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禅のことば「修証一等」

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三、 修証一等(しゅしょういっとう)


 なぜ飯を食べるのか。腹が減るからだ。人が生きる原点である。努力すること、たゆまぬ歩みを進めることも、人が人として生きる原点である。道元禅師は、仏道修行と悟りの関係の疑問に悩んだ。悟ったあと修行は終わるのか。そもそも修行とは何なのか。人が人としての歩みを続ける姿そのものが悟り(証り)であることに気づいた。「修証一等」の道理である。

                        ◇ ◇ ◇  ○  ◇ ◇ ◇ 

道元禅師の説く、ほとけさまとしての生き方は、お釈迦様から祖師方へと受け継がれてきた正伝の仏法と呼ばれています。もともと人は、ほとけさまとしての心や資質を備えているが、そのほとけさまとしての行いを実践する中に、その尊い姿が現れると説くのです。その姿は、経験や年齢などに関係なく平等に尊く、唯一の違いは、この心を目指す強い気持ち(発心)の有無であるとも説くのです。

 曹洞宗の教義の中心は、この修証一等(一如)にあります。主要経典の『修証義』の名の所以です。結果よりも過程が大切・・・。さらには、過程そのものが結果という、現在重視の教えなのです。現実の直視にこそほんとうの安らぎがあるという教えです。

 

この教えが感じられる道元禅師の言葉

 

識るべし行を迷中に立てて、証を覚前に獲ることを   『学道用心集』 

認識すべきである。悩み苦しむ混迷の中にこそ、真理に適った行いの行動を歩み始めるべきであり、その実践行を通し、答は自ずと自覚する前に備わっているものである。

  

仏法には、修証これ一等なり。いまも証上の修なるゆえに、初心の弁道すなわち本証の全体なり。かるがゆえに、修行の用心をさづくるにも、修のほかに証を待つ思いなかれと教ふ、直指の本証なるがゆえなるべし。すでに修の証なれば、証にきわなく、修にはじめなし。  『弁道話』 

仏様のみ教えは、修行と証り(さとり)は一つであると説く。今、現在に生きて、修行している現実も、すでにさとりの真実の中にいて、その自己の実現のために修行しているのであるから、この姿そのものが証(さと)りの全体(そのもの)なのである。であるために、修行の心構えを伝えることにおいても、悟りを願わず、ただ一心に修行に励むことを教えているのであり、そのままズバリ、証(さと)りを実践していることなのである。この時点で、修行そのものが証(さと)りなのであるから、証(さと)りに終着点もなければ、修行に始め(初心者やベテラン)もないのである。『弁道話』に記述されている修証についての核心をついたところであり、曹洞宗の教義の根幹を為している。この言葉に先立ち、次のように述べている。

「この法は、人々の分上にゆたかにそなわれりといえども、いまだ修せざるにはあらはれず、証せざるにはうることなし」

このみ教えは、それぞれの人に平等に十分に備わっているけれども、自己に対しても社会に対しても、まだ仏様としての行いを実践しないときにはそれは現れず、修行とともに仏として自己を証さないかぎりは、会得することはないのである。)

今、行っている行為そのものが結果と表裏一体、同時実現、鏡に映された姿。辞めてしまうと水泡に帰す。

 

 

他(かれ)は是(こ)れ吾(わ)れにあらず、更(さら)に何(いず)れの時(とき)をか待たん 
  
『典座(てんぞ)教訓(きょうくん)

他人がしたことは自分がしたことにならない。今やらないで、いったい何時、最適な時が来るというのだ。

 

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当寺では、毎彼岸の入り日に写経会を行っています。

こういう時にはこうしよう。そうなったらああしよう。・・・、思い描くことは沢山ありますが、実践しない限り何も動きません。頭の中では理屈をつけて手順を考えますが、この世界、とっくに回っていますし、自分の身体そのものも、とっくに動き始めています。つまり、見切り発車の連続とも言えましょう。気が付いた時は生きていた訳ですから。

道元禅師は、この現実を直視することを厳しく説かれています。「迷中に行を立てよ」という教えは、私自身、悩み多き時代には、大きな指針となりました。

 

 

 

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
ありがとうございます。 (ペンネーム・・・アンコウ)
2017-04-24 17:50:58
『結果よりも過程が大切・・・。さらには、過程そのものが結果という、現在重視の教えなのです。現実の直視にこそほんとうの安らぎがあるという教えです。』

今までいろいろとほかで読みあさってきましたが、この修証一等の解説、心にストンと響きました。ありがとうございます。
 
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