明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1446)アルザス・ローレーヌの人たちとともに未来を切り開きたい!

2017年11月11日 07時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20171111 07:30 ドイツ・ミュールハイム時間)

フランス東部の都市、エピナルとコルマールへの訪問を終えて、ドイツのミュールハイムに来ています。
桂木忍さんのお宅に滞在中です。いつもお世話になっている方です。
昨夜はその桂木さんと夕方に出かけて隣町のオーバーハウゼンで講演してきたのですが、今回はその報告の前にエピナルとコルマールでの日々について報告しておきたいと思います。
 
先にちょっと訂正を書いておく必要があります。エピナルについて僕は前の記事で「アルザス地方の」と書いてしまいましたがそうではありませんでした。正しくはローレーヌ地方でした。そこから車で2時間の旅で山を越えて辿り着いたのがアルザスのコルマールでした。パリで知り合った日本人の飛幡祐規(たかはたゆうき)さんから丁寧なご指摘をいただきました。引用させていただきます。
 
「エピナルですが、ここはアルザス地方ではなく、現在の地域圏はGrand Est(大東部地域圏)、歴史的にはローレーヌ地方(ドイツとフランスでとりあい、何度もドイツ側になった「アルザス・ローレーヌ地方」のローレーヌのほうです。
県はヴォージュ県で、アルザスの二つの県とは別で、地域圏改正の前はアルザスとは別の地域圏に属していました。」
 
引用はここまでです。
実はこの旅に同行してくださったローレーヌ地方出身のジャンルークさんと、アルザス地方出身のマリーミッシェルさん夫妻がこのことを僕に話してくれたのですが、僕はジャンルークさんの語るフランスの地名がよく聴き取れず、この点を掴み損ねていたのです。あとから気がつきました。フランス語は日本語圏で育った僕には発音が難しくて地名や名前も聴き取りにくいし覚えにくいです。
 
さてこのアルザス・ローレーヌ地方、ドイツでもあったところでとくにアルザスのコルマールの町並みはとてもドイツっぽい。7月末に訪れたブラウンシュヴァイクにもとてもよく似ているなという感じを受けました。ここはフランス・ドイツ両国が戦争で取り合いを繰り返した地なのだそうです。このためこの地域の方はドイツ語っぽい発音もするのだとか。土地の名前もドイツ語由来のものが多い。
この地域はまたたくさんのワインを作っているところです。ヴォージュワイン、アルザスワインなどがたくさん作られている。とくにアルザスは低い山地が広がっていて斜面にどこまでもワインのためのブドウ木が植わっていました。
山並みの中や町の中を案内してくれた方に「これがアルザスなのですね!」と言ったら嬉しそうに「Yes!」と返してくれました。
いまはブドウは刈り取られた後でしたが、なんだかとても愉快になりました。もちろんワインも何度も飲ませていただきました。夜だけではなくて、お昼でも、そして講演の直前でも!だって出て来てしまうのだもの。。。
 
講演会には両会場とも60人の人が集まりました。どちらも主催者の予想を超えたそうです。これまた嬉しかった。
講演は英語で行ない、フランス語に通訳してもらいました。エピナルの方たちが事前に僕の文章をきちんとしたフランス語に訳したテキストを作ってくださり、コルマールでもそれを使えました。そのまま訳文をいただいてきました。僕の初めての仏文翻訳文章です。ありがたいことです。
 
講演後の質疑応答では、エピナルでは僕が日本のさまざまなデモの写真を見せたことに対して「感動した。こんなにデモがあるとは知らなかった。ちっとも報道されていない。真実を知れて嬉しい」という反響が返ってきました。僕は「それが僕がここに来た理由です。日本で起きている真実をもっとたくさん伝えなければ。それが僕の責務だと思っています」と答えました。
一方で僕の日本での活動に対してもさまざまな質問がなされました。「警察による弾圧はないのか」「恐ろしいと思ったことはないか」と聴かれたので、「長い活動歴の中でこれまで5回逮捕されたことがあるけれども、大した問題ではないです」「私たちには人権があるので拷問などできません。だから警察の弾圧なんて恐れなければそれでいいのです」と語ったら共感してくれました。
 
コルマールでは様子がちょっと違っていました。ここはフェッセンアイムという原発がすぐそばにあります。講演会を主催してくださったのも「ストップ フェッセンアイム」という団体で活動家の方たちもたくさん来て下さっていたのです。それで僕の話のうち、篠山市での安定ヨウ素剤の事前配布のことに質問や感想が集中しました。
多くの方が、篠山の「普通の」人々や保守サイドの方たちを含めて、これまでの反原発運動では手が届きにくかったより広範な方たちと僕が協力関係を作り出して原子力災害対策を進めていることに共感してくれたのですが、積極的な活動家で、なかなか人々が立ち上がらないことにいらついている若者からこんな意見も出てきました。
 
