も馴染む(笑)

不便であることは、身体も使うし頭も使う、意外とこれが私の健康法かもしれない?

夏は暑いのが当たり前なのだ。

外気の環境に対応できない身体は、何処か健全であることから逸脱しているように思える。

前置きが長くなった。

夏が終わってしまわない内に、朝から郊外を西から東。

夏の一本道。

青田の海の中に、すーっと延びた一本道。

これが私の夏の原風景だ。

昔は当たり前のようにあった風景が、まったく見られなくなってしまった。

郊外の田園地帯を自転車を走らせるが、視界の先に宅地や工場が必ずある。

もう東北自転車旅で見たような地平線まで延びた一本道。

そして道沿いに並ぶ電信柱の連なりによる遠近感。

こんな風景は、ここ四国では失われた風景となったようだ。

仕様がないので河川敷のイネ科植物が風に靡く草原風景や農免道路の短い一本道を。

鎮守の杜の照葉樹の森が放つ夏の匂い。

色濃い木下闇や石段や祠に影を落とす木漏れ陽の揺らぎ。

里山の奥の茅場に咲く桔梗も、すっかり色褪せ、女郎花(おみなえし)が咲き始めていた。

青空に映えるコスモスは、オレンジとレモンイエローの配色。

この色合わせは初めて見た。

生き物たちも命を繋ぐために残された時間を精一杯生きている。

黄昏の光の中、トンボが肉食であることを改めて垣間見た。

キイトトンボの咥えた先には同種のイトトンボの透けた翅と頭があった。

大型トンボのヤンマは、シオカラトンボなどを捕食するという。

川面では♂♀が繋がって水草の上に産卵を繰り返す。

短い一生を終える生き物たちの命の季節も残り少ない。

 

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10 コメント

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墓参 (鬼城)
2017-08-14 07:23:19
お疲れさまでした。
日中は暑い!私は10日でしたが、我が家のみになったので1時間ほどで済みました.。
ランスケさんが書かれているように、立秋を過ぎ、台風一過・・・
朝夕の感じが違ってきました。
今朝は蝉の声が小さくなって、涼しい・・・
秋が来ているんですね。コスモスの色柄も変わってきているし、景色も変わっている。
これに順応しなければならない、先行き不透明です。
しかし、しっかり自然界で動植物は生きている。
頑張らねば・・・
季節の旬な時間は短い (ランスケ)
2017-08-14 12:55:06
めっきり朝夕、涼しくなって来ました。
今週は低気圧が停滞するので、日中の暑さも随分和らぐと思います。

季節の暦は、よく出来たもので気候変動の昨今でも立秋過ぎると空気が変わるようです。
緯度の高い東北では、お盆過ぎると日中の気温も25℃止まりでした。

一年中、自然の中で生き物たちの営みを観察していると、
意外と季節の旬な時間は短いものです。
今年の夏も終わろうとしています。

そろそろ山へ入って、秋の気配を感じて来ましょうか?

氏神様の撮影の際、宮司さんと話す機会がありました。
集落の氏神は存続の危機にあるようです。
地縁、血縁が希薄になって来た現在、地方の風土に根差した土地の神々は消えてゆくしかないと嘆いていました。
その返す刀で利権と結び付いた日本会議に連なる有名神社を批判されていました(笑)
「森(杜)のない神社など神の宿るところではない」という至極真っ当な言葉が印象的でした。
こんにちは。 (みどり)
2017-08-14 17:28:23
おひさしぶりです。
いつも写真を見ています。

台風が去って、関西でも確かに空気の質が変わりました。
今年の夏も終盤だと思います。

エアコンなしを7年続けておられるのですか。
立派ですが、都会では暑さが半端ではないので難しいかも。
うちは去年からソーラー発電してます。
余った電力は売って、試算によれば装置代を償還するのに15年かかります。
生きているかどうか分かりません(笑)。
何もしないよりは良いと思っています。

「森(杜)のない神社など神の宿るところではない」
至言です。

自前の電力供給は理想 (ランスケ)
2017-08-14 18:54:20
みどりさん、こんにちは。

確かにヒートアイランド現象の都会では、エアコンなしの夏は無理でしょうね。
私も東京のマンション暮らしの頃は、エアコンに依存していました。
今、私の住む場所は市街地といっても近くに田圃や畑も残っています。
田圃に水を供給する用水路もあるので、それなりに夜間は涼しい風が吹きます。
だからこそ多少の不便を我慢すればエアコンなしの生活も可能です。

みどりさんは自前の自然エネルギーによる電力供給を試みられているのですね。
私より、ずっと前向きだと思います。
あの3・11の震災以降、私たちが依って立っている快適な暮らしが、実はとても脆弱なものだと思い知らされました。
自分たちに出来ることは、なるべく過度なサービスに頼らないで自前で片付けたいものです(笑)

田舎暮らしの自然便り、これからも続けてゆきたいと思っています。
終戦の日に寄せて (ランスケ)
2017-08-15 13:00:26
今日は終戦の日。
あの日から72年目の夏です。

