萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか純文学小説×写真×文学閑話

山岳点景:仲夏の花森

2016-05-25 22:43:01 | 写真:山岳点景
Secret Forest



山岳点景:仲夏の花森

平日だけど休日な今日、とある花の山に登りました。



東石楠花アズマシャクナゲの群落は終りかけ、
でもこの山この時季の目的は↓コレ、なんて花かご存知ですか?笑



銀竜草ギンリョウソウ、葉緑体のない透けるような姿が不思議です。



山地で湿度ある場所に生える植物で日本全国に分布しています、
が、あまり他所で見たことないんですよね。



厚く積もった落葉の底、純白の花が浮かびます。



酸実ズミも咲きだしていました、紅色の蕾と白い花がカワイイ木です。



バラ科リンゴ属なんですけど、そのとおりリンゴに近い花木です。
そのため実生=種から栽培してリンゴの台木に使われていました。



ここの水辺では九輪草クリンソウが咲きます。



新緑の森、透明感ある紅色がきれいです。



白花の九輪草は稀、清楚な佇まいが惹かれます。



そんな森の頭上、シジュウカラが囀っていました。


撮影地:森@山梨県

※ギンリョウソウは踏みつけ注意。
○落葉の底から咲くため見つけにくい+折れやすい=知らず踏み潰すことが多いです。
 もし一輪でも見つけたら周囲に複数ある可能性大、静かに落葉を掻き分けて足場を確かめてください。
○ギンリョウソウの生育条件は湿度・土壌の菌が複雑なため人工だと枯死させます、盗掘など企てないようお願いします、笑

不思議な花咲く森に↓
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お知らせ掲示板2016.5.25夜

2016-05-25 22:10:59 | 掲示板&目次
ご閲覧ありがとうございます、すこしでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
この9月でブログ開設4周年&「side story」の連載も4年を迎えました、読んで下さる方あって続けられたなって本音です。
で、4月5日現在で閲覧数2,111,797PV/訪問者数422,880IP お蔭様で210万/40万を超えました。

【メッセージ2016.5.25夜】

ちょっと山歩きして来ました、で、眠いです、笑
そんなわけで山の花写真UPしてあります。

日花物語「皐月二十五日、野茨―A Storyteller」UPしました。
Aesculapius「Minerva13」もうすこし加筆します。

第84話「整音23」校了+Favonius「少年時譚、夏の杜 act.39」校了、Aesculapius「Minerva12」校了。
サイドバーのカテゴリー「side story」+「 Favonius‐Aesculapius side K2」+「Aesculapius 杜嶺の医神」よりどうぞ。

取り急ぎ、智

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【コメント&メッセージ用アドレス】
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※コメント非公開ご希望の方は、その旨を付記ください。またコメントレスポンスでのハンドルネーム掲載の可否も教えてください。
メールでのコメントはこちらまでお寄せくださいtomoei420@gmail.com

【ページの見方】カテゴリーで各話まとめて閲覧できます。
 二次小説は「side story」「another, side story」はドラマ陽はまた昇る続篇、宮田と湯原その後を連載中です。
 オリジナル「Aesculapius」の設定&登場人物を二次小説「ss」と「a,ss」にも使っています、二つの違いを比較して読むのもおススメです。
 他、連載中の「Favonius少年時譚」「Savant」はオリジナル「Aesculapius」のサイドストーリーになります。
 Lost article「天津風」は「Aesculapius」主人公・雅樹の兄が「side story」のサイドストーリーとして主役しています。

【目次】本編「Aesculapius」と二次「side story」に分けてあります、ちょっと目次も長くなってきたので。

読者ボタンなるものが出来たそうです
プロフィール欄の写真下にボタンがあります、励ましにでも押してくれたら嬉しいです、笑
ワガママにお付き合いくださって、バナー押してくださる方達へ
忙しい時も時間作って描き続けられるのは、あなたのお蔭が大きいなあと心から感謝です。
そのお返しにって感じで1日の掲載件数を増やしてきました、楽しんで頂けたら嬉しいです。
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手数ちょっと多いですが小説ほか面白かったら押してください、笑

