「減薬に成功」で新点数、入院・外来ともに評価

2016年01月30日 17時42分27秒 | 医科・歯科・介護
残薬管理で処方せん様式変更
長期投薬是正で「分割調剤」


m3.com 2016年1月29日 (金) 配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は1月29日、2016年度の個別改定項目について議論、多剤投薬を適正化する観点から、入院患者の内服薬を減薬した場合の「薬剤総合評価調整加算」を新設する方針を了承した(資料は、厚生労働省のホームページ)。外来と在宅医療についても同様に、処方内容を調整して内服薬を減薬した場合の医療機関に対する「薬剤総合評価調整管理料」と、当該調整に際し、他の医療機関や薬局に照会した場合の「連携管理加算」を、それぞれ新設する。
 医薬品の残薬管理に向け、処方せん様式も見直す。処方せんの欄に新たに、「保険薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応」の欄を設け、(1)医療機関へ疑義照会した上で調剤、(2)医療機関へ情報提供――のいずれかを指示する場合には、「レ」または「×」を記載する。
 長期投薬にもメスを入れ、30日超の投薬を行う場合には、病状変化時の対応を患者に周知するという要件を課す。この要件を満たさない場合に長期投薬する場合には「30日以内に再診」「200床以上の病院の場合には、200床未満の病院、診療所に文書による紹介を行うことを申し出」「患者の病状は安定しているが、服薬管理が難しい場合には、分割指示処方せん交付」のいずれかの対応を行う。
 多剤投与、残薬・不適切な長期投薬の是正は、2016年度診療報酬改定の重要課題だ(『「不適切な長期投薬」は是正、削減対象は薬』を参照)。
■入院については「6種類以上」が対象か
 入院基本料の加算である「薬剤総合評価調整加算」は退院時に1回算定でき、対象は、(1)入院前に○種類以上の内服薬(頓服薬と、服用開始から○週間以内の薬剤を除く)が処方されていた場合に、処方内容を総合的に評価し、退院時に○種類以上減少した場合、(2)精神病床に入院中の患者では、入院直前または退院1年前のいずれか遅い時点で、○種類以上の抗精神病薬を内服していた場合、退院までの間に○種類以上減少した場合――だ。「○」の部分は、今後の検討課題だが、入院については「6種類以上」の場合に、「2種類以上」削減するという案などが挙がっているようだ。
 外来または在宅医療における「薬剤総合評価調整管理料」は月1回算定可能で、対象薬は、「薬剤総合評価調整加算」と同じ。
■処方せんのチェック欄は2種類
 残薬管理に当たって、処方せんのチェック欄を、(1)医療機関へ疑義照会した上で調剤、(2)医療機関へ情報提供――という2パターンを設けたのは、(1)では、疑義照会を受ける医療機関がすぐには対応できない場合が想定されるからだ。(2)では、いったん処方せん通りに調剤、その後に残薬があったことを医療機関に情報提供、その後に患者が受診した際に、医師は患者の服薬管理を行う際に参考にするという流れが想定される。
■薬局の分割調剤、医師の指示で可能に
 長期投薬への対応に当たって、医師が「分割指示処方せん交付」を交付する場合は、処方せんの備考欄に、「分割日数と分割回数」を記載することが必要となる。分割調剤は、長期投薬や後発医薬品を初めて使用する場合以外にも、医師が必要であると認めた場合には可能。
 薬局側はこの指示を基に、分割調剤を行った薬局は、2回目以降の調剤時は患者の服薬状況等を確認し、処方医に対して情報提供を行う。
■7対1入院基本料問題は持ち越し
中医協総会では、7対1入院基本料の算定要件も議論、「重症度、医療・看護必要度」の基準などをめぐり、診療側と支払側の意見は対立したまま。
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