明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1381)迫り来る危機に備えよう!―書評『南海トラフ地震』(山岡耕春著 岩波新書)上

2017年05月19日 09時00分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170519 09:00) 

 

連続9日間企画参加というすごい日々を送っています。

週土曜日の「ウチこま」企画を皮切りに、日曜日からは徳島県各地でお迎えいただきました。

県内4カ所で講演するとともに、徳島で平和と安全のために日夜奮闘している多くの方々と知り合うことができました。

各会場とも議員さんの参加も多く、毎夜、楽しい交流もさせていただきました。

徳島講演ツアーを企画してくださった、山本純さん(市民連合徳島代表)やコープ自然派しこくさんなど、関わってくださったみなさん、参加してくださったみなさんに心からお礼申し上げます。

 

その後、後藤政志さん、筒井哲郎さんの緊急講演会に入っています。

昨日は大津市で開催。会場いっぱいの参加者にめぐまれました。

今日は午後1時半から京田辺市立社会福祉センターにて、午後7時過ぎからキャンパスプラザ京都にて同じ企画を行います。

その前の午後6時ぐらいから、後藤さん、筒井さんとともに京都駅前の関西電力京都支店前金曜行動にも参加します。講演会はキンカン後、7時15分頃から始めます。

 

さて話を徳島での連続講演に戻したいと思います。今回のタイトルは『南海トラフ地震と原発』でした。

講演に向けて、僕自身、あらためて南海トラフ地震について学び直しました。

テキストに選んだのは、記事タイトルにも掲げた『南海トラフ地震』(岩波新書)でした。2016年1月20日第1刷発行ですので、最新の知見も盛り込まれています。今日はこの書についての評論を試みたいと思います。

 

本書は以下のような構成で成り立っています。

このうち第1章と2章を読むと、南海トラフ地震とはどのようなものか、基軸的なことがつかめます。

 

序章 巨大地震の胎動

第1章 くり返す南海トラフ地震

第2章 最大クラスの地震とは

第3章 津波、連動噴火、誘発地震

第4章 被害予測と震災対策

 

まず南海トラフとは何かですが、東海地方から西日本太平洋側の海底の地形につけられた名前のことです。

トラフ(trough)とはもともとは家畜を飼育する桶のことだそうで竹を半分に割ったような形状のものを指します。

海底の中でプレートが沈み込む場所ですが、地形の急峻なものを「海溝」と呼ぶことに対して、穏やかなものが「トラフ」と呼ばれています。

 

南海トラフの東の端は伊豆半島の西側の駿河湾の奥です。このあたりは駿河トラフとも呼ばれます。

伊豆半島の東側は、南海トラフには入りませんが、相模トラフがあり、関東大震災の震源域になっています。

南海トラフ自身は、ここから御前崎、潮岬、室戸岬、足摺岬の沖合を経て、九州近海まで延びています。

 

特徴的なのは潮岬を境に、東側と西側に別れて地震が発生することが多いことです。

東側を東海、ないし東南海地震、西側を南海地震と呼びますが、当時に起こったこともあれば別々に動いた場合もあります。

別々といっても2~3年の間をもって連動したり、わずか30時間後に起こったりもしています。

 

歴史上もっとも古く記録されているのは684年の白鳳地震。この時は潮岬の西側が動きました。

以下、地震の起こった年号と地震の名、動いた地域を示します。

 

887年  仁和地震         東西

1096年 永長東海地震   東

1099年 康和南海地震   西

1361年 正平地震         東西

1498年 明応地震         東

1605年 慶長地震         東西

1707年 宝永地震         東西

1854年 安政東海地震   東

1854年 安政南海地震   西

1944年 昭和東南海地震  東

1946年 昭和南海地震   西

 

歴史上、最も大きかったのは1707年の宝永地震。マグニチュード8.6でした。

その次の安政東海地震と安政南海地震は30時間で連続して起こっています。

最も新しい地震は昭和東海地震と昭和南海地震。それぞれ73年前、71年前に起こっています。

昭和の東南海地震は12月7日に起こりましたが、翌年1月13日には連動して三河地震が起こっており、よりたくさんの人が亡くなっています。

また南海地震では室戸岬や足摺岬が隆起した反面、高知市が1メートルも沈降し、津波被害を拡大させました。

 

さて問題は次の地震がいつ来ると予測されるかです。

本書では「時間予測モデル」による予測が紹介されています。規模の大きな地震の後は長く休み、規模の小さな地震後の休みは短いという考え方です。

これによると昭和の地震は比較的小さいものであったため、次の地震が起こるまでの間隔はなんと約88年と予測されています。

現在まで73,71年経っているわけですからあと15~17年です。

 

もちろんこれはあくまでも予測であった、現在の地震学では確実にいつ起こるかを確定することはできません。

しかし南海トラフ地震は数ある地震の中でも、古くからの文献にもっともよく記されて来たもので、それをみると100年から200年ぐらいの間に繰り返されています。

その点からこの地震は「確実に来る」地震であることは間違いないのです。

南海トラフ地震は必ず起こる!このことを踏まえて、地震の特徴をつかみ、対策を施していく必要があります。

続く

 

 

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