情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

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6月10日は共謀罪阻止を共謀する日~共謀罪新設不要!と国連で主張した日本政府と共謀します

2006-06-10 17:03:33 | 共謀罪
ここ最近,共謀罪新設は不要だ,共謀罪,参加罪に変わる第3の道があるはずだ,と言ってきましたが,何と日本政府が共謀罪新設の根拠とされている国際組織犯罪防止条約の検討過程で,第3のオプションを提案し,それに基づいて,参加罪の性格が「犯罪組織への参加」から「犯罪組織の行為への参加」に変更されていたことが分かった。日本政府も人が悪いねぇ。こんないいことを国民に黙って国連で提案していたなんて…。きちんと,国連での提案について説明をしたうえで,日本が選択する途について示して欲しい。6月10日,共謀罪阻止のための1億2000万共謀の日を迎え,私は「共謀罪の新設阻止」を日本政府と共謀します!

共謀罪を新設する必要がないという主張の根拠は,ここ←で示したとおり,①共謀罪はハードルが高いという国のために,参加罪がある,②その参加罪の規定をよく見ると日本ではすでに立法済みだと見なすことができる規定であり(例えば,銃刀法,暴対法,破防法など),結局,参加罪の新設も不要であるというものだった。

ところが,おったまげたことに日本政府がこの主張に完全に合致した主張を国際組織犯罪防止条約の検討段階でしていたのだ…。引用する。

■■引用開始(翻訳は管理人)■■

Proposals on article 3 (option 2) of the main Convention as presented in document A/AC.254/L.1/Add.2(主たる条約に関する提案) (ここ←)

1. Japan would like to present proposals on article 3, which is one of the most important and challenging articles in the draft Convention: important because this article, by imposing legal obligations on the contracting Parties to criminalize participation in a criminal organization, will provide effective measures in combating organized crime; and challenging because the introduction of the offence of participation is closely related to the basic principles of the domestic legal system of each State. (日本は,最も重要で困難な条約3条について,提案する。中略。困難というのは,共謀罪・参加罪の導入が各国の国内法システムの基本的原理と関係するからである)

2. The difficulty in introducing an obligation to criminalize the act of participation can be seen in the two options to article 3 themselves. Both provide two options in criminalizing the conduct, one based on the notion of conspiracy in the common law system and the other based on the notion of participation found in the civil law system. (3条が共謀罪と参加罪の二つのオプションを設けていること自体,困難性を示している。二つのオプションによって,英米法系のシステムにおける共謀罪という概念に基づいた犯罪類型と大陸法系のシステムにおける参加罪という概念に基づいた犯罪類型から選択できる)

3. However, in order to make this Convention as global as possible, the obligation stipulated in this article should also be acceptable to other legal systems in the world. In addition, this article should have some nexus to the notion of "organized crime" or "organized criminal group" to be defined in article 2 and article 2 bis. (しかし,この条約を世界各国が締結できるようにするためには,(英米法系,大陸法系以外の)ほかのシステムを持っている国でも受け入れられるようにしなければならない。また,この条項は,2条などに定めた「組織犯罪」や「組織犯罪集団」という概念とも関連している)

4. This proposal is made in the light of the above consideration and based on option 2 of article 3, which was proposed by the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland. Japan believes that the revisions of option 2 presented below are essential and minimum requirements for the obligation in this article to be acceptable to other legal systems in the world.(この提案は,イギリスと北アイルランドが提案した3条のオプション2に関する上記のような観点に基づくものである)

