明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1124)川内原発再稼働の危険性と「過酷事故」の曖昧化の問題(後藤&守田対談よりー2)

2015年08月19日 09時00分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150819 09:00)

後藤さんとの対談の続きをお送りします。
今回は川内原発の再稼働に触れていますがポイントは2つです。

一つは今回は再稼働にあたって「過酷事故」を起こしうることを前提とし、それに備えるとなっているわけですが、その場合の過酷事故とは何かということがきちんと明らかにされていない問題、マスコミもきちんと認識できていないことです。
後藤さんが述べられているのですが、正確には新規制基準では「重大事故」という言葉に「過酷事故」が置き換えられている。この点の矛盾についてやりとりを行いました。
もう一つは川内原発が4年も停まっていたということ。それほど長く停まっていた原発を再稼働することに技術的にはどんな問題があるかという点です。
どちらも非常に重要なポイントでありながら、あまり指摘されていない点で、僕自身もっと広めなければと思っている点です。この重要なポイントをつかんでいただければと思います。

*****

 福島原発事故からつかむべきこと
 2015年8月14日 後藤政志&守田敏也 対談 東京品川にて
 https://www.youtube.com/watch?v=TKJNkgNOgaI&feature=youtu.be

2、4年停まっていた川内原発再稼働の危険性と「過酷事故」の曖昧化の問題
(9分23秒ぐらいから)

守田
今回の川内原発の再稼働についてですが、あれはまだ正確には再稼働と言わないのかな、いやすでに発電も開始したのですかね。

後藤
臨界はしてますからね。今日(守田注、8月14日)発電にも入りました。
でも2年近く、1年11カ月停まっていたわけです。

守田
川内原発は4年ですね。

後藤
川内原発はね。1基も動いてなかったということでは1年11カ月でした。

守田
実は僕はそこで「原発ゼロ状態からという数え方はやめよう」と言っているのですよ。

後藤
ああ、そうですか。なるほど。

守田
今の政府は「原発ゼロ状態」を無くしたいのだと思うのですね。「動いているよ~」ということで。でも僕の計算で今、平均で4年4カ月停まっているのですね。柏崎など8年停まっています。
そういう意味ではこれだけの多くの原発を民衆の力で停めているわけです。

後藤
そうですね。それは大きなことですね。

守田
もちろん「ゼロ状態」では無くなったわけですけれども「ほぼゼロ状態」と言って良いのではないでしょうか。

後藤
私もそう思います。問題なのは結局、事故のリスクから考えると当然運転しなければ安全で良いのですけれども運転してしまうとそこにリスクが生じる。それも数によってどんどん増えていくわけですよね。
ところが規制委員会は、今まで「安全なもの」とは言ってないわけです。

守田
ひどいですよね。

後藤
安全なものと言いきらないということで規制があるということは、例をあげると飛行機で事故があって「その飛行機は安全ですか」と聞いたら「いや、一応基準は満たしているけれど安全とは言えない」という表現になるのですよね。
そういうことを聞いたときに「安全と言ってくれない飛行機に乗りますか」という話なのです。私は当然乗る気にならない。ところが原子力はそれで平気でいるのです。これは理解不能ですね。

守田
その点ではどうしてもマスコミ批判になってしまいますけれども、シビアアクシデント(過酷事故)とは何であるかということを、きちんと報道してくれないので、何か「もの凄い事故」みたいなイメージになっています。
しかし後藤さんがおっしゃったように過酷事故とは「設計士お手上げの事態」、「設計上の想定を越えている」ということなわけで、その点がもっときちんと認識されなければと思うのです。

後藤
今回の規制委員会の一番の罪の一つがそこにあります。もともと「設計基準事故」というものがあります。原子力はご承知のように配管が切れるとか事故も設計の想定内にあるのですね。配管が切れたら緊急炉心冷却装置があって冷やすとかそうなっています。
それが設計で、それを越えてしまうのがシビアアクシデントで日本語で「過酷事故」と言っていますが、あれ、今は「重大事故」と言われているのです。昔は「重大事故」は意味が違ったのですよ。スライドしている。
そこには言葉の影響をなるべく少なくするという思いがにじみ出ているのです。ですから私は「重大事故」という言葉はカッコつきでしか使ってないのです。過酷事故、シビアアクシデントと言っています。向こうに通じなくてはいけないときは使いますが。

