明日に向けて

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明日に向けて(1407)アッセ2ードイツ放射性廃棄物処分場を訪れて(ドイツからの報告9)

2017年07月26日 12時00分00秒 | 明日に向けて(130...

守田です(20170726 12:00ドイツ時間)

ドイツのブラウンシュバイクからです。昨日の朝にビーレフィールドから移ってきました。ちなみにこの町の名の由来は「Brunoの村」。ブルーノ家という10世紀から11世紀のザクセン公国の貴族一門でこの村を治めていた人々の始祖とされているザクセン公ブルーノ1世(880年没)から来ているそうです。深い歴史を感じさせてくれるところです。
そのブラウンシュバイクのメインステーションで今回のこの街への訪問のホストを務めて下さっているドイツ・ルーテル教会のボード・ワルターさん一行が迎えて下さいました。通訳を努めて下さるフラウケさんも一緒でした。ボードさんは大阪の釜ヶ崎の教会施設である希望の家に7年間勤めて、アルコール依存症にかかった人々のケアをしてくださったことがあります。いまも1年半おきぐらいに2ヶ月ほど大阪に来られているそうです。「私はワルター。悪だ!と覚えて下さい」なんて日本語で軽快なジョークを言って下さる。
 
さて駅でピックアップしていただいてさっそくこの日のメインの目的であるアッセ2見学のために現地に向かいました。
アッセ2とはどんなところなのか。ドイツ在住のジャーナリストの田口理穂さんが2015年1月9日にWEBRONZAに記事を書いていて、今回、事前学習のために送ってくださったのでその内容から紹介したいと思います。記事のURLも書いておきます。残念ながら登録しないと全文が読めないのですが‥。
 
一度捨てた放射性廃棄物を取り出せるのか
ドイツ・アッセ処分場の大問題、なし崩し的な最終処分場化を考える
WEBRONZA 20150109 田口理穂
http://archive.fo/NNUey#selection-891.0-901.4
 
アッセ2はここブラウンシュバイクもあるドイツ北部のニーダザクセン州にあります。旧東ドイツとの国境に接しています。
ここには数百年前に形成された岩塩層があり、1906年から1964年まで塩の採掘が続けられてきました。採掘跡は60m×40m×15mの空洞が131個密集しています。
もっとも深く位置しているのは750mでその上に幾つもの層が並んでいます。
 
旧西ドイツ政府がこの空洞に着目したのが岩塩の採掘が終った直後で、以降、1967年から1978年まで最下層に位置する13の空洞に「低レベル廃棄物」および「中レベル廃棄物」が廃棄されました。放射性廃棄物の入ったキャスクが12万5787個、約4万7千立法メートルも捨てられています。
しかももともとは研究用との名目で始まり、医療用の放射性廃棄物を実験的に持ち込み、いずれは取り出すということだったのに、いつの間にかなし崩し的に最終処分場化してしまったそうです。しかも最初はキャスクを丁寧に積み上げていたものの、効率が悪いということで15mの高さから重機で投げ落とすようになってしまいました。
しかしあまりの杜撰さに周辺住民が立ち上がって訴訟を起こし、1978年に放射性廃棄物の持ち込みが中止されました。
 
その後、長らく放置されていたのですが、2008年にここに1日に12000リットルもの水が流れてこんでいることが発覚。水が放射性廃棄物に触れ、地下水を汚染すると大変なことになるため大スキャンダルとなりました。このためドイツ連邦政府が調査を行い、やがてすべてのキャスクを取り出すことを決定。2009年から研究を開始し、現在も取り出しに向けた作業や研究を続けています。‥ここまで田口さんの記事、および現場での取材に基づいて書いてきました。
 
さてこのアッセ処分場に昨日、何人かで訪問し、実際に岩塩鉱の中に潜り込んできました。
まず連邦政府放射線防護庁がアッセ2に隣接した場に建てた「インフォアッセ」で職員の方から説明を受けました。
これは同庁が廃棄物の取り出し過程の「透明化」を目指して作った施設で、まずはここでアッセ2の歴史、現状などのプレゼンを受けました。
 
アッセ2で掘られていたのは塩とともにカリウムで、もちろんそのころは誰も放射性廃棄物のことなど考えていなかったことが強調されました。
1967年より当時の西ドイツ政府が放射性廃棄物の投棄を開始したわけですが、職員の方は「今から考えればまったく間違った考えでした」と語りました。そして水が流れ込んでしまっているだけでなく、地中深く掘っているわけですから山の圧力がかかり、全体が動いてもいてその面でも危険なこと、だからこそ連邦政府が取り出さなければならないと決定し、法律にも書き込まれたことが明らかにされました。
 
