的中車券が失格で紙屑に

2017年03月30日 22時36分31秒 | 未来予測研究会の掲示板
立川競輪2日目は、1レースから荒れていた。
穴党の出番である。
多くの競輪ファンは年金生活者であり、取手競輪も他の競輪場と同様に、本場(ほんじょう)開催では赤字である。
このため、全国各地で開催されている競輪の場外車券の販売でなんとか維持している状況だ。
おそらく、本場の車券は大して売れないので、出場選手の賞金や働くスタッフやガードマンたちの経費も出ないであろう。
利根輪太郎は聞いてみた。
「何時も、いくらくらい使うの?」
「3000円だね、そうでなければ、毎日、来られないさ」
「そうでしょうね」と納得する。
「女房に月に、3万円から5万円もらってくるから、穴買いして返すんだ。もらいぱなしじゃ、女房は納得しないだろう」
守谷から来ている小倉伸治は、元は東京・木場の材木屋で働いていた。
定年後、競輪を始めたのである。
78歳であるが、口も達者で言いたい放題である。
彼の雑音に左右される人もいる。
声が大きいので、聞きたくないのに、耳に勝手に入り込んでくるのだ。
「本命の5番なんか、買うなよ!調子悪いから、俺は毎日、見ているから分かるんだ」
利根輪太郎はそれに反発するが声に出さない。
「5番選手は、それほど調子悪くはない。連は外すまい」と確信していた。
小倉は何時も人気薄のラインの捲り(追い込み)に期待している。
「調子の悪い5番と9番がやり合うだろう。そこで6番の出番だ、6番を騙されたつもりで買ってみな」
輪太郎は小倉の声が届かない場所へ移動する。
「あのほら吹き、100円しか買わないんだ。それで当たったと大騒ぎする。世の中には、10万円、20万円で勝負している人間も居るんだ」
倉田満雄は苦い表情を浮かべる。
宮元武蔵は温泉に行くと先日言っていたので、姿を見せない。
「桜の時節は温泉だ。金出してやるから行くか?」と武蔵に誘われたが、輪太郎は断った。
さて、本題であるが、輪太郎はツキに見放され、7連敗である。
つまり、7日間も負け続けていた。
4レースのA級準決勝、3番松田功一郎選手(90期 茨城 31歳)を車券の頭とした。
3-4の並びで2車単は2番人気。
1番人気は7-5-2ラインの5番の3-5。
輪太郎は、3番選手が捲りに回るので、3-4は買わない。
7番選手の菅原大也選手(107期 神奈川 25歳)は逃げる展開。
直線が長い立川競輪場では、先行ラインは直線まで持たないので、7-5-2を外す。
そこで3-1、3-6、3-8 3-9を買う。
3番選手は輪太郎の思惑とおりに、完全に捲りきる。
3番選手の走行ばかりに集中していたので、落車した選手の存在を知らなかった。
久しぶりの美酒を頭に浮かべて、輪太郎は払戻場へ向かっていた。
3-8で決まったのである。
4番選手も5番選手も敗退したのだ。
「やった!」と気分が高揚してきた。
だが、「3番選手の失格審議」の放送が流れた。
「失格審議!」何かの間違いだと思ったのだ。
そして「3番選手を失格とします」と告げられたので、唖然とした。
失格審議の走行がビデオで流れた。
「あれで、3番選手は失格なのか?!」どのように見ても、信じ難かった。
3番選手は7番選手を捲り切った時点で、内に切れ込んでいた。
その7番線が後退した段階で追走していた5番選手は煽りを食って落車していた。
3番選手が悪いのではなく、7番選手の動きの中で、5番選手は落車していた。
むしろ失格は、3番選手ではなく7番選手の斜行に原因があったと見えたのだ。
ちなみに3番選手は2月13日の高知競輪でも2日目1着で失格していた。
「ツキ」が落ちたと輪太郎はガックリした。
失格がなければ、3-8は97・3倍。
輪太郎は500円買っていたので、48万6500円になっていたはず。
今年の負けは、5万円余なので、挽回できたのだ。


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まくり3-4-8 逃げ7-5-2 まくり9-1-6 

1着 8番若林 耕司
2着 7番菅原 大也
3着 4番今村 俊雄
4着 1番長正路 樹
5着 6番古寺 伸洋
6着 9番樋口 絢土
落車 2番柴田 功一郎
落車 5番佐藤 和典
失格 3番松田 優一

2車単8-7 7万4570円
3連単8-7-4 37万3140円
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