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■「side story」ドラマ・陽はまた昇るの続編&補完小説―追捕編を連載中です
 ドラマ本篇の設定・エピソードに準拠して、宮田英二と湯原周太の今後を純文学で書いていきます。
 ※ドラマ設定に準拠+現実の現場を書いています、その為にリアルとの違いもあります
 ※その後の宮田と湯原の成長を二人の関係=警察官と人間的成長の鍵にしています

■「Aesculapius」山に生きる青年医師・吉村雅樹を描く純文学小説、オリジナルです。
 2011年9月から連載の「side story」はコレの二次作品でもあります。
 不定期掲載「morceau」は予告編的掌小説です、「side story」の二人も同じで違うカンジになってます。

  【資料出典】『人の子よーある医師の自分史』吉野住雄:青梅警察署嘱託警察医
         『ある警察医20年の足跡』大西雄二:宮崎北警察署警察医
         『死体検案ハンドブック改訂3版』的場梁次・近藤稔和編集
         『死刑囚の記録』加賀乙彦:東京拘置所精神科医官
         「死体検案時における射創の検査」青木康博:岩手医科大学医学部法医学講座
         「死体検案の現状 警察医の憂鬱」早川 睦:千葉大学大学院医学研究院法医学教室 
         「法医学の最近の話題〜司法解剖の増加と近未来」大野曜吉:日本医科大学法医学教室
         「我が国の検死制度― 現状と課題」中根憲一:行政法務調査室
         『山岳救助隊日誌』金邦夫:警視庁青梅署山岳救助隊副隊長手記
         『遭難者を救助せよ―富山県警山岳警備隊』細川勝:富山県警山岳警備隊員実録
         『レスキュー最前線 長野県警察山岳遭難救助隊』長野県警山岳遭難救助隊編
         『ドキュメント気象遭難』『ドキュメント滑落遭難』羽根田治:遭難事故実録
         『ファーストエイド・ブック』悳秀彦:日赤救急法指導員・米国赤十字救急救護CPR指導員
         『登山の運動生理学百科』山本正嘉:国立鹿屋体育大学助教授
         『図解特殊警察』毛利元貞:警察方面コンサルタント資料
         『警視庁・特殊部隊の真実』伊藤鋼一
         『森のバランス 植物と土壌の相互作用』清野嘉之ほか共著・森林立地学会編
         『ギリシア・ローマ名言集』柳沼重剛編・岩波文庫
         『奥多摩の民衆芸能と山』渡邊唯夫
  【参考資料】現場OBブログ、現場公式サイト、「山と渓谷」「岳人」「山と高原地図」シリーズ他

  <注意書または設定説明> 初来訪の方ご留意ください
  ※現場手記がベースな為、遺体・事故・犯罪・低層暗部などリアルの辛いシーンも時折あります。
  ※ランキングカテゴリにBLも登録していますが実在の同性愛を基にする為シビア&家族や周囲との対話が主になります。
  (趣旨は2012.10.18「時限付日記:マイノリティを書くのなら」ご参照ください)
 ※著作権法令のため無断での転載・剽窃等ご遠慮ください、小説・コラム・写真いずれも事前のご相談をお願いします。(詳細最下欄ご参照下さい)

