毎月書いているエッセイ、身辺雑記を掲載
はるかな日、きのう今日
6月の本
黒井千次の2冊
今月は読み応えのある本に巡り会いました。『日の砦(黒井千次、講談社2004年)』と同じく黒井千次氏の『一日 夢の柵(講談社 2006年)』です。どちらも定年退職した男を主人公とした連作短編で、前者の帯には「郊外で暮らす男の日常と、穏やかな日々の底にひそむ正体の掴めぬ不安に迫る連作小説」とあり、確かにそのような出来事が次々と起こるわけですが、だれでもこれに近いことはあるのではないかと思わせるムードが漂っていました。後者もその続編という感じで、1996年から2005年にかけて文芸誌に発表された12編。退職して奥さんとの二人暮し、郊外の一戸建ての家と似たような環境にある身には親しみを感じますし、奥さんとの会話などわが家で交わされているのとそっくりで、どこも同じなのだと思ってしまいます。
2冊目の本の「影の家」の冒頭部分の「家は外側から成り立っている。道を行く人の目には、屋根や、壁や、窓しか見えない。他人の家の話である。(中略)人が昔住んでいた家を懐かしく思い出すのは、内側から触れていたからではあるまいか。」(前掲書、33ページ)という書き出しは、その結末にも見事につながり、このような短編小説ならでこそと思います。
「ニュートン、2008年2月号」
「タンパク質はこうしてできる−徹底図解 セントラルドグマ」はタイトルどおり、12ページから55ページにわたり実にきれいな、詳しいイラストでタンパク質はとはどういう物質なのか、どのように働くのか、どのように作られるなど、解明されていった歴史を交えた編集に感心しました。かつて勉強して知っていたこと、時代と共に分かるようになった経緯なども興味深く読みました。また、よくここまで詳しいイラストが描けるようになったものだ驚きますし、これほど美しく描ける人がいるのにも感嘆します。
『堂々たる政治(与謝野 馨、新潮新書 2008年)』
政治家の書いた本は広告などで見ても買ってまで読まないものですが、カミさんが知人にもらったのを取り上げて読みました。「30日間だけの官房長官」に始まって安倍総理辞任時の裏話、小泉構造改革とは、自分の生い立ちや政治家になるまでの経緯、出合った政治家の横顔や言動など、読み進む内に興味がかきたてられ、一気に読んでしまいました。また、「薬害は国が救済しろというけれど、それは税金で行うことなので、国民が負担しているのだ」、という議論には納得するところがありました。さらに、これからの社会保障は皆で負担しなくてはならず、消費税も10%を覚悟しなければならないという理屈にもなるほどと思いました。この本を読んでから新聞紙上の氏の名前が目につくようになったのも事実です。
今月は読み応えのある本に巡り会いました。『日の砦(黒井千次、講談社2004年)』と同じく黒井千次氏の『一日 夢の柵(講談社 2006年)』です。どちらも定年退職した男を主人公とした連作短編で、前者の帯には「郊外で暮らす男の日常と、穏やかな日々の底にひそむ正体の掴めぬ不安に迫る連作小説」とあり、確かにそのような出来事が次々と起こるわけですが、だれでもこれに近いことはあるのではないかと思わせるムードが漂っていました。後者もその続編という感じで、1996年から2005年にかけて文芸誌に発表された12編。退職して奥さんとの二人暮し、郊外の一戸建ての家と似たような環境にある身には親しみを感じますし、奥さんとの会話などわが家で交わされているのとそっくりで、どこも同じなのだと思ってしまいます。
2冊目の本の「影の家」の冒頭部分の「家は外側から成り立っている。道を行く人の目には、屋根や、壁や、窓しか見えない。他人の家の話である。(中略)人が昔住んでいた家を懐かしく思い出すのは、内側から触れていたからではあるまいか。」(前掲書、33ページ)という書き出しは、その結末にも見事につながり、このような短編小説ならでこそと思います。
「ニュートン、2008年2月号」
「タンパク質はこうしてできる−徹底図解 セントラルドグマ」はタイトルどおり、12ページから55ページにわたり実にきれいな、詳しいイラストでタンパク質はとはどういう物質なのか、どのように働くのか、どのように作られるなど、解明されていった歴史を交えた編集に感心しました。かつて勉強して知っていたこと、時代と共に分かるようになった経緯なども興味深く読みました。また、よくここまで詳しいイラストが描けるようになったものだ驚きますし、これほど美しく描ける人がいるのにも感嘆します。
『堂々たる政治(与謝野 馨、新潮新書 2008年)』
政治家の書いた本は広告などで見ても買ってまで読まないものですが、カミさんが知人にもらったのを取り上げて読みました。「30日間だけの官房長官」に始まって安倍総理辞任時の裏話、小泉構造改革とは、自分の生い立ちや政治家になるまでの経緯、出合った政治家の横顔や言動など、読み進む内に興味がかきたてられ、一気に読んでしまいました。また、「薬害は国が救済しろというけれど、それは税金で行うことなので、国民が負担しているのだ」、という議論には納得するところがありました。さらに、これからの社会保障は皆で負担しなくてはならず、消費税も10%を覚悟しなければならないという理屈にもなるほどと思いました。この本を読んでから新聞紙上の氏の名前が目につくようになったのも事実です。
| 前の記事へ | 次の記事へ |
| コメント |
| コメントはありません。 |
| コメントを投稿する |
|
|
| この記事のトラックバック Ping-URL |
|
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
|

