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今日の筆洗

2017年07月16日 | Weblog

【声】の異体字の【聲】。耳という字の上に配置されているのは石で作った楽器の意味だそうだ。神を呼ぶために打ち鳴らしたものと考えられている。だとすれば【聲】という漢字は音だけでは成立せぬ。その音を聞く人間の耳があってはじめて【聲】として認識されるのかもしれぬ▼その十九歳の男性は障害によって会話がほとんどできなかったそうだ。埼玉県上尾市の障害者施設の送迎ワゴン車の中に約六時間取り残され、熱中症で亡くなった。エアコンを切った七月の車内の暑さと残酷な時間を想像する。どれほど苦しかったことか▼障害によって助けを求められなかった可能性がある。けれどもである。その男性は心の中で「助けて」という音を大きく打ち鳴らしていたはずである▼聞こえぬ声に気づく機会はあっただろう。朝に提出されるはずの連絡帳が出ていない。昼食は手付かずのまま残っている。その状況のひとつひとつは「ぼくはここにいない」と知らせる声である。叫びである。不在に気づいた職員もいたが、情報は共有されぬままで捜すことも家族に連絡することもなかった▼捜査による真相解明を待つが、どこへいったのだろうと男性の身を案じる心という耳を澄ませば、ちゃんと聞こえる「助けて」の【聲】ではなかったか▼「純粋で素直で、いつもにこにこしている人」だったそうだ。事故がくやしい。

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