■カテゴリー
 サイドバーの「カテゴリー」をクリックすると、そのキャラクタ―視点で繋げて読めるので解かり易いかもしれません。
1)掲示板&目次 
2)解説:背景設定 ―実際の現場についての解説や、リアルと創作の相違。
3)解説:人物設定 ―キャラクター紹介や物語設定など。
4)解説:用語知識 
5)解説:山岳点景 ―舞台になる山の風景ほか
6)文学閑話散文系 ―小説から学術書まで、文学に関する徒然書き
7)文学閑話韻文系 ―作中の引用詩をメインに和歌、漢詩、+α
  文学閑話万葉集 ―『万葉集』の自訳&解説
  文学閑話外国詩 ―西洋詩+自訳&解説、ワーズワースなど英国詩メイン・ロンサールやランボオ他フランス詩も。
8)創作短篇 ―さらっと読める読切短編です。2014.04.08「一滴の戴冠―The thread of Life, Ariadne」ほか
9)Aesculapius ―山の青年医師・吉村雅樹の物語
10)Introduction of Aesculapius―本編「Aesculapius」の序章、雅樹と光一の視点が交互に描かれます。
11)side k2,Aesculapius ―吉村雅樹20歳の視点
12)Favonius‐Aesculapius side K2 ―吉村光一の視点、12歳〜
13)Introduction of Favonius‐Aesculapius ―光一5歳の物語+光一8歳「Lettre de la memoire」
14)Aesculapius S.P
15)short scene talk ―本篇「Aesculapius杜嶺の医神」の幕間短編、会話分だけで気軽に読めます。
16)Aesculapius ext ―特別編、クリスマス三部作など
17)side K2 ―side story版・国村光一の視点、23歳と5歳
18)Savant ―英文学を学ぶ湯原馨と仏文学を学ぶ田嶋紀之、山ヤの文学生ふたりの物語
19)P.S 花園より、想い束ねて―side story版・由希の視点、花屋の店主になっています。
20)Lost article ―書籍編集から研修医になった吉村雅人の物語。
21)Eventually Comes True ―英二の姉・英理と関根の物語、恋愛と家族の物語
22)side S.P extra ―特別編、クリスマス三部作など
23)morceau ―連載中の小説「Aesculapius」の掌小説&予告短篇、さらっと読めます。「side story」と同じで違う二人も登場。
24)陽はまた昇るside story ―宮田英二の視点、第10話からドラマ以降な為ほぼオリジナルになります。
25)dead of night 陽はまた昇る ―宮田英二の短編 
26)陽はまた昇るanother,side story ―湯原周太の視点、第10話からドラマ以降な為ほぼオリジナルになります。
27)short scene talk SS ―「side story」の幕間短編、会話分だけで気軽に読めます
28)陽はまた昇るP.S ―閑話休題「P.S,side story」警察学校・初任科教養時代のエピソード&他の人物の視点での物語
29)明日香の風に歌聞かせ ―『万葉集』引用歌をベースにした掌小説、宮田・湯原の未来日記もあります。
30)創作・現代 追憶は青く
31)雑談 ―「雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚」など
32)写真彩々 

■目次
このトップページの数ページ後(直近UPターンの後)になります、まだ編集中ですが随時整備いたします。
イメージイラストも有。ストーリーを戻って読むなどご参考になれば嬉しいです。

<ちょっと覗いてみるなら>雰囲気解りやすい各話を下記ピックアップしてみました
『Aesculapius』
 第1章「Manaslu act.13」2013.11.11 医学と生死に向きあう想い
 第1章「Manaslu act.16-18」2013.11.15 生命倫理、試験管児と同性婚の現実
 第1章「Manaslu act.22」2013.11.25 山岳遭難の遺族と想い
 第5章「Chiron act.13-15」初めて警察医として死体検案に臨む現実

『Savant』
 Vol.1「Impression 知の明眸 act.6」2013.10.06 初めてライバルに出逢った文学生の想い
 Vol.2「Attempt 峻嶮の恭 act.6」2013.11.19 英文学&ワーズワスと母に抱く願いと夢
  
