生温かく少ししょっぱいが、鉄分・塩分・タンパク質他をバランス良く含んだ”完全栄養飲料”である出血を口腔内に感じながら、静かな所で安静にしようと最寄りのデパートの屋上駐車場へ。
入り口から最も遠い駐車エリアへMyFDを駐車し、16時10分から2時間少々冷暗所での安静を終えて車に戻って来た。
入口から最も遠くに駐車したのに関わらず、MyFDの左隣(助手席側)には、青色の大型ピックアップトラックが並べて駐車されていた。
もう、なんでわざわざ隣に停めるんかいな、と疑問を感じながら、運転席のドアを開けて乗り込もうとした時、見知らぬ男性がこちらに歩み寄って来た。
その人「あのう、すみません。」
私「はい?」
・・・知り合いだっけ? 見おぼえないなぁ。 まさかサインくださいとか??
その人「あのう、実は、お車にぶつけちゃいましてぇ」
私「はい~??」(←リアル杉下右京風)
MyFDから2歩下がって、ざーっと外観を目視確認してみたが、特に異常はない。
ただ、駐車エリアのワク線に対して右向きへ15度ほど角度が付いている。
・・・まっすぐに停めたはずなのに?
よく見てみると、フロントタイヤが30度ほど右向きに切った状態である。
・・・タイヤを直進状態で停めたはずなのに??
もっとよく見ると、後輪とその後方の輪留めとの距離が50センチほど離れている。
・・・輪留めに後輪を当てて停めたはずなのに???
その人「あのう、左フロント部なんです・・・」とフロント→左フロントタイヤ横に回り込みながら、左ヘッドライトカバーのあたりを指差す。
????
フロント側に回ってみると、
なんと、
なんと、
なんと、
なんと、
なんと、
こんな事に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
私(驚きを抑えつつ杉下右京風に)「おやおや、これは大変なことになってますねぇ。」
その人「すみません、車を右に出そうとしたら、巻き込んじゃって」
巻き込み?
こんな広い駐車場で?
その人「ええ、私のは左ハンドルで車高も高いので、右側のお車が見えなかったんです・・・すみません」
よく見ると、確かに左ハンドルだ。
私(激しい動揺をチラつかせながら)「そちらのお車のダメージは?」
その人「あ、私の車はドアの後ろが少し・・・」
振りかえって見てみると、確かに右ドアの後輪前のフェンダー部分にかすかに擦った形跡が・・・
私「これですかね?」
その人「ええ、かすり傷なんです。 すみません・・・・・・」
私(軽いめまいを感じながら)「こんなにダメージが違うんですねぇ。」
その人「ええ、私も車を降りて見て、そちらのお車がこんなになっているのでビックリしました。すみません・・・・・・」
私(物理的出血+精神的失血で気が遠くなる感覚をこらえながら)「警察とか呼ばないといけませんねぇ」
その人「あ、ブツけてすぐに、ここ(デパート)の警備員を呼んで、そこから警察を呼んでもらって、現場検証も大体終わって、今はうちの保険屋さんが来るのを待っているところです。」
私「ん? ぶつけたのって何時頃です?」
その人「16時10分頃です。」
ガーン、16時10分って・・・
ちょうど冷暗所、いや、バルト11のシアター1で、「太平洋の奇跡 ~フォックスと呼ばれた男」の上映が始まった時刻ではないか。
しかも、既に2時間30分も前だ。
私「ちょうど映画が始まった時刻ですねぇ。随分とお待ちになったでしょう?」
その人「ええ、多分映画を観られているんだと思ってたんですけど、あれこれやっているうちに戻って来られたんで・・・」
ふむ。
真面目な人なんだろうなぁ。
自分の車のダメージが軽微だったら、そのまま逃げてしまう事も出来ただろうに。
こんな世知辛いご時世なのに。
こんな寒風吹きすさぶ吹きっさらしの中なのに。
感心しつつ、平静を取り戻した私は、自分の保険会社へTELした。
現時点は左フロントタイヤにフェンダーがめり込んでタイヤも回らないしハンドルも切れないし、引っ張ったくらいではタイヤとの隙を確保できないので、積車を希望、保険会社から日本自動車連盟―JAFを呼んでもらった。
お互いの連絡先として免許証と携帯番号を交換(同い歳だった・・・)したりしているうちに、相手の保険担当者が来て、状況確認いただいた。(同じ保険会社だった・・・)
JAFの到着まで30分くらい掛る(混雑中らしい)ので、”私の現場検証”の為に最寄りの府中交番へ、”その人”に同乗させてもらって移動。
全長5.6m、排気量4リッターのその車に座ると、確かに反対側側面の低車高のMyFDは見えないだろうな。
でも、先に駐車したのはMyFDだし、その隣に停める時には目視していたんだろうけど、運転席が左側だし、乗車→発進時には、「見えないものは無いのと同じ」の法則なんだろうなぁ。
府中交番に着くと、さっき現場検証に来たらしい巡査さんが免許証と車検証を魅せて欲しいと言う。
が、初耳なので、車検証が車に置いてあることを伝えると、あとで持って来て欲しいと言う。
が、間もなく積車にて修理工場へ直行するので、明日以降でもよいかと尋ねると、事故証明を早く発行したいので、お車の所へ一緒に行きましょうと言う。
やれやれ、段取りの悪いことだ、と再び現場に戻り、車検証と免許証を見せていると、オレンジ色のニクい奴、ならぬ、オレンジ色のツナギ?を身にまとったJAF隊員さんがやって来た。
が、ソレイユの駐車場は車高制限が2.1メートル未満なのでレッカー車が入って来れず、1階の業者搬入庫で待っていると言う。
自走出来ない事を伝えると、フェンダーを引っ張って自走出来るようにしてもいいかと尋ねられてので、「やむを得ませんねぇ」と辛諾した。
隊員さんは、右足をBBSホイールのリムに掛けて、スーパーパワーでメキメキと音を立てながらフェンダーを引っ張り(あ~あ・・・)、何とか20mm隙を確保。
ただフェンダーと干渉?内部機構の破損?により左ヘッドライトが1センチ程しか開かないので、フォグランプのみでソロソロと走行、駐車場内を迷いながらも搬入庫に到着。
前輪を持ち上げて引っ張るタイプのレッカーだった。
こんな感じ。
積車側のアームとFDのフロントサスクロスの隙がギリギリ、リアのテールパイプと地面もギリギリらしいが、何とか運搬可能だそうな。
あぁ、純正車高で良かった。
焼山(ガレージ・ノブ)までお送りします!と”その人”はおっしゃったが、「ブツけた責任は充分に果たしていただきましたから」と丁重にお断りして、レッカー車の助手席に乗って出発!
巡航速度30~40キロで途中何度も後続車に道を譲りながら17キロ走破し、9時過ぎにガレージノブに到着。
レッカー移動は、通常ならJAF会員は15キロまで無料だが、保険会社の提携により、プラス30キロまで無料となる。
ちなみに15キロを超えると、1キロ当たり700円が実費となる。(今回の1400円は、当然相手の保険会社が支払うことになるだろう)
ということで、MyFDは入院しました。
ノブさんの所と保険会社での調整折衝があるので、退院時期は未定。
唯一残っていた代車を借りて、帰宅。
もう11時近くだった。
空腹だった事を思い出し、レーズン入りバターロールを2個かじって就寝。
あぁ疲れた・・・