知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう
情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄



 慶応大学法学部片山善博教授(元鳥取県知事)が新聞研究2010年2月号(日本新聞協会発行)の「権力を監視し、真実伝えよ〜マスコミのチェックで政治の劣化防げ」という記事のなかで、「隠された大臣折衝の実態」という小見出しのもと、予算における大臣折衝がいかに茶番であり、いかにそれが報道されなかったかが、指摘されている。これまでのマスメディアの在り方を端的に描いたものなので、紹介したい。

 皆さん、予算制定時の大臣折衝というのはご記憶ですよね。え〜、事業仕分は覚えているけど、そんな自民党時代のことは覚えてないって。ほら、予算編成の最終局面で、大臣同士が交渉して、省庁にとって重要な予算を復活させたりしてたじゃぁないですか。

 片山教授は、世間では、この大臣折衝によって国民にとって重要な予算が政治的に盛り込まれると信じられていたと思うが、それまったくの勘違いだと指摘する。えぇ、そうなん、知ってた?

 そして、【実態は、大臣復活折衝の前に既に官僚同士が協議し、折衝結果を決めていた】のだという。そして、【大臣は、すべて官僚たちにお膳立てをしてもらい、官僚たちが用意したシナリオに従い、決められたセリフを読み合うという茶番を演じていただけ】らしい。

 これに反発した第一次竹下内閣自治大臣梶山静六氏は、茶番を演じることを潔しとせず、例年大臣折衝で決めていた事項も今年は事務的に決めておくように担当者に告げていたらしい。ところが、その年も「事務的に」大臣折衝がセットされ、宮沢大蔵大臣との折衝に臨まざるを得なくなったという。梶山大臣は、事前に用意された「応酬要領」なる台本に触れることなく世間話で折衝を終えた。

 【「復活折衝はいかがでしたか」と尋ねる記者に対して、「応酬要領に基づき、激しく応酬してきました」と自嘲気味に答え】たところ、【記者たちはその場でどっと笑っていたが、それは大臣折衝なるものの実態を彼らも知悉していたからにほかならない。しかし、それでも茶番の実態を国民に知らせようとしなかった】と片山教授は指摘する。

 そして、もし、記者がこの実態を明らかにしていれば、【それまで続けられた愚かな大臣折衝に終止符を打つことになっただろうし、真剣勝負のできない人材は大臣に就けなくなることから、大臣の品質管理も進んだに違いない】が、そうしなかったため、【大臣たちが「政治主導」で予算を決めていたかのごとき幻想を、マスコミ報道を通じて抱かされ続けてきた】と解説する。

 そのうえで、【マスコミは、愚かしい実態を見て見ぬふりをするだけでなく、むしろ積極的にその実態を覆い隠すことに協力してきたといえる】、【そのことをマスコミ関係者は率直に反省すべきではないか】と批判している。

 まぁ、処方箋は、記者会見開放、記者クラブ開放だろう。そして、独占での取材以外の場面にジャーナリストはだれでも立ち会えるようにするのだ。

 記者クラブ加盟社は、会見開放要求に対し、「記者会見なんかで話されることはたいしたことない、おれらは別ルートで取材している」と強調する。

 しかし、こういう茶番の席に、日本ビデオニュースの記者がいてインターネットで流されていたら、ニコニコ動画の生放送が入っていたら、と思うと、そういう言葉からは説得力を感じられない。

 記者会見開放に反対する社はどこなのか、それを白日のもとにするべく、動きが出ている。

 そのときにも、また、知らないふりをしますか? 
  
  


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