NHKの終戦特集を、ずっと観ています。
731部隊、樺太の終わらなかった戦争…どれも今に通じる変わらない日本的統治機能が炙り出されています。
今夜放送のインパール作戦は、その極みでしょうね。

http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/trailer.html?i=11217

憲法を変えて再び戦前の価値観に舞い戻ろうとしている現政権とその支持団体、日本会議です。
愚かで無謀な戦争へと国民を導いた、あの亡国の国体思想です。
Unknown (まあちゃん)
2017-08-16 11:03:35
美しい残暑の写真と文章ですね。(^-^)
うちはトイレに歳時記カレンダーを飾ってありまして(笑)、いつもそれをじっとにらんでいるのですが、ランスケさんと同じように「暦というものはほんとうによくできているなあ・・」と思います。
「涼風到」と書いてあれば、夜がぐっと涼しくなりましたし、「寒蝉(ひぐらし)鳴」と書いてある前日に、この辺でも蜩が鳴き始めました・・。
今日は送り火。なんとなく淋しいような、そんな気分です。
カレンダーによると明日は「蒙霧升降(もうむしょうごう)」。この雨と蒸し暑さ・・・山は霧が立ち込めていることでしょうね。
歳時記の風景を追って (ランスケ)
2017-08-16 12:26:26
まぁちゃん、こんにちは。
ブログを覗くと、おっと惹きつけられました。

http://ameblo.jp/ma-chanpp/

金原まさ子、この俳人は異形の研ぎ澄まされた言葉を息を吐くように詠む。
見慣れた風景に、ざわざわ漣を立てるような肌が粟立つ感覚が走ります。

さすが、まぁちゃんです(拍手)
コメントに綴られた言葉も美しい。

歳時記は夫婦で俳句に親しんでいた両親の影響です。
よく二人で郊外に散歩がてら吟行に行っていました。
身体が衰えてからは、私が二人を車椅子に乗せて季節の野山を散策しました。
懐かしい想い出です。

前回、お会いした時に紹介した梨木香歩の新潮文庫から出ている「家守綺譚」はお薦めです。
京都東山の留守宅を間借りする百年前の文士を巡る季節の歳時記です。
庭の百日紅に懸想されたり、琵琶湖を秋風に乗って渡る竜田姫一行の風渡りや
疎水端で日がな一日、ぼーっと佇む獺(かわうそ)暮らしや…
長閑で美しい百年前の日本の風景の中に、どっぷりと浸れます(笑)
夏の読書にはお薦め。
続刊の「冬虫夏草」も同じく新潮文庫から出ています。

まだ残暑厳しそうですが、秋の気配も、其処彼処に。
まぁちゃん御夫妻も、芒の穂波が揺れる初秋の野山を散策してください。
Unknown (まあちゃん)
2017-08-16 15:36:26
ランスケさん、丁寧なお返事ありがとうございます。ランスケさんのブログ楽しみに拝見しています。(^^)
お父様お母様は句作をなさってたのですね。素敵ですね。ランスケさんがお二人を車椅子に乗せて散策する姿、思い浮かべると涙が出ますよ。

私も最近ようやく詩歌のよさがしみじみとわかってきました。短い言葉は、心に残すものが大きいですよね。(涙)
そんな感じなので、ここのところは詩集や歌集にずぶりずぶりと浸かりつつあったのですが、一昨日は女性作家が書いた警察とヤクザもののミステリー「孤狼の血」を読み終えました。そして夕べからは三浦綾子の「塩狩峠」です。
読むのが遅いので、のらりくらりといろんな世界を行き来しております。(笑)
梨木香歩さんの本、2冊古本屋でゲットしましたよ。
次は、梨木さんの世界へ・・
楽しみです。
またいろいろ教えてくださいね~。
本のお話 (ランスケ)
2017-08-16 21:22:42
まぁちゃん、仰る通りだと思います。
詩人の綴る研ぎ澄まされた言葉には畏敬の念を抱きます。
文章が巧いと云う事よりも、発せられる言葉が粒立ってくるようなプリミティヴな触感を刺激する言葉に魅かれます。
表意文字としての言葉は、本来、「言霊(ことだま)」と表現される霊的な存在ですから。

私は本の虫が高じて作家になったような人が好きです。
子供の頃から本の世界に耽溺して来た人には、同じように観て来た世界の眺望が開けています。
幸運な錯覚だとしても(笑)

村上春樹、池澤夏樹、小川洋子、川上弘美、梨木香歩みんな子供の頃から本の世界に耽溺してきた人たちです。
まぁちゃんの好きな三浦しをんも、そうですよね。
私は、最初、この人の書評が好きで、その作品を読み始めました。
本の紹介が魅力的な作家は、大体信用できます(笑)
西加奈子もいいですね。
児童文学出身の作家も好きです。
湯村香樹実やいしいしんじも。
海外の作家は、また別の機会に。
また好きな本のお話をしましょう。
模範解答 (ランスケ)
2017-08-17 10:34:40
「夏休みの宿題」

やったけど廃棄しました。

ー小中学生ー

新聞より転載。
子供は大人を見ています。
都合の悪いことは、「記憶にない。記録にない。廃棄しました。」と強弁すれば大丈夫。
歴史教科書の改竄も同じ論理。

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