「ヨウ素剤を配って人々の意識が変わるなんてそんな夢みたいなことを言うなよ。マンガの冊子だって子どもだましじゃないか」。。。すると会場から次々と違う意見が。「こうやって人々を説得するのは素晴しいじゃないか。僕らももっとこういう視点を持とうよ」「これは日本の素晴しい文化だよ。フランスじゃいつも反対運動がいがみあっているばかりじゃないか。お互いを尊重し合う文化に学ぼうよ」
 
それで僕はこう答えました。「いや、これは日本の文化とは言えません。日本でも同じようないがみあいが多く続いてきました。自分の人生を振り返ると半分は国に対して怒りのコブシを上げる時間でしたが、半分はいがみ合いを調停し一致点をみつけようと必死になっていた時間でした。いまその経験が生きてきています」「大事なのは相手をリスペクトすること、相手の素晴しい点を見つけ出して、合流していくことだと思います。使い古された言葉かも知れませんが愛が大事だと思います」。
多くの方が賛同してくれました。残念ながら若者は「けっ」と言った感じで出て行ってしまったけれど。。。
 
さらに「みんな原発反対なのにこんな小さな集まりでもこうやって激しく言い合っている。もうまったく。。。」という意見が出て来たのでこうも語りました。「いや、みなさん、「原発をなんとかしなくちゃならない。人々に危険性を伝えなくちゃならない」と真剣に考えているから激しくもなるのではないでしょうか。お互いにその気持ちをくみ合うことが大事だと思うのです。激しくなる人だって私たちにとって大切な人です」。これにもたくさんの方がうなずいてくださいました。
 
なおこのときの質疑応答には、福島県からアルザスに避難移住した日本語教師の遠藤順子さんが同時通訳をしてくださいました。素晴しかった。海外にいて目の前で現地の人々がわあわあとやりとりを開始すると分からなくなってしまうことが多いのですが、今回は遠藤さんがずっと耳元で通訳してくれていたのですべてキャッチできました。それで僕もすぐに意見が言えました。僕にはなんとも楽しくやりがいのあるやりとりでした。
またやはり日本語で語れたのが大きかった!僕の英語力ではまだまだこうしたことをスラスラとは語れないからです。とてもありがたい日本語―フランス語通訳でした。
 
さて、こんな感じで2日にわたったアルザス・ローレーヌの旅が終わりました。
エピナルで泊めていただき、集会も主催してくださったピエールさん、コルマールで泊めていただき、同じく集会も主催してくださったスザンヌさん、そしてこうしたきっかけを僕にくださった中尾和美さんに大感謝です!
 
そうそう。スザンヌさんは時間を縫ってコルマールの町をガイドしてくださいました。これまたとても素晴しかった!ここには「アルザスのベニス」と言われる素敵なところがあるのです。夏はものすごい観光客が来るそうです。とても良いところです。また連れていっていただいた図書館も美術館も充実していました。美術館にはなんとなんと、ピカソのゲルニカの本物があった!3枚作られたものの1つなのだそうです。まさか本物のゲルニカの前に立てるとは思わなかった。。。
 
さて旅はまだ少し続きます。今日はこれからドルトムントにおもむき、ドイツのNGOのIBBのミーティングに参加します。
2014年初春に初めて僕がドイツ、ベラルーシ、トルコへの訪問の旅に赴いた時、「ヨーロッパ・アクションウィーク、チェルノブイリと福島のあとの未来のために」という企画を催し、僕を証言者として招いてくれて渡航費も負担してくれた上に、トルコに僕を派遣してくれた団体です。
さらにその年の秋に行なわれたポーランドでの大きな国際会議にも僕を招いてくれました。このポーランドの会合のときに僕に声をかけて来たのがドイツ人のファルクさんで、彼が今年の年頭に7月にデーベルンで行なわれた反核サマーキャンプへの招待を送って来てくれたのでした。
 
IBBのサポートで始まったといえるこの3年間の活動の篤い成果を報告してきます!
なおこの旅への協力を訴え続けています。可能な方は下記へのカンパをお願いします!
 
*****
 
振込先 郵貯ぎんこう なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151
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店名 四四八(ヨンヨンハチ) 店番448 預金種目 普通預金 口座番号 2266615
 
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