桂木嶺のGO TO THE THEATER!~Life is beautiful!~

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ただいま読んでいる本です♪ いったいこの世の中はどうなるのかな?「ポスト・キャピタリズム」という本です。

2017-10-18 06:18:50 | 読書

みなさま おはようございます!

この10月の頭に発刊されたばかりの新著をご紹介します。

また大変むずかしくて、すこしずつ読んでいますが、

とても刺激にみちた内容なので、みなさまにもぜひ読んでいただき、

いろいろな意見をたまわりたく、ご紹介させていただきます。

「ポストキャピタリズム 資本主義以後の世界」

という本です。イギリスのジャーナリスト、ポール・メイソンが書いています。

(東洋経済新報社より)

 

具体的にはどういう内容かというと、

いま、いろいろな意味で、資本主義が限界を迎えているのではないか、という

考察から始まり、「プロジェクト・ゼロ」・・・・という考え方を提唱しています。

つまり、

1)機械や製品のコストはゼロ、労働時間も限りなくゼロに。

2)生活必需品や公共サービスも無料に

3)民営化をやめ、国有化へ。公共インフラを低コストで提供し、単なる賃金上昇よりも公平な財の再分配へ

4)ベーシック・インカムで、劣悪な仕事は姿を消す

5)並行通貨や時間銀行、協同組合、自己管理型のオンライン空間などが出現

6)経済活動に信用貸しや貨幣そのものが占める役割がずっと小さくなる etc

といった考え方、(かなり大胆ですね)を提唱していくものです。

 

それは、どこからスタートしているかというと、2004年ごろを過ぎて、インターネットとモバイルデータの進歩で

新しいビジネスモデルが可能になったことを筆者は示唆しています。

「ネットワークによって、人は、産業資本主義の時代に形成された活動分野とは別に知識を生み出して消費できるようになった。

このため、私たちはニュースと音楽の業界でまず崩壊が起こったことに気付き、政治的プロパガンダとイデオロギーを独占してきた

国家体制が突然失われたことを知った」と筆者は記し、それが資本主義経済によって起きたのではなく、

ネットワーク社会の成熟によって起きたことを示しています。

 

新自由主義は崩壊し、分断化とゾンビ国家をもたらしたのは、「情報経済と市場経済は共存できるものではない」という考え方によるものだと

筆者は指摘します。つまり、大変な社会変革の可能性を示唆しているわけです。

 

ここで、この本に寄せられた海外の識者からの賛辞をお届けします。

【本書への賛辞】
たとえ、あなたが現在の資本主義システムを愛しているとしても、本書を無視するのは間違っている。
本書の主張は、右派と左派も分け隔てなく幅広い読者層を得るだろう。
――ジリアン・テット(ジャーナリスト・元フィナンシャル・タイムズ アメリカ版編集長)

これまでとは違う真の選択肢を導き出す独創的、魅力的、刺激的かつ活気ある明確なビジョンである。
――ナオミ・クライン(ジャーナリスト、『ショック・ドクトリン』著者)

ポストモダニズムなど、さまざまな『ポスト○○論』の流行が去った後、
メイソンは、唯一本物のポスト論である『ポスト資本主義』と恐れることなく向き合った。
――スラヴォイ・ジジェク(哲学者、精神分析家)


【主な内容】
プロローグ ポスト資本主義はユートピアではない 

第1部 資本主義の危機と歴史の循環
 第1章 新自由主義の崩壊
 第2章 コンドラチェフの長い波、短い記憶
 第3章 マルクスは正しかったのか
 第4章 長く混乱した波

第2部 機能しない情報資本主義と無料の世界
 第5章 ポスト資本主義の予言者
 第6章 無料の機械に向けて
 第7章 美しきトラブルメーカーたち

第3部 新自由主義からプロジェクト・ゼロへ
 第8章 資本主義を超える経済への移行
 第9章 パニックには理性的に
 第10章 プロジェクト・ゼロ

ちょっとずつ読みますので、また随時ご紹介いたします。

「労働時間が限りなくゼロに」というのは

あながち夢物語ではなくて、ネットワーク化を進めていった結果、

アメリカのシリコンバレーでは、1か月の労働内容に相当する作業を

月に1時間の出社でできてしまう社員がいるので、1時間の出社だけでよい、

ということを認めた会社が出てきたそうです。

3)に至っては、かなり大胆な考え方ともいえるので、どうなるのか推移を見守りたいところです。

というわけで、まったく映画でも芝居でも音楽でもないお話ですが、

ぜひみなさまもご一読くださいませ(^_^)/



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