『side story』
 第11話「奥津城1〜2」2011.09.29-30 宮田サイド
    初めての死体見分に向合う宮田、縊死自殺遺体と尊厳の対峙(注意※警察現場リアルシーン有)
 第15話「山懐1〜3」2011.10.15-18 宮田サイド
    敬愛する山ヤの死に向合う宮田(注意※警察現場リアルシーン)山ヤの警察官として生きる信条を固めるターンです
第67話「陽向」2013.07.18、21、23、25、27、31、08.02 湯原サイド 入隊テストを明後日に控えた一日
   大学での無言の別離と「recherche」への想い、青木樹医の語る祖父の芳蹟と田嶋教授と父の過去、父の論文集。
第64話「富嶽」2013.04.08、10、11、14、15、20、05.14、13 宮田サイド
   山岳救助隊副隊長・後藤との富士登山、後藤の病状と宮田の想い
第63話「残証」2013.03.24、28-30、04.01、02 湯原サイド 【引用文:Edward Hallett Carr『What Is History?』】
   銃器レンジャーの先輩・箭野との対話から美代と手塚との進路への対話。祖父・晉を知る田嶋教授との出会い
 第X話「冬三夜―Bonheur de l'ange」2012.12.27-30 クリスマスイヴをめぐる山岳地域の現実と夢の物語。
 第42話「雪陵」2012.05.02-10 クライマーなら避けて通れない「慰霊登山」をめぐる祈りと覚悟の物語。
 第41話「久春」2012.04.27 同性愛である現実と家族・家の問題、その分岐点で親が子を想う真実
 第40話「冷厳」2012.04.12-13、18-19 山岳救助隊の厳しい現場、公人としての立場との葛藤
 第40話「凛厳」2012.04.15-17 山岳救助隊の家族が抱く覚悟、同性愛をめぐる対峙
 2012.01.16‐21「高峰」…冬富士の荘厳と峻厳な「魔の山」、山ヤで山岳救助隊員の誇りと友情と恋愛
 2011.12.01-04+07「山霜1〜5」…山岳救助隊の現場と山ヤ(職人気質のクライマー)の誇りと友情(注意※現場リアルシーン有)

※全ての原稿・資料・写真等の著作権は著者・作成者に帰属します、 無断での使用および配布は禁止します。創作・二次とも無断での転載・剽窃等はご遠慮願います。
すみません、心底嫌な思いをして閉鎖も考えた経験からこの一文を掲載しています。連載を始めたばかりの頃で衝撃でした、笑
犯罪被害だと法的手段の案も出てWEB公開に嫌気もさしましたが、毎日楽しみに読んで下さる方からメール頂いたので公開を続けています。
連載中の小説はドラマ続篇もありますが人物設定・住居背景など資料や現場を調べて構成した90%以上オリジナルです、無断使用はご遠慮ください。
文章を書く以上「書き手の最低限のマナー」は書き手のプライドです、軽いノリで剽窃を正当化する方もありますが大怪我の問責事項です、最近の話題にもご存知だとは思いますが。もし遣いたいと思ってくださる方いらしたら事前のご相談お願いします。

HNを変えてもサイトを隠しても隠す以上は恥さらしだって自覚がある、解ってる癖に恥さらしっぱなしはホントミットモナイヤツだなと。ミットモナイ奴に自分の書いたモン勝手されんのホント不愉快、真似されるだけイイんだよとも言われたけどお断りです、笑
どんなに下手でもオリジナルの文章は言葉から力があるけど、盗作や剽窃など他人のモン盗んだ文章は性根から歪みます。
だから自分の作品からは剽窃真似っこお断り、遣いたい時はご相談お願いします。

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皐月二十五日、野茨―A Storyteller

2016-05-25 00:54:23 | 創作短篇:日花物語
孤独より咲く



皐月二十五日、野茨―A Storyteller

去ってしまった君の声、今やっと聴ける。

『あなた自身に向きあって?あなたと才能のために、』

あんなふう君に言わせてしまった、それは僕の怠惰と臆病のせいだ。
そんな簡単なことも気づけなかったから、どうか最初の詞を捧げたい。

「今回の扉の言葉いいですね、詩も書かれるとは知りませんでした、」

声かけられて机の向こう、なじみの編集者が笑っている。
紅潮かすかな頬まだ初々しい、その若さに懐かしく微笑んだ。

「僕も初めて書いたんです、ちゃんと詩になっていますか?」
「はい、韻も踏まれて格調があります。詩集を作られるおつもりはありますか?」

朗らかな賛嘆おだやかに明るい。
まだ三十前後、ずっと自分より若い相手に口開いた。

「ありがとう、でも最初で最後の詩なんだ、」

唯一、だからこそ君に捧げたい。

そんな願いごと笑った窓辺、木洩陽やわらかに机を照らす。
ふらす光きらきら黒い木目を揺れて、刻まれた傷いくつも細やかに浮く。
この机でずっと書き続け向きあっている、その孤独たちに香ひとつ深い。

ああ、今年も咲いたんだ?

