コトコト煮込んだコクとアク

2015-07-23 04:05:20 | 雰囲気のあるアルバム
トルコに行ったとき朝ごはんはスープとパンという定番メニューがあった。スープは常に五種類ぐらいあって、あるときイシュケンベ(羊のモツスープ)を選んだ。まあこれが壮絶なシロモノで、もともと私の好みではない動物性油(超こってり豚骨ラーメン的な)に、糞の香りが漂うスープなのだ。モツのダシと塩ぐらいしか入っていないであろう味付け。それでも真ん中あたりは少しうまいと感じるレベルでさすがはトルコ料理だった。(ちなみに上澄みと底溜りはクセが二倍増し)
で今回は ROLLING STONESの「 Goats Head Soup 」だ。ストーンズのアルバムの中でもトップクラスの統一感がある。とは言っても幅は広い。どろどろのブルースにヘビーな歪んだ曲に哀愁漂うメロディーに民族音楽もどき。そしてそのどれもが「これぞストーンズ」と唸りたくなる出来映え。特にミック・ジャガーの歌とビル・ワイマンのベースは絶好調で、そこにホーンやピアノが絡んだごちゃまぜなバンドサウンドがいい!この必要以上にテクニックにこだわらず、ひたすらストーンズっぽい曲を様々なパターンで生み出すところがストーンズがストーンズたる所以であり、このアルバムの良いところなのだ。ストーンズという大鍋で煮込まれたスープは材料が何であれ、どの部分をすくっても間違いなくストーンズを味わえるのだ。





自然体の凄み

2015-07-17 01:43:07 | 衝撃の曲
スポーツをやる人なら誰でも言われるであろう「力を抜け」という極意がある。しかしそれは全身に神経を張り巡らせ、すぐに理想の動きをする為に邪魔な力を抜く、ということであってフニャフニャに脱力しろという訳ではない。
で今回はChuck Berryの「Come on」だ。乾いたいかにも金属製の弦を鳴らしてますというようなイントロから、なんとも力の入ってない歌声。逆に普通にしているドラムが妙に力強く感じるほど。だがこの軽さが、乾いた感じが絶妙なツボをつく。それは素人の薄っぺらさではなく、力を入れなくても出せる迫力というものなのだろう。重々しく、濃厚なものばかりではないロックの奥深さが味わえる。



スパルタとは

2015-07-17 00:09:10 | 映画・サントラ
体罰だとか虐待だとかイジメだとか、そういったものが頻繁に取り上げられるようになったのはいつからだろう?昔からある種の伝統としてそれらはあったはずなのに。
という訳で今回は「Whiplash(邦題:セッション)」だ。あまり内容には触れないでいこう。要は音楽における師弟関係だ。めちゃくちゃスパルタな師匠とそれに喰らいつこうとする主人公。怒りを推進力に変えていく姿勢がお互いにあればこそだが、端から見ればとんでもないイジメなシーンが続く。だからこそ中盤での主人公の判断は当然であり、ラストにはとてつもない衝撃かあるのだ。スパルタは受け手によってはイジメになるし、大抵の人はどこかでそう感じることになる。だが、そういう常識は最後に見事にひっくり返される。ここ2.3年で見た中では三本の指に入る名作。(もちろん音楽もクオリティ高いです。サントラほしーなー)



感電中毒注意!

2015-07-06 02:23:11 | 雰囲気のあるアルバム
訳詞を見てこれほどテキトーな内容でいいのか、でも曲かっこいいし歌詞ともバッチリ合ってる。という不思議な感想のアルバム。
T REXの「Slider」だ。リンゴ・スターが撮ったとされる(確か自他ともに否定)ジャケットからして摩訶不思議。そもそも「スライダー」って何。誰でどういう役割なのかすら謎。でもなんとなく「あのジャケットの人がスライダーだよ」って言われれば「そうなのか」と思えそうだし、そうやって見ればボヤボヤのシルクハットの人もかっこよく見えてくる。
曲も一曲目から奇人の叫び声だ。完璧にイカれてるこのかっこよさ。なにかと電気のイメージのあるバンドだが、確かにマーク・ボランの声には感電してそうな震えがある。相変わらずの古いお決まりのパターンをギラギラに装飾した演奏によく似合う。派手なのか地味なのか、テキトーなのかそう見せてるだけなのか。謎なバンドの不思議なアルバムだか、中毒性のあるサウンドなのだ。


ゲスト:ポール・ウェラーと洗濯機

2015-07-06 00:37:20 | 衝撃の曲
イントロが印象的な曲は数多くあるが、今回の曲はひと味違う。初めて聴いた時から、どう考えても洗濯機を回してる音にしか聴こえないのだ。
それがOASISの「Champagne Supernova」だ。かの名盤のラストを飾る曲だがあまり思い入れはなかった。あの名曲だらけの中ではタラタラ同じフレーズが続くつまらない曲だった。この曲に衝撃を受けたのは初めて聴いてから一年以上たって、あるライブに行った時のことだった。
JAKE BUGGという若手アーティスト(私が聴いてる中で唯一自分より年下!)のライブだった。ライブが始まるまでの待ち時間、会場ではアーティストの好みにあった曲が流される。この時も色々流れていて、開演時間になり客席もそわそわしてきた頃にこのオアシスの曲が大音量で流れ始めた。なんと客席の興奮は一気に高まり、大合唱が巻き起こった。ゆったりとした入りから怒濤のサビへ。あれを大人数で歌うのだ。しかも、今からライブが始まろうとしている興奮のなかで。この歌の詞で何度となく登場するフレーズもぴったりだったことに昨日聴き直してて気づいた。「僕らがハイになってた時、君は何処に居たんだろう?」