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今日の筆洗

2016年12月02日 | Weblog

 精妙な「からくり」で人々を魅了する高山祭の屋台行事などが、ユネスコの無形文化遺産に選ばれたが、わが国におけるからくりの最古の記録は、『今昔物語集』が伝える、平安の世の逸話らしい▼ある年、日照りで田の稲が枯れそうになった。そこで桓武天皇の子・賀陽(かや)親王が自ら作ったのが、手に桶(おけ)を持つ子どもの人形。桶に水を注ぐと動く仕掛けになっており、これを田に置くと、物見高い人々が詰め掛け、競って水を運び入れた。おかげで稲は枯れずに済んだという▼わが国のからくりの原点が、豊かな実りのために絞られた知恵だったというのは興味深いが、親王の人形とは違い、さっぱり実りの気配が見えぬのは、核燃料サイクル事業という、からくりである▼この事業に投じられた資金は、十一兆円余。それでもまともに動かぬのだから、政府は「検証会議」を設けて、過去のあやまちを見すえ、責任の所在を問い、核燃料サイクル事業を一から見直すべきなのに、設置したのは「高速炉開発会議」▼そのメンバーはといえば、経産相と文科相、電力会社の代表に原子炉メーカーの代表ら…。身内で固めた会議で事を進めようというのだから、我田引水の極みだ▼根本的な問題には目をつぶったまま、税金を湯水のように注ぎ込み続ける。それで潤うのは、誰なのか。じっくりと見極めたい、平成の世のからくりだ。


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