桂木嶺のGO TO THE THEATER!~Life is beautiful!~

歌舞伎中心とした演劇・クラシック音楽・美術展・映画など芸術全般のレビューを書きます。優れた芸術は応援します!

21世紀を代表する傑作誕生!パーヴォ&N響の「レニングラード」!

2017-09-16 23:47:05 | パーヴォ・ヤルヴィさん関係

「かつらぎちゃん、いくらパーヴォが大好きだからって、こんなにサインもらっていったいどうするの?!」と

あきれておられる方も多いかと思いますが、きょうは歴史的な一日になりました!

パーヴォとN響の定期演奏会Aプログラムを聴きに行きました。本当は明日行くつもりだったのですが、

教会にいったら、とてもふしぎなことがあり、「明日とにかく、どんな席でもいいから、パーヴォの公演を聴きにいきなさい」という

神様の声がありました!(ほんとうなんです!)

それで慌てて、N響ガイドに電話をしたら、いちばん安い自由席(1500円で、なんどもN響に通いたいかたには大変おススメです♪)が

手に入ったので、夫と一緒に、NHKホールに行ったのでした。

 

今回の曲目の「レニングラード」はもちろん私も夫も聴いたことがなく(私はちょっとほかの方の指揮と演奏でYouTubeで聴いたのですが、

正直・・・「ちょっとテンポが緩すぎ?」という印象で途中で聴くのをやめてしまったくらい退屈でした)、かなり不安だったのですが、

実際に聴いてみたら、非常に多面的な魅力を発揮する、すさまじい破壊力をもつ作品でした!

まさに、パーヴォ&N響の、歴史的名演ともいうべき演奏であり、私自身は21世紀を代表する傑作の誕生とも思っています!!!

 

一番印象的なのはやはり第1楽章でしょうか。戦争にいたるまでの過程が、まるでラヴェルの「ボレロ」のように描かれています。

戦争への足音が小さく(小太鼓で表現されています)聞こえたかとおもうと、やがてとてつもない大音量となり、戦争の災禍がこれでもかと描かれていきます。しかし、その流れを押しとどめるかのように、優美で繊細な音楽がながれ、つかの間の休息を、人々は得られるのです。

しかし、第2楽章、第3楽章においても、この曲のもつ、ダイナミックさ、大胆さ、優美さ、繊細さ、魔的ともいうべき破壊的な魅力、緊張感、複雑怪奇さ、庶民のしたたかさなどが見え隠れし、やがて民衆の声となって第4楽章で大きな叫びとなってホール全体を圧倒しました。

これはいわゆる旧ソ連時代の、ショスタコーヴィチが描いた、戦争交響曲であり、戦意の高揚という罪作りな一面を持った作品です。しかし、パーヴォとN響は、まさに昨今の緊迫した国際情勢を鑑みつつ、戦争と平和への鮮烈なメッセージを「レニングラード」に仮託し、すばらしい成功をおさめました。

人々のくらしのうねりが、やがて大河のごとく押し寄せ、人間の生活をなぎ倒す力をもつことを、ショスタコーヴィチは示唆して、音楽は激情的に終わります。

 

聴衆は熱狂的にパーヴォを迎え、パーヴォは幾度も幾度もお礼をしていました。N響のみなさんも大変満足されたご様子で、こちらもとてもうれしくなりました!

クラシックの音楽をきいて、胸がぶるぶると震えたのはこれが初めての経験でした。いまだに余韻が残っていて、まるで強いウォッカとジンをストレートで飲んでしまったかのように、胸がとても熱くてたまりません!

パーヴォの集中力、スコアの解釈の斬新さ、そして、貪欲な音楽の美しさの表現への渇望を、鮮烈に描き出したパーヴォでした!

 

明日も14時開場、15時開演ですので、たくさんの方のお越しをお待ちしております!!!!

とにかく、いま同じ時代にパーヴォが生きていることに、神様に感謝します!!

 






最新の画像もっと見る