Tomotubby’s Travel Blog

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ロジェ・カイヨワ著「蛸」の塚崎幹夫・訳注から

2009-12-07 | Japan 日常生活の冒険


蛸 and/or 海女のシリーズ再開。

蛸のことを書くにあたって無視できないのは、ロジェ・カイヨワの名著「蛸 ~想像の世界を支配する論理をさぐる~」であるのは言うまでもない。本来最初からこの著作を意識せざるを得なかったのだろうが、遅ればせながら塚崎幹夫・訳のカイヨワ「蛸」(中央公論社)を紐解くと、クレタ島イラクリオンで私が見たあの蛸の絵の壺も、この論考には当然のごとくに写真が載せられている。やはり意識しなければならなかったようだ。私が代わりに意識してしまったのは、巖谷國士の旅行記「地中海の不思議な島」で、そこにも全く同じ蛸の絵の壺が載せられていた。巖谷國士はフランス文学者だから、カイヨワの「蛸」を意識していたに違いないだろう。カイヨワを見落としていた私も、巖谷國士を意識したことで間接的にその陰に潜んでいたカイヨワの存在を意識していたのかもしれない。と、苦しい言い訳。

余談になるが、巖谷國士の写真入り旅行記は他にも「ヨーロッパの不思議な町」、「アジアの不思議な町」、「フランスの不思議な町」(以上、筑摩書房)、「日本の不思議な宿」(平凡社) があり、筑摩からの四冊は (それは、褒め言葉ではないのかもしれないが) 旅行のガイドブックとしても使えると思う。(それは、褒め殺しになるのかもしれないが) そのような印象は、初めてアンドレ・ブルトン「魔術的芸術」の巖谷の堅い訳文を読んだときの印象と共通している。巖谷には、かつて太陽に連載していた「イタリアの不思議な庭」、さらには「ヨーロッパ 100の庭園」(ともに平凡社) という、彼自身撮影したカラー写真満載の庭園案内書があり、これらと、やはり巖谷國士・編の澁澤龍彦「滞欧日記」(河出書房新社)が、私のヨーロッパ旅行計画の手引書となった。(こちらは褒め言葉)

さて、話をカイヨワの「蛸」に戻すが、ここで取り上げたいのはカイヨワの論考についてではなく、塚崎幹夫・訳注の中にある気になる「蛸と海女」の伝説である。その伝説の伝わる日間賀島は、愛知県知多半島の先端に位置し、伊勢湾を挟んで答志島や神島と対峙する。ここでは毎年8月12日に(「蛸」の訳注では、毎年旧暦正月元日となっている)「蛸祭り」という祭りが行われているらしい。昔、日間賀島の鯛網の中に仏像(阿弥陀如来像)を抱いた蛸がかかったことが縁起になっているそうだ (「蛸阿弥陀如来」として、日間賀島の安楽寺ご本尊になっているらしい)。「蛸と海女」の伝説については次回。(つづく)


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