人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラで新芸術監督・飯守泰次郎指揮によるワーグナー「パルジファル」を観る

2014年10月03日 07時01分20秒 | 日記

3日(金)。みんな、ハッピーかい?わが家に来て6日目のモコタロだよ

 

          

             小屋をお掃除するときはキャリーバックに入ってるよ

 

  閑話休題  

 

昨日は午後4時から初台の新国立劇場でワーグナーの「パルジファル」を観るため、止むを得ず休暇を取りました 時間が時間なので、それまでどのように時間を潰そうかと悩んだのですが、年間会員になっている飯田橋の「ギンレイホール」に行くことにしました ガラケーで上映演目を検索しようとしたのですが、うまくいかず、行き当たりばったりで上映中の映画を観ることにしました ギンレイに着くと、10時から始まる映画を観る人の行列が出来ていました。Good timing  いつものように年間会員カードを示すと、別に入場券が必要だと言われました 説明によると、9月27日から10月10日までは特別興業「名画座主義で行こう」の期間中で、会員は別途500円を払う必要があることが分かりました 券を買ってから掲示を見て初めて、10時から上映するのが1973年公開映画「追憶」であることが分かりました

名画にも関わらず私はこの映画を観るのは初めてです 今でこそ映画は年間50本程度観ていますが、若い時にはほとんど観ていなかったことに我ながらます。

この映画は、政治活動に熱心なケイティー(バーヴラ・ストライザンド)と小説家を目指すハベル(ロバート・レッドフォード)との20年にわたる愛と衝突の物語ですが、「The Way We Were」という原題を見て、こっちの方がピッタリだと思いました 性格が正反対の二人のそれぞれの”生き方”あるいは”生き様”を描いた映画だからです。バーヴラ・ストライザンドの歌うテーマ曲が懐かしいです 映画全盛時代のこの頃の映画はいいな、と改めて思いました

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

と言う訳で、午後4時からオペラ・パレスでワーグナーの舞台神聖祝祭劇「パルジファル」を観ました 指揮はこの秋から新国立オペラの芸術監督に就任した日本におけるワーグナー音楽の権威・飯守泰次郎、演出はワーグナーの聖地バイロイトでも活躍するハリー・クプファーです 歌手陣はアムフォルタスにエギルス・シリンス、ティトゥレルに長谷川顕、グルネマンツにジョン・トムリンソン、パルジファルにクリスティアン・フランツ、クリングゾルにロバート・ボーク、クンドリーにエヴェリン・へルリツィウスほかです

 

          

 

 「パルジファル」は全3幕からなりますが、音楽だけで約4時間半、休憩時間を含めると約6時間にも及ぶ超長大な舞台神聖祝祭劇です 会場に入ると正面に次の掲示がありました

 

          

 

熱心なワグネリアン(ワーグナー命!の人)以外の普通の聴き手にとっては拷問にも近いこの「舞台神聖祝祭劇」のあらすじは大雑把に次の通りです

「聖杯と聖槍を護る騎士団の長アムフォルタスは、聖槍を魔術師クリングゾルに奪われ、その槍で傷を負っている。この傷を治すには”無垢な愚者”の登場を待つしかない ある日、白鳥を矢で射った若者パルジファルが現れる。老騎士グルネマンツは彼こそが王を救う「無垢な愚者」であると考えるが、若者は聖杯の儀式の意味を理解できない パルジファルはクリングゾルの城を訪れ、クンドリーの誘惑を受けるが、それに屈することなく、彼女の接吻で悟りを開く クリングゾルはパルジファルに聖槍を投げつけるが、槍は彼の頭上で止まる 時を経て、パルジファルは聖槍を手に王の元に帰ってくる。パルジファルがアムフォルタスの傷口に聖槍を当てると、傷はみるみる消える パルジファルは聖杯の王となり、聖杯は光輝く

 

          

 

会場はほぼ満席です 飯守泰次郎の新国立劇場の芸術監督就任披露公演のプルミエ(初日)公演ということもあるでしょう

会場が暗転し、拍手の中、飯守泰次郎がオーケストラ・ピットに入ります。静かな序曲が流れると、ステージ上のジグザグの道を、奥から客席に向けて光が流れてきます。さながら”光の道”のようです そして、しばらくすると、演出のクプファーが”メッサー”(ナイフ)と呼ぶ聖槍の先端の象徴である大きな装置がステージ右手から現われます

舞台は抽象的で単純ですが、美しいです ”光の道”の上に仏教徒が3人座っています。これはクプファーの解説によると

「ワーグナーは敬虔なキリスト教徒だったが、生涯を通じて仏教にも強い関心を抱いていた 『共苦によりて知にいたる』というパルジファルの鍵になる言葉が出てくるが、『知にいたる』とは仏教の『悟り』だ

ということで、仏教の象徴として僧侶を登場させたのです

パルジファルをはじめ、主要な登場人物6人はそれぞれ世界的に活躍している実力者揃いですが、中でもブラボーが一番多くかかったのは第1幕と第3幕でほとんど出ずっぱりでバスを歌った老騎士グルネマンツ役のジョン・トムリンソンです 相当の体力がなければあれだけ歌い続けることはできないでしょう 6人の中では紅一点のクンドリー役を務めたエヴェリン・ヘルリツィウスも体当たり演技のうえ力強いソプラノを披露してくれました パルジファルを歌ったクリスティアン・フランツは新国立の”トーキョー・リング”で話題をさらったテノールですが、期待通りの良く通る歌声を聴かせてくれました

それにしても、ワーグナーは長い 前夜10時過ぎまで飲んでいたのと、昼間2時間の映画を観てきたのが影響して、ゆっくりと流れるワーグナーの音楽を聴いているうちに、思わずウトウトすることもしばしばありました 特に始まってから4時間半を超えた第3幕では、背中が痛い、おしりが痛い、と無言で身体の不調を訴えながら、もう必死で目を開けて耳を傾けていました

かくして飯守泰次郎の新国立劇場芸術監督就任披露公演は成功裏に終わり、私の長い長い1日がやっと終りました

 

          

 

コメント
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