5. Subparagraph 1 (b) of article 3 introduces a legal obligation to criminalize the act of "participation". As stated above, the criminalization of "participation" is closely related to the basic principles of the domestic legal system of each State. For example, under the basic principles of Japanese criminal law, certain acts are punishable only when the crime in question is actually committed or attempted, and conspiracy or preparatory acts are punishable only in certain grave crimes. Thus, it is inconsistent with our legal principle to criminalize the acts of conspiracy and preparation of all serious crimes. Furthermore, our legal system does not have any provision which criminalizes acts of participation in certain criminal groups without any relevance to the commission of a concrete crime. Therefore, the obligation to criminalize the acts of "participation" should be realized within the framework of the fundamental principles of the domestic legal system. (3条1項(b)は,参加罪という概念を導入するものである。上述したとおり,参加罪という概念は,各国の国内法の基本原則と密接に関連する。例えば,日本の国内法の原則では,犯罪は既遂か未遂段階に至って初めて処罰されるのであり,共謀や参加については,特に重大な犯罪に限定して処罰される。したがって,すべての重大な犯罪について,共謀罪や参加罪を導入することは日本の法原則になじまない。しかも,日本の法律は,具体的犯罪を実行しないである犯罪組織に参加すること自体を犯罪化する規定を有していない。それゆえ,参加行為の犯罪化を実現するためには,国内法システムの基本原則の範囲内で実現化するほかない)

6. Thus we propose to insert the phrase "Subject to the fundamental principles of its domestic legal system" between subparagraphs 1 (a) and (b) of article 3. (そこで,日本は,3条の1項(a)と(b)の間に,「国内法の基本原則に従って」というフレーズを加えることを提案する)

7. Subparagraph 1 (b) (i) of article 3 refers to the criminalization of "conspiracy" to commit a "serious crime", which is defined in subparagraph (b) of article 2 bis as conduct constituting a criminal offence punishable by a maximum deprivation of liberty of at least [...] years. Since the scope of this Convention should include some element related to "organized criminal activity", there should be some limitation to this provision in order to make it relevant to such an element. For the time being, such an element could be found in paragraph 1 of article 2 of the draft Convention, i.e. "serious crime involving an organized criminal group as defined in article 2 bis" as well as in subparagraph 1 (a) of article 3.(3条の1項(b)()は,「重大犯罪」を犯すことを「共謀する」ことを犯罪化するものである。ここでいう重大犯罪とは,2条の2の(b)で「長期●年以上の懲役に処せあっれる犯罪を構成する行為」と定義されている。この条約の範囲が組織犯罪行為に関連する要素を含まなければならない以上,そのような要素に関連させるためにこの規定は,限定されなければならない。そして,このような要素は,条約案2条1項及び3条の1項(a)に2条の2に定義された組織犯罪集団の関与する重大事件という部分に見られる)

8. Thus, we proposed to insert the phrase "involving an organized criminal group" after the phrase "a serious crime" in the first line of the English text in subparagraph 1 (b) (i) of article 3, with the possibility of changing the phrase in accordance with the future development in the drafting of paragraph 1 of article 2. (そこで,日本は,3条1 項(b) (i)の次に「組織犯罪集団の関与する」というフレーズをいれることを提案する。ただし,もし,2条1項の文言が変わればそれに従うものとする。)

9. Our basic position is that the notion "involving an organized criminal group" should mean activities conducted as part of the activities of a group having as its aim the commission of a serious offence and utilizing the structure of such a group. (日本の基本的立場は,「組織犯罪集団の関与する」という概念は,重大犯罪を実行することを目的とする集団の行為の一部として行われることあるいはそのような集団の組織を拡大する行為の一部として行われることを意味する,というものである)

10. Subparagraphs 1 (b) (i) and (ii) are drafted so as to introduce offences within the framework of either the common law system or the civil law system. In order to make this Convention globally acceptable, we believe that a third option, to criminalize the acts of "participation", should be introduced, taking into account the fact that the legal systems in the world are not limited to these two systems. (3条1項(b)の()と()は,英米法系あるいは大陸法系のシステムのいずれかに合致するものとして導入されるように考案されている。条約をさらに多くの国が受け入れられるようにするためには,世界各国のの法大系が英米法,大陸法という2つのシステムに限定されていないことから,第3のオプション,すなわち「参加して行為する」ことを犯罪化するオプションを考慮に入れなければならない)


