にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【映画】『くちづけ』

2013年06月01日 | MOVIE
『くちづけ』(2013年)
監督:堤幸彦。
出演:貫地谷しほり。竹中直人。宅間孝行。平田満。麻生祐未。

埼玉県にある知的障がい者のグループホーム「ひまわり荘」。そこにマコという障がいを持つ娘を抱える漫画家の愛情いっぽんが住み込みで働くためにやってくる。マコは男性を極度に恐れるために、このホーム一番の問題児うーやんの存在が気がかりだったいっぽんだが、その思いは杞憂に終わり、マコはうーやんに寄り添い、二人は結婚するんだとまで言い出す。ただマコだけを必死に守ってきたいっぽんは、このホームでやっと穏やかに暮らせるものと思っていたが・・・。

この作品の舞台版は劇場で2回。WOWOWで1回観ていて、とても好きな作品です。劇場でも大泣きしましたからね。東京セレソンデラックスらしい、笑いあり、涙ありの物語で、でもその中でもこの作品は手放しで感動したとだけ言える作品ではなくって、苦いものを残す作品です。それがなんと映画化される・・・というか映画化されていると知ったのは劇場公開の少し前で、これはぜひとも観に行かなければと要チェックとなってました。
早々に観に行って、まあびっくりしましたよ。なんたって舞台版とほとんど変わってないんですから。セットまでほぼ一緒(笑)。しかも舞台と同じくほぼ全編ひまわり荘の中だけで描かれる。いいのか悪いのか・・・(^-^; 私は舞台版が好きなので、別にいいんですが、やはり映画ということで、映画ならではの描き方もちょっとは期待していたわけで、そこは肩すかし食らった感じかな。ただ舞台版と大きく違っててこれはどうよ?と思ったのはクライマックスのいっぽんとマコのシーンのカメラぐるぐる。(^-^; あそこはねぇ、いいシーンなんだよ。なのにあれはないよ・・・。別にカメラぐるぐるしなくったって、あんなカメラワーク素人映画じゃないんだから・・・。

ここからは、舞台版のとき感想書かなかったので、ちょっと映画、舞台関係なくこの「くちづけ」という物語の感想を。
以前「海洋天堂」という作品を観たときにこの作品のことを思い出したんですが、ラストは「海洋天堂」の方がいいです。こちらも永遠に大人になることのない子供を持った父親を描いた作品で、こちらの場合はまずはじめに無理心中を考えます。でもそれに失敗して、次になんとか自分が生きている間に息子が自分がいなくなってもなんとか生きていけるようにと、バスの乗り方を教えたり、必死に一人で少しでも日常生活が送れるようにといろんなことを教えます。「くちづけ」ではやっとみつけた終の棲家のつもりのひまわり荘が無くなってしまうという、なんで今なんだよ?というタイミングがいっぽんを追い詰めてしまったのかもしれないですが、袴田さんのセリフ「やれば出来たんじゃないかよ・・・」に尽きるんですよね。あきらめちゃいけないんです。土壇場で助けを求めようと夏目ちゃんに電話したけど、タイミング悪く彼が東京に行ってしまうと聞いて、それ以上何も言い出せなかった。いっぽん先生の優しさが仇になる。「迷惑かけたくなかった」って言い訳よくありますが、迷惑かけていいんだと思います。絶対にどんな形でも人って一人じゃ生きていけないんです。とにかく「しんどい、助けて!」言いましょう。そしてその「助けて」を聞いた人、自分に何も出来なかったら、誰かに「助けてって言ってるんだけど、どうにか出来ないだろうか?」って投げかけて。必ずどこかにつながるはずだ。私はそう信じてます。人ってそんなに捨てたもんじゃないですよ。でも私の考えは性善説ではないんですよ。私は性悪説の人です。人間なんてろくなもんじゃないって思ってます。でも、ろくなもんじゃないけど、生まれてきた以上、なんとか善でありたいと思うから必死によく生きようとするんだって思ってるんですよ。だからこそ繋がる。そう思ってます。
現実問題、福祉に関しては綻びだらけで、いろいろ大変なことばかりです。でも、まずは国ではなく人を信じるところから始めるしかないんですよね。「海洋天堂」でも最後は民間で、人でしたしね。

-2013.5.29 MOVIX八尾-


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