守田
再稼働の問題でぜひ後藤さんにお聞きしたいことがありまして、今回停止が4年を越えているのですね。ちょっとニュースソースを思い出せない情報なのですが、3年以上停まって動かした例が世界で7例しかないそうです。
それらは全部、動かしたあとで何らかの事故を起こしているそうです。素人考えでも機械は動かしていなければどんどん動きが悪くなりますよね。(守田注、ニュースソースは「ブルームバーク」。2014年8月10日配信。ただしその後に記事に訂正が施され「国際原子力機関や米国、カナダの規制当局のデータによると、最低でも4年間停止した原発の運転が再開されたケースは世界で14基。そのすべてが運転再開後にトラブルに見舞われている」と書き改められた。ネット上のアドレスは以下の通り。http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NS4J5H6JIJUR01.html)
そういう意味では、もちろんこんなことはやってみないと分からないことであって、なかなか予想はできないことでしょうけれども、技術者の観点からして、4年停めておいた原発を動かすと言うのはどういう意味を持つのでしょうか。

後藤
当然ですけれども、そもそも停まっているプラントを立ち上げるということ自身が、ある種のトライなのです。ものが壊れている可能性もあるし、ミスってバルブを開け忘れている可能性もある。
スリーマイル島事故などはそうですからね。点検の時に給水ポンプのバルブを開け忘れたのです。それで立ち上げてしまって事故が起こってしまった。そういうリスクもあります。だから立ち上げるときはそれなりの緊張感があるのです。
さらに今、おっしゃったように4年も停まっていると、結構、長いので、プラントの水が溜まっているところ、つまり水が普段、流れているところと溜まっているところがあって、場所によっては腐食環境になりやすい。
そこで4年も淀んだまま腐食が進んでいることがないとは言えません。そうするとそれをきちんと検査をしたのかということになります。
建前は検査をやることになっているのだけれど、実際にはすべてが検査にかかるとは限らない。実際には欠陥とかあったときに運転してみて、「ボン」となって慌てて欠陥が分かるということもあるのです。

美浜の3号機で昔、タービンのところの配管が切れたのがそうです。厚さ10ミリのものが1.4ミリまで減っていた。そこに流れが当たってぐっと力が生じたときに破裂したわけです。
普通は「10ミリあるものが2ミリ以下に減ってくるまで気が付かないことがあるのか」と思いますよね。でも現実にはそういうことがある。管理が間違っているということなのです。
物事を「建前としてこうあるはずだ」と考えていると事故というのは分からない。事故と言うのはそういう形で起こるのです。そういう潜在的な欠陥が生じやすいのが4年です、ということになります。

守田
僕の試算では平均して4年4カ月停まっていますから、ほとんどの原発は、もちろんあらゆる原発の再稼働を認めるものではありませんが、例えそこに持って行ったとしても、再稼働するだけでもう技術的に危険があるのではないかと思うのですが。

後藤
そうですね。問題なのはとにかく「分かる」、「何々を調べれば分かる」ということに頼らざるを得ないのですけれども、現実はそうではないと見るべきだということです。
これは安全の議論の根幹にあることなのですけれども、何かを調べて確認をするというのはもちろん必要でやるのですけれども、安全の概念から言うと、全部、くまなく調べたと言うのが前提なのです。
それをしてないと、どこかに見落としがあるとお終いなのですよね。本当はね。それが安全の一番難しいところで、検査をしたから、例えば地面の下を調べて「活断層がないことを確認しました」と言っても、本当にないことを確認しきれない。
欠陥も同じなのです。見落としたものがその場では分からない。運転をして初めて欠陥が出てくる、というのが怖いところなのです。潜在的な欠陥が顕在化する、それが事故ということなのです。

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

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