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今日の筆洗

2017年01月13日 | Weblog

「私たちは、能力主義でやっている。もし、わが一族が縁故主義の一例となったならば、体制は崩壊してしまう」と語ったのは、シンガポール建国の父といわれる名宰相リー・クアンユー氏である▼実際のところ、彼の長男は首相となり、次男は政府系企業の会長に就いていた。実質的な同族支配ではないのかと切り込んだ記者に、リー氏は、こう反論した。「もし、私が首相でなかったならば、息子はもっと早く首相になっていたはずだ」▼老練な政治家の弁舌とはかくも見事なものだが、さてトランプ氏は、記者とどう切り結ぶか。選挙後初めて記者会見に臨む次期大統領に報道陣がじっくり質(ただ)すべきことは、山ほどあった▼米国には、大統領が親族を閣僚に選ぶことなどを禁じた「反縁故者法」があるが、彼は娘婿を要職に据える構えだ。ロシアなど世界各地で展開してきた事業は米国の外交を歪めないか、との懸念もある▼だが、質すべきことが、あまりに多すぎたようだ。ロシア政府がトランプ氏が当選するよう、盗んだ情報を意図的に漏洩(ろうえい)していたとの疑惑。ロシアは新大統領の不品行の証拠まで握っているのではないかとの新たな疑惑。まるで安っぽいスパイ小説のような展開だ▼まだほんの序章なのに、既に食傷気味ですらある「トランプ大統領物語」。今後四年間、読み続けなくてはならぬ連載長編小説である。