11. Thus, we propose, as a basis for discussion, to add the following new subparagraph to subparagraph 1 (b) of article 3: (そこで日本は,3条1項(b)に次のような新しい条項を設け,新たなオプションとするべきだと提案する)
"(iii) Participation in acts of an organized criminal group which has the aim of committing a serious crime, in the knowledge that the person’s participation will contribute to the achievement of the crime." (()その行為に参加することが犯罪を既遂とすることに貢献することを認識しつつ,重大犯罪を実行することを目的とする組織犯罪集団の行為に参加すること)

12. Accordingly, we proposed to change the first three words in the chapeau of subparagraph 1 (b) from "Either or both" to "At least one". (この変更に伴い,3条1項(b)の柱書の文言を「一つあるいは両方」から「少なくとも一つ」に変えるよう提案する)


■■引用終了■■


どうですか。

日本は,英米法系(イギリス,アメリカ),大陸法系(ヨーロッパ)以外の法システムがあることを前提に,そのような第3の国々も条約に加盟できるように,共謀罪,参加罪以外の第3のオプションとして,「行為への参加罪」というものを提案したのだ。何という真っ当な主張か!

実際の条約の参加罪(ここ←の43/534)は,

(ii) The conduct of a person who, with knowledge of the aim
and general criminal activity of an organized criminal
group or its intention to commit the crime, takes an active
part in:
a. Criminal activities of the organized criminal group; or
b. Other activities of the organized criminal group in the
knowledge that his or her participation will contribute
to the achievement of the criminal aim;

とされており,日本政府は,

(ii)
組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図を認識しながら、次の活動に積極的に参加する個人の行為
a 組織的な犯罪集団の犯罪活動
b 組織的な犯罪集団のその他の活動(当該個人が、自己の参加が当該犯罪集団の目的の達成に寄与することを知っているときに限る。)

と翻訳している(ここ←の6/61)。


改めて分かるように,これは,「参加罪」ではなく,「行為への参加罪」であり,まさに日本が提案した第3のオプションだ。条約では,「行為への参加罪」は「参加罪」を含むと考えたためか,「共謀罪」と「行為への参加罪」という二つのオプションになったようだ。


…ここまでみてきたとおり,日本政府は,日本の国内法には,「行為への参加罪」という概念がすでにあると考え,第3のオプションとして,「行為への参加罪」を提案した。

…そして,国連は,その日本の提案を受け入れ,現状の条約となった!!

…つまり,日本は,条約に加盟するために新たな犯罪類型を設ける必要はない。ましてや「共謀罪」は,まったく不要だ!!!

日本政府が条約制定過程でこのような提案をし,心憎い配慮をしていたことをここにばらし,日本政府と共謀して,共謀罪が不要であることを,ここに明記します。


法務省の方々,この懸念には,私と共謀して,きちんと答えて下さいねぇ。また,このブログをお読み頂いた方,ぜひ,共謀して,法務省にこの点を問い合わせて下さい。



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2 コメント

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先生 一肌脱いでください! (新党を欲する人)
2006-06-11 15:55:10
僭越ながら、進言させていただきます。

先生のように立派なお考えの専門家は、今すぐにでも、保坂議員さんや、福島さんのような、護憲と立憲民主主義を守ろうとする議員さんと一緒になって立ち上がってほしい。



今、本当に この国は平和と戦争の分水嶺にいます。

どうかひとつ、一肌脱いでほしいと願っています。



本当に必要なのは、まともな考えをもった政治家が増えることです。



どうぞよろしく御願いします。

いいアイデアを教えて下さい! (ヤメ蚊)
2006-06-12 01:51:28
情報を流通させることが重要だと思っています。伝えられない重要な情報を多くの方が共有しあえるインターネット上のシステムをつくることができればいいのですが…。子どもから大人までが読める分かりやすいHPあるいはブログ。エンターテイメント性があり,多くの読者がいるようなもの…。そういうものをつくることに貢献できたら…と漠然と考えています。



いいアイデアがあったら,教えて下さい。

(なお,「先生」はご勘弁下さい。)

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