『八重のバラよりも好きよ、可憐なくせ潔いでしょう?』

ほんとうに君、可憐なクセ潔く消えたね?

『愛しています、だから…さよなら、よ?』

記憶の声に花が香る、もうあの声は帰らない。
けれど花は咲き続けて、今もこの窓の下きっと咲いている。
ほら風一陣あまく清々しい、初夏いくつもの香に若い声が訊いた。

「もう詩は書かれないんですか?」

この答、君だけが知っている。


野茨:ノイバラ、Rosa multiflora、花言葉「素朴な愛、痛手からの回復、孤独、才能、詩、無意識の美」

今日5月25日の誕生花に↓
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月読の夜―Eternal Field

2016-05-24 23:42:04 | 創作短編
月より吹く



月読の夜―Eternal Field

月が昇る、その涯はここだろうか?

ほら風が吹く、茫漠はるかな夜おとなう。
漆色ぬめらかな空を金色が切りとる、薄雲しずかに黄金を映す。
静謐の夜の下、ひとり草原の波さざめいてシャツはためいて、梳かれる髪に月が光る。

「早く帰ってきてよ?」

呼びかけて、だけど声まだ届かない。
きっと帰ってきてくれる、けれど今はまだ時じゃない。
そう解っているけれど待ちわびて月を見る、その月下で草が飛沫になる。

うねる光、たなびく闇、明滅きらきら風に渡る。
まばゆい草は波飛沫、しずむ陰翳は海の渦、わたらす雲に月が瞬く。
現れる光、隠れる闇、一瞬すぐ明ける闇と沈ます光のコントラスト、そうして遠く声が呼ぶ。

「こら、こんな時間はお迎えダメだよ?」

ほら、あのひとが帰ってくる。いつもの優しい困り顔で。


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文学閑話:珠ふる橘×万葉集

2016-05-24 07:25:14 | 文学閑話万葉集
時雨ごと



文学閑話:珠ふる橘×万葉集

五月これ 花橘を 君がため 珠にそ貫け 零れ巻く惜しみ  大伴坂上郎女
さつきこれ はなたちばなを きみがため たまにぞつらぬけ ふれまくをしみ

五月ならそう、
橘の花を珠飾りにつなげましょう、零れ散るままは惜しいから。
不老不死の力を持つという橘だから、あなたのため珠飾りにしてあげたい。
あなたの魂も恋も散ってしまうことが惜しくて、だから常緑に変らない橘を連ねて永遠を願います。
あなたの天寿を貫いてほしいのです、そしてこの恋も貫けたならと願っています。
橘の花を珠に連ねるように、あなたと私の魂を連ねて想い貫けたなら。

夏の相聞歌『万葉集』第八巻に載っている恋の歌です。
原文「五月之 花橘乎 為君 珠尓社貫 零巻惜美」のまま訓読してあります。
一般的には「五月の 花橘を 君がため 玉にそ貫けぬけ 散らまく惜しみ」と書き下しているようです。

橘は柑橘類で常緑の葉から古来、永遠性を謳われてきました。
異称「ときじくのかぐのこのみ」非時香菓・時香木実とも表記され『古事記』などにも見られます。
橘の実は不老不死の薬とも言われており、結句「零巻惜美」不老不死の花が零れ散ることを惜しむ=永遠性への愛惜が読めます。
永遠性への愛惜、そこから第四句「珠尓社貫」の「珠」は「たま=魂」だと読みとれるワケです。

第四句「珠尓社貫」は「貫=つら=珠を糸でつなげる」また同音から「つら=連なる」と意味ふたつ表されています。
珠とは宝石・飾り玉のこと、また上述したとおり「たま=魂・霊」ですが魂とは「命かつ心」のことです。
宝石を糸でつなげる+魂を連ねる=命も想いも繋げたい、そんな意味が第四句にあります。
って書くとR18だなって気づかれると思いますが、ここでは敢えてふれません、笑

五月雨ふる日、散り敷く白い花と茂らす常緑の梢。
その不老不死をいわれる樹に変らない恋を誓おうとする恋歌です。



ちょうど今時季の歌だなと挙げてみました、笑

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