ただしどう取り出すのか、いかに取り出すのかはまだ決まっていません。2つの大きな問題が立ちふさがっています。1つはどう取り出すのか技術的に未解明なことが多いこと。もう1つは運び出したものをどこに持って行くのかが決まっていないこと。このためこの過程をできるだけ透明化し、市民にも見えるようにし、どこに持って行くのかについても専門家だけでなく市民との対話も重視して決めて行こうとしているとのことでした。
 
ただし施設側としてはあまり遠くまで取り出した廃棄物を運びたくはない。遠くに運べば運ぶだけ、いろいろなリスクが広がると考えているからです。
しかし近ければ近いほど住民の懸念や反対の声も強い。この点からも運び出す先の選定ができていないのだそうです。
このためいまは少しでも状態を安定化させることに力を注いでいるそうです。特に重要なのは流れ込んでくる水の管理でいまは12000リットルのうちの9割以上を途中で受け止めてポンプアップして運び出すことに成功しているそうです。
 
しかし一定の部分が防ぎきれずに放射性廃棄物の入った「部屋」に入ってしまっている。確実に分かっているのは1日20リットルが防げずに入り込んでしまっていることだそうですが、こうした水の多くは岩塩鉱にできたひび割れを伝って流れて来ていて、その全貌が掴めてはいないことも素直に紹介されていました。
また放射性廃棄物についても、運び込まれた記録のすべてがきちんとなされているわけではなく、多くのことが把握できていなくて、これらもまた調査や研究の対象となっているそうです。
 
さてこれらの丁寧な説明を受けてからいよいよアッセ2の中に入ることになりました。
インフォアッセから出て、処分場のゲートをくぐり、まずはセキュリティチェック。パスポート調べと身体検査が行なわれ、入坑証が渡されました。
その後、施設側が用意した服、下着、靴に身ぐるみ着替えました。内部は30度から40度と高温だそうですが、渡された衣類は綿で分厚くつくられたものでした。
ヘルメット、懐中電灯の他、坑内で火事に遭遇した時等に使用する酸素マスクも渡されました。酸素の供給機とセットになっていて5キロもある缶に入っています。使用法を一通り聞いて、一人一人が肩に担ぎました。さらに被曝量を記録するためのドーズメータも一人一人に渡されました。
入坑前にサービスで記念撮影を行なってくれました。カメラを前に思わず笑顔を作ってしまいましたが、あとでみてなんとも言えない写真になってしまった。まるでテーマパークへの入園記念みたいになってしまったからです。
 
さて坑内に入る前に水分をしっかりととり、いよいよ中に向かいました。
まず深いところまで人々を送り込む大きなエレベーターの前に立ちました。現在4つの出入り口がありますが、ここにある2番目のものが一番大きなもの。人間が10数名は入れる大きさですが、実は内部にある重機もみなこのエレベーターで分解して降ろし、現場で組み立てているのだそうです。同時にこのエレベータの穴が重要な酸素供給源にもなっているとのことでした。
 
エレベーターに乗り込むと、最初にブルンと横揺れがし、静かにおり始めました。しかし数十mくだると一気にスピードがあがり、まるで奈落の底に落ちて行くように降下していきます。エレベーターは鉄のかごのようなもので、中から掘られた岩盤が見えている。そんな状態の中、どこまでもどこまでも降りて行き、500mぐらいの地点でようやく止まりました。シャッターが開き、鉄かごの扉があけられて一歩踏み出すとそこは岩塩坑の中。幾つかの重機や車が走っています。「なんだこれは。この世とは思えない。映画の中みたいだ」と思ったのが第一印象でした。
 
続く
 
さて残念なことに今日も執筆可能時間が過ぎてしまったのでいったんここで切ります。この続きはアッセ2の現場の様子と、見学が終ってからの職員の方との討論、さらにその後にこのアッセ2を監視している市民グループの集会に参加し、運動の方向性をめぐるかなりの激論にも遭遇したこと、しかもその激しい論争のあとに僕が紹介されて講演したことなどを次回に報告します。「この状態にマッチできるかなあ」とかなりドキドキしながらの講演および質疑応答でした‥。
 
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1 コメント

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Unknown (梅谷)
2017-07-26 20:55:25
記事の配信ありがとうございます。
本記事(1407)に誤記入と思われる部分がありましたので、コメントを投稿させていただきました。
・「4万7千個」
 →「4万7千立方メートル」
・「に降れ」
 →「に触れ」
・「放射性防護庁」
 →「放射線防護庁」
・「12000トンのうち」
 →「12000リットルのうち」
・「入行証」
 →「入構証」
・「ぐだると」
 →「くだると」

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