とねり日記

とりことや舎人(とねり)の
どげんかせんとの日々

田んぼ事始め・畦はつり(with ハルサー)

2016年03月30日 | 田んぼ・野良仕事
冬が少しずつ退き、後を追いかけるように春が満ちてくる。
春風に吹かれて田んぼの土が少しずつ乾いてくる。
いよいよ6年目の米作りが始まるなあ。さあ、田起こしだ。心ときめいちゃうなあ。

冬を越えた田に鍬を入れ、堅く締まった土をひっくり返していくと、田の土が笑っているように感じる。でも、笑っているのは私の心。

わが舎の田起こしは「畦(あぜ)はつり」から始まる。

4月に入ると田を鋤(す)いて、5月の後半に水を入れ代掻きをするが、代掻きの前に、田の下手側(低い方)に畦を付ける。
田んぼの水持ちをよくするためだ。
これは3年前の畦付けの写真。画像データを確認すると「2013/05/23」だった。
田んぼに水を入れた後、土を寄せる。


それを鍬で均(なら)していく。この時はナガちゃんが手本を見せてくれた。


だが畦付けの前に、前年に付けた畦をはつって取り除いておかないと、年々、畦付けした分だけ田んぼが狭くなっていくことになる。
実際、私たちが田んぼを始めたころは、長年畦はつりをしていなかったせいで、だいぶ田んぼが狭くなってきていて畦の幅が2メートル近いところもあった。

さて、今年の田んぼ事始めの畦はつりは、大阪からやってきた3人家族と一緒。お泊まり(B&B)のお客さんだが、HDH(ハーフデイハルサー=半日援農)もやりたいと、お昼過ぎにやってきた。

若いお父さんとお母さん、そして小学生の女の子。
大阪の貸し農園で野菜を作っているそうだ。
「家族が一緒にやれることはないかなあ」と考えていたお母さんの提案で始めたが、最近ではお父さんの方がノリノリだとか。
体重を乗せてシャベルを使うお父さん。決まってますよ。


お母さんもシャベルを使う。
腰まで伸びたロングヘアが美しいお嬢さんも鍬を振るう。


はつった畦の土塊(つちくれ)の中から、お母さんが目ざとく野蒜(のびる)を見つける。
子どものころ、故郷の石川県で、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんと山野草を摘んだそうだ。
野蒜は天ぷらにして晩ご飯のおかずにしよう。


一人でやると一日がかりの畦はつりも今年は半日ですんだ。
しかも去年より一か月も早い。
気持ちが軽くなる。
農作業というものは遅れるとプレッシャーがどんどん強くなる。季節は待ってくれないからね。


夜はみんなでワイワイ食卓を囲む(これはイメージ写真です)。
お父さんと一緒に飲んだお酒が美味しかった。


朝食はご家族だけで食べていただく。パンは囲炉裏の炭火でトースト(同上)。


農家民宿『farmーinn とりこと舎』。
これからがシーズンです。
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春風と新しい命

2016年03月10日 | わが舎の動物たち
今年始めて、庭に洗濯物を干した。
3月3日。冬が終わりつつある。あるいは、春が訪れつつある。
野菜くずを物干し竿の下に置くと「新(シン)」たちが寄ってきた。
向かって右側手前から、シンコ、シンチャ、シンクロの3羽。


「新」というのは去年の10月30日付け入舎の新入舎員たちの世代名。
前にも書いたが、わが舎は1~2年ごとに3羽ずつ、生まれて3日目くらいのヒヨコを入れる。
シンの前は粒(ツブ)、その前は豆(マメ)という具合だ。
シンたちは冬へ向かいつつある時期にやってきたので、3か月近く、土間に置いたケージの中で飼われていた。ヒヨコは寒さに弱いのだ。2月になってやっと本物の地面に降ろしてやることができた。残雪の残る冬枯れの庭。青物が乏しいせいか、野菜くずを大喜びで食べている。

そこへお姉ちゃんがやってきた。
ツブコだ。


慌てて逃げるシンたち。


鶏たちの社会は序列社会だ。年長者は年少者を突(つつ)いて追い払う。さんざん突かれた者でも自分が年長になると年少者を突く。それが鶏たちの社会ではあたりまえで合理的なのだろう。
ただ、私や舎長がそばにいるときは、ついつい間に割って入って小さい者を守ってやることもある。そのせいなのか、わが舎の鶏たちは人を見ると寄ってくる。私たちのしていることにどれほどの意味も無いとは思うが、寄ってくる小さい鶏たちはかわいい。

怖い先輩から逃れてホッとするシンたち。
追い詰められた場末の路地裏から、君たちもタイガー・ジェット・シンのように強くなって、社会に羽ばたくんだぞっ!


春の陽気が続くなか、クリは妊娠3か月目を迎えた(たぶん)。
舎長が読んだ本によると、このころからヤギの胎児の胎動が感じられるようになるという。
で、私たちは、ネットでこんなものを購入した。
便利な時代になったものだ、注文した翌日に届いた。値段は千数百円。


お客さんで現役のナースの方が来られたので、胎児の心音が聞こえるかどうかトライしてもらった。
クリをエサでおびき寄せ、クリが食べるのに夢中になっている間に、心音を聞くという作戦。


まず、私がクリの心音を聞いてみた。
聞こえた。
人間に比べるとかなり早い。だが胎児の心音は…、う~ん…


ナースに聞いてもらった。この方、産婦人科にも長年勤務され胎児心音も聞き慣れているという。クリが動かないようにしっかり押さえる。真剣な表情に期待が集まる。
しかし…


鍼灸師で東洋医学の先生にも聞いてもらった。



結局、胎児の心音は聞こえなかった。
ナースいわく。
「赤ちゃんがもうすこし大きくなってきたら聞こえると思います」

30分ほど、かわるがわる痛くもない腹を探られたクリちゃんだが、好物のアルファルファをどっさり食べて満足げ。


そんだけ食べたらもういいよな。今日はお昼抜きどす。
コメント (2)
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