明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1311)沸騰水型原発の配管破断事故の危険性を問う(沸騰水型原発の危険性-連載4回目)

2016年10月19日 17時00分00秒 | 明日に向けて(130...

守田です。(20161019 17:00)

10月16日に柏崎刈羽原発再稼働反対を掲げて当選した新知事の米山さん、さっそく再稼働は少なくとも福島原発事故の原因解明がなされるまでは稼動を認められないと表明してくれています。
実はこれは原子力規制委員会が打ち出した新規制基準にも沿うものなのです。なぜなら新規制基準では福島原発事故の教訓を取り入れることがうたわれているからです。
しかし、まったく当たり前のことなのですが、教訓を取り入れるためには原因が解明されなければなりません。しかし福島原発1号機から3号機ははメルトダウンした燃料デブリから発する放射線値が高すぎていまだに誰も近づけないのです。
投入したロボットも次々と壊れてしまって一台も帰ってきません。そもそもコンピューター制御されているロボットは人間以上に放射線に弱いからでもあります。これでどうして教訓を生かすことなどできるのでしょうか?

「再稼働の前に福島原発事故の検証が先だ」という見解は、3月10日に稼動中の高浜原発3号機と、自らシャットダウンした4号機の運転禁止の仮処分を命じた大津地裁決定(山本裁判長)の中でも指摘されたものです。
以下、稼働中の原発を停めた初めての司法判断である大津地裁決定から抜粋します。

 「福島第一原子力発電所事故の原因究明は、建屋内での調査が進んでおらず、今なお道半ばの状況であり、~津波を主たる原因として特定し得たとしてよいのかも不明である。」
 「その災禍の甚大さに真摯に向い合い、二度と同様の事故発生を防ぐとの見地から安全確保対策を講ずるには、原因究明を徹底的に行うことが不可欠である。」

これまた実に鮮明ですが、大津地裁は「津波を主たる原因として特定し得たとしてよいのかも不明です」と重要なポイントも示唆しています。
なぜかといえば、田中三彦さんや後藤政志さんたち、技術者の方たちが、早くから福島原発事故は、津波によれる電源喪失によって引き起こされたのではなく、地震による配管破断によって引き起こされた可能性が高いと、パラメーターの解析などから主張してこられたからです。
僕も当初からこの解析に注目し、この場に紹介してきました。2011年6月29日に掲載した記事をご紹介しますのでご興味のある方はご覧下さい。長いので1,2に分けています。

 明日に向けて(176)地震による配管破断の可能性と、東電シミュレーション批判(田中三彦さん談再掲1) 20110629
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/f1914e7352792c89767a9c7585ee4a00

 明日に向けて(176)地震による配管破断の可能性と、東電シミュレーション批判(田中三彦さん談再掲2)20110629
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8d603fe6649fe963d189d712df46e0c5

しかもこのような事故が起こりうることを国の原子力担当者や電力会社が事前に知っていた重要な証拠があります。
独立行政法人・原子力安全基盤機構が、原子力防災専門官向け資料として作成していた炉心溶融のシミュレーション画像で2009年に作成されたものです。
すでに「明日に向けて(1307)島根原発(沸騰水型原発)の構造的危険性を把握しよう」でも紹介していますが、わずか5分のものなのでぜひご覧になってください。
ナレーションで実際には20時間あまりと想定される事故の進展を5分で紹介するとしています。

 動画で見る炉心溶融  防災用事故シナリオ理解のための教材(BWRマークⅠ型)
 https://www.youtube.com/watch?v=wwYk62WpV_s

この動画で重要なことは、事故が配管破断によって始まるとされていることです。要するに配管破断が起こりうるという判断を原子力安全基盤機構は福島原発事故前からもっていたのです。ちなみにここでは津波による電源喪失は想定されていません。
ではなぜ配管破断が起こりうることが想定されたのでしょうか?最も考えられるのは2007年に起こった柏崎刈羽原発事故で、設計上の想定を大幅に上回る地震に同原発がさらされたからです。
そこでこうした事故のシナリオがより強く考えられたのだと思われますが、さらに言えば、地震学についての学問的進歩がなされる中から、日本中の原発の多くが活断層の上、ないし直近に位置していることがどんどん明らかになってきたことも大きな要因に違いありません。
その際、もっとも配管破断の発生が恐れられたのが、沸騰水型原発のマーク型であるがためにこの動画が作られたのでしょう。ちなみに動画ではマークⅠ型とされていますが、正確にはこれはマークⅠ型改です。

これまでお伝えしてきたように島根原発は1号機がマークⅠ型、2号機がⅠ型改、3号機が改良沸騰水型(ABWR)の格納容器です。
柏崎刈羽原発は1号機がマークⅡ型、2~5号機がⅡ型改、6,7号機が改良沸騰水型です。動画を観ると核燃料は圧力容器からメルトスルーしていますから、その直下にプールがあるマークⅡ型、Ⅱ型改でこの事故が起きていたことを考えると慄然とします。
実際、2007年の中越沖地震でこの原発は猛烈な揺れにさらされたのですから、過酷事故に進展しなかったことは私たちにとって本当に僥倖の産物でした。しかしそんな幸運はけして続きはしません。もう絶対にこの原発は動かすべきではないのです。

これまでも示してきましたが、理解を進めるためにここでも沸騰水型原発の変遷を記しておきます。アトミカ掲載のものです。
 沸騰水型原発の変遷
 http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02010101/10.gif

さて島根原発はどうでしょうか?ぜひ多くの方に知っていただきたいのは、この原発の直下、わずか2キロ足らずのところになんと「成長する活断層」が存在していることです。
もちろん実際には活断層が成長しているわけではありません。この原発を運転してきた中国電力の活断層への認識が徐々に変遷してきたこと、初めは「ない」と言い張っていたのに、だんだんとより長いものであることを認めてきたことを揶揄したものです。
より具体的には1号機の設置許可時(1969年11月13日)には、1981年にできた旧耐震設計指針すらなく、活断層の存在もまったく考慮せずに、耐震基準は300ガルとされていました。
これに対して福島原発事故時の現実の地震動は南北方向に460ガル、東西方向に447ガルでした。300ガルなど1.5倍も上回っていました。完全にアウトです。

ところが島根原発の直下で、その後に活断層が発見されました。しかもそれは年々、より長いものでありことが判明してきました。
活断層の揺れは長さと相関関係があると考えられているので、そのたびにより大きな地震に島根原発がさらされる可能性があることが見えてきたのです。
私たちが新潟県新知事米山さんをさらに強く応援するためにも、同じ沸騰水型原発の立地場所で発見された「成長する活断層」について、さらに詳しく見ていきたいと思います。

続く

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守田敏也 MORITA Toshiya
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[著書]『原発からの命の守り方』(海象社)
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo58.html
[共著]『内部被曝』(岩波ブックレット)
https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270832-4

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