にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『光のほうへ』

2011年06月26日 | MOVIE
『光のほうへ』SABMARINO(2010年/デンマーク)
監督:トマス・ヴィンダーベア。
出演:ヤコブ・セーダーグレン。ペーター・プラウボー・パトリシア・シューマン。

アルコール依存症の母と暮らす二人の兄弟。育児放棄した母に代わり不器用な手つきで幼い弟の面倒を見ていたが、遊びに夢中になっている間に弟を亡くしてしまう。
大人になった兄ニックは、恋人との別れが原因で起こした事件で刑務所に入り、最近出所し今は臨時宿泊施設でアルコールとジム通いの日々を過ごしていた。弟は妻を交通事故で亡くし一人息子マーティンと暮らしていたが、薬物中毒から抜けられずに生活保護に頼っていた。ある日母の死がきっかけで再会する二人。そこで兄ニックは母が残していた遺産のすべてを弟に譲るが・・・。

私はあまり後ろ向きな生き方を描いた作品は好きじゃないし、そんな登場人物にイライラするんですが、この作品の登場人物は後ろ向きと言うよりは人生を投げてしまった哀しみに溢れている。悲しいくらいに優しくて、優しすぎて不器用だ。弟に母の遺産のすべてを譲ったのは、彼の息子マーティンのことを思ってのことだろう。でもその優しさが仇となる。もう弟!なにやってんだよ!って呆れかえったんだけど、彼もまたとことん不器用な人間で、どうしようもなく弱くて脆い人間なんですよね。
デンマークって幸福度世界一で世界最高水準の社会福祉国家らしい・・・。だからこその作品って気がします。原題の「SABMARINO」って水の中に頭をつけて溺れさせる拷問のことを言うそうなんですが、まさしくソレですよね。水の中に頭つっこまれたら苦しいけど、手を離してもらえればまた息が出来る。必死に泳いだりしなくても死にはしないんですよ。泳ぐことを放棄しても生きていける・・・いいのかな?悪いのかな?弟は泳ごうとして泳ぎ方を間違えた。兄ニックはイヴァンを庇ったことで、もう頭を水につっこまれることはないだろう・・・そう思ったのかもしれない。弟のことを知り、少し泳いでみることにした兄ニックに、暖かい手が添えられる。
リアルな原題の意味を知ってこの作品の下敷きを考えることが出来たんですが、映画のタイトルとしては邦題の「光のほうへ」の方が好きですね。

-2011.6.21 梅田ガーデンシネマ-


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