桂木嶺(Ryo Katsuragi)の、音楽とおだやかな暮らし

On Paavo Järvi blogi fänn. パーヴォ・ヤルヴィさん、吉右衛門さんなどについて語ります。

山川静夫さん、大いに語る!歌舞伎学会の講演会に行ってまいりました。

2017-07-16 23:18:10 | 歌舞伎情報

国立劇場のあとは、歌舞伎学会の山川静夫さんの講演会に向かいまして、なんとか間に合いうれしかったですね。

まず冒頭、山川さんがユーモアたっぷりに「大向こうは?かけないの?」とおっしゃって、その場の空気を和ませてくださいました。歌舞伎エッセイストとして、また国民的な人気を誇る元NHKアナウンサーとして、山川さんは、いろいろな形で日本の芸能史を飾っていらした存在でもいらっしゃり、大変興味深くお話を伺いました。

歌舞伎学会会長の神山彰先生、また副会長の児玉竜一先生の司会で、山川さんの生い立ちも含めてご紹介がありました。山川さんは、静岡の浅間神社の跡取りとして生まれ、國學院大學に進みましたが、ここで歌舞伎との出会いがあり、そしてNHKアナウンサーとしての道を歩み始めました。富士山頂で祝詞を挙げる練習をしていたのを、歌舞伎の声色をやったのがきっかけで、「おまえは神主になるより歌舞伎の世界のほうが向いている」と言われ、十七代目勘三郎丈にもかわいがってもらい、大向こうを始めるようになったそうです。御年84歳になられたそうですが、いまでも元気に歌舞伎の劇場に通われ、大向こうをかけつ...つ、歌舞伎を愛好されているのは素晴らしいことだと思いました。

歌舞伎中継の番組を担当したい一心でNHKを受験し、アナウンサーとして合格するものの、はじめのうちはニュースや野球中継、地方局回りなどがあったそうです。そこでさすが当代随一のアナウンサーとしての面目躍如なのは、「3秒で、野球中継を言い切る」という技術。実際になんとやって見せてくださったのですが、その卓抜なアナウンス術に、場内ビックリ、そして大拍手。秒単位で、さまざまな放送のテクニックを駆使する山川さんは、やはり語りの名人というべきでしょう。

山川さんといえば、私の世代ですとやはり「紅白」の名司会、「ウルトラアイ」などの科学番組、「華麗なる招待席」での舞台の名解説が鮮やかな記憶に残っていますが、それぞれの思い出話も大変興味深く、やはりテレビ放送の一大レジェンドとしての存在感を放つ方だと思いました。また当意即妙でたのしく歌舞伎の名優たちを声色で語るトークの見事さも、山川さんの頭の回転が並外れておられることを感じさせ、感嘆の一言に尽きます。

声色では、六代目菊五郎、初代吉右衛門、六代目歌右衛門、十七代目勘三郎、二代目松緑などの声色がずば抜けてすばらしく、まるでそれぞれの丈が目の前に生きておられるかのような再現力でありました。その語りの芸のみごとさは、ちょっと録画しておきたいくらいでしたが、ただ声を張るだけではなくて、ちいさくささやくようなセリフでも立派に聴かせる名人芸を、それぞれの俳優諸氏がもっておられたことを伺い知ることができ、うれしく思いました。

エッセイストとしてもすぐれた業績をお持ちの山川さんですが、文章の師匠として挙げられたのが戸板康二先生でした。でも、山川さんが若かりし頃には、そうそうたる劇評家の方々がご存命で、その残像を知り得ない私にとっては、本当にうらやましいの一言に尽きます。「語りでもなんでもそうですが、先人たちへの憧れを持つことが大事ですね」とおっしゃる山川さん。真似はできなくても、先人たちを学ぶことで、歌舞伎と友達になり、人生をみのりゆたかにまっとうできる幸せをかみしめておられるようでした。

いろいろな意味で、とても含蓄のあるお話も伺えましたし、山川さんのような温かい視線をもって、歌舞伎をみつめることも大切なことと深く感じ入った次第です。

このような貴重な企画を立ててくださった歌舞伎学会のみなさまにお礼を申し上げます。

山川さんにはますますお元気でご活躍いただきたいと思います。

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