映画『ユメ十夜』

2012年11月12日 | 映画の感想



監督 
実相寺昭雄「第一夜」、市川崑「第二夜」、清水崇「第三夜」、清水厚「第四夜」OP&ED、豊島圭介「第五夜」、松尾スズキ「第六夜」、天野喜孝・河原真明「第七夜」、山下敦弘「第八夜」、西川美和「第九夜」、山口雄大「第十夜」
原作 夏目漱石『夢十夜』
脚本
久世光彦「第一夜」、柳谷治「第二夜」、清水崇「第三夜」、猪爪慎一「第四夜」、豊島圭介「第五夜」、松尾スズキ「第六夜」、山下敦弘「第八夜」、長尾謙一郎「第八夜」、西川美和「第九夜」、山口雄大・加藤淳也「第十夜」(脚色 漫☆画太郎)
出演 
小泉今日子、松尾スズキ、うじきつよし、中村梅之助、堀部圭亮、香椎由宇、山本耕史、菅野莉央、市川実日子、大倉孝二、阿部サダヲ、TOZAWA、石原良純、藤岡弘、、山本浩司、緒川たまき、ピエール瀧、松山ケンイチ、本上まなみ、石坂浩二、戸田恵梨香
声の出演 
Sascha、秀島史香

文豪・夏目漱石の幻想短編集『夢十夜』を豪華にして多彩なスタッフ・キャスト陣で映画化したオムニバス・ムービー。漱石が描く不条理で幻想的な夢の世界を10人の監督がそれぞれの個性を存分に発揮して映像化を試みる。

★★★★☆
夏目漱石の『夢十夜』のそれぞれを、いろんな映画監督が短編映画として撮りあげたもののオムニバスなので評価しにくい作品に仕上がっている。

第一夜
監督:実相寺昭雄、脚本:久世光彦
出演:小泉今日子(ツグミ)、松尾スズキ(百)、寺田農、堀内正美
大胆なカメラワーク、レトロな幻視風景、実相寺の演出は嫌いじゃないけれど、セットすらはみ出す演出に失笑。こりゃもう実相寺ワールドに過ぎない。白百合のエロスを映像化しないなんてなあ。
 

第二夜 [編集]
監督:市川崑、脚本:柳谷治
出演:うじきつよし(男)、中村梅之助(和尚)
字幕つきの白黒映画(赤い短刀だけは別だけど) でレトロに描いたところが逆に新しい。が、最も忠実に映像化している。らしいといえばらしいけれど、十作品の中にあっては主旨が違うかも。

第三夜 [編集]
監督・脚本:清水崇
出演:堀部圭亮(夏目漱石)、香椎由宇(夏目鏡子)、櫻井詩月(愛子)
ホラーVシネマ風というか。でも意外と忠実に作られていて、しかも神経を逆撫でする怖さも映像化できている。だが原作の業への深みはないかな。香椎由宇の左右対称の美しさはホラーで映える。 

第四夜 [編集]
監督:清水厚、脚本:猪爪慎一
出演:山本耕史(夏目漱石)、菅野莉央(日向はるか)、品川徹、小関裕太、浅見千代子、市川夏江、渡辺悠、鶴屋紅子、佐久間なつみ、日笠山亜美
原作を解体して、ノスタルジックなファンタジーとして再構築したもの。幼年時代のなんともせつない想いやらが描かれている。ただ、さすがに「漱石く~ん」には、違和感を感じる。 

第五夜 [編集]
監督・脚本:豊島圭介
出演:市川実日子(真砂子)、大倉孝二(庄太郎)、三浦誠己、辻修
原作のいつとは知れぬ戦国の時代の空気を、現代社会や家庭の閉塞した空気に置き換えたところは見事。でも包帯妖怪天邪鬼(勝手に命名)がゾンビ的にコミカルで、映像的には不満。市川実日子の眼はいいなあ。

第六夜 [編集]
監督・脚本:松尾スズキ
出演:阿部サダヲ(わたし)、TOZAWA(運慶)、石原良純
2チャンネル言語やらいまどきダンスやら、すぐに古くさくなっちゃいそうな当世カルチャーで、原作を換骨奪胎、オリジナリティを生み出している。これは面白い!画面上で変換されていく文字と阿部サダヲのおとぼけ演技が最高。

第七夜 [編集]
監督:天野喜孝、河原真明
出演:sascha(ソウセキ(声))、秀島史香(ウツロ(声))
原作をそのまんま異世界のジャパニメーションにしましたって感じの世界。言葉はすべて英語、日本語もなんだか呪文のように聞こえ、異邦人が抱く孤独への不安をより募らせる。異次元映像を楽しむ一遍。 

第八夜 [編集]
監督:山下敦弘 脚本:長尾謙一郎
出演:藤岡弘、(夏目漱石、正造)山本浩司、大家由祐子、土屋匠、森康子
原作の鏡の向こうに覗き見る異世界のシュールな趣を、赤塚不二夫のナンセンスギャグに。 原作どおりは動かない金魚売りくらいかな。ここまでヤッちゃうと、果たして原作として位置づけていいのかどうか。やっぱチクワだな!

第九夜 [編集]
監督・脚本:西川美和
出演:緒川たまき(母)、ピエール瀧(父)、渡邉奏人
太平洋戦争に時を移して正解。原作どおりの設定ながら、お百度を重ねながら、ひたむきな妻の純粋さやら直情さやら執念深さやらが見えきて厚みが増していく展開が秀逸。それにしても濡れた緒川たまきが妖艶だ。

第十夜 [編集]
監督・脚本:山口雄大、脚本:加藤淳也、脚色:漫☆画太郎
出演:松山ケンイチ(庄太郎)、本上まなみ(よし乃)、石坂浩二(平賀源内)、安田大サーカス、井上佳子
漫☆画太郎のグロ漫画をまんま映像にした悪ふざけ暴走モードが気にならなければ面白い作品。いやツボにはまれば最高に面白いかも。ボクとしては、原作の、豚の群れをステッキで撃退するシーンの実写が見たかった。

というわけで、特にお気に入りは、第九夜そして第六夜。


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