情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

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毎日・日野記者に問う:「わが子『使い捨て』できるか」を問うのは経営者ではなく、議員、有権者では?

2009-03-21 12:15:14 | メディア(知るための手段のあり方)
 「わが子『使い捨て』できるか」、「経営者には『雇用』の責任がある」-。毎日新聞大阪社会部の日野行介記者が、3月20日のコラム「記者の目」で、【米国発の経済危機を受け、国内のメーカーがまず手をつけたのが低賃金の非正規労働者の人員削減、いわゆる「派遣切り」だった。その結果、労働者は失業と同時に住宅も失い、多くの人が、身近にある「貧困」に衝撃を受けた。私はこの半年間、大手企業を相手に闘う1人の派遣労働者の姿を追い続けた。そして、「派遣切り」のそもそもの原因は何なのか、責任の所在はどこにあるのかを考えた。】との書き出しで、派遣切りについて書いている(http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20090320ddm004070140000c.html)。

 その結論は、【今回の製造業の派遣切りの横行は偽装請負に端を発している。表向きは仕事を外部発注(請負)にしながら、実際には社員と変わらず指示・命令して使用する違法行為だ。06年ごろに相次いで発覚し、その結果、多くの人が派遣へと身分を替え、それが大量の派遣切りへとつながっていく。圓山さんの訴えに対して、三菱重工は「行政からの指導がないから偽装請負とは認識していない」と回答したという。摘発されていないから違法ではないという論法だが、偽装請負が違法だから問題なのではない。メーカーが本来負うべき使用者としての責任を逃れていることが問題なのだ。】というものだ。

 本当に、この結論でいいんだろうか。

 確かに偽装請負は問題だろうし、メーカーが責任をとっていないことも問題だ。しかし、偽造請負が発覚した後、派遣への身分切替が可能な法制度だったことが最大の問題だったのではないだろうか。派遣というのは、「無条件に解雇できる」というシステムであり、圧倒的に使用者側(会社側)が優位に立つ労使関係において、安易に導入することは絶対に避けなければならない仕組みだ。

 派遣切りの真の問題は、最初は派遣制度を小さく導入し、その後、どんどん拡充してあらゆる業種で派遣を利用できるようにしてしまったことだ。そのシステムがなければ、派遣切りの問題は起きなかった(その場合、期間雇用が増大した可能性はもちろんあるが、その場合、企業の責任が正面から問えるし、長期間雇用された場合には、期間雇用ではなく正社員とみなされることもある)。

 この視点を欠いた日野記者の「記者の目」には重大な論点落ちがあるというほかない。

 これは、日野記者だけの問題ではない。記者は得てして、精神論に基づく個別的な解決を要求する。たとえば、日野記者は、先ほどの結論に続けて、【今回の非正規労働者の削減で引責辞任した大手メーカーの経営者はいない。「自分の子どもが10年近く派遣として働かされ、解雇されたらどう思うか」と経営者に問いたい。「国際競争力を維持するためには仕方ない」と答えるのだろうか。それとも「自分の力で正社員にできるから関係ない」と答えるのだろうか】と書いて結んでいる。つまり、各メーカーの経営者の倫理的な責任を問うているわけだ。
 
 しかし、ことは国際競争力の問題ではなく、国内市場の問題だ。安く使える派遣社員を利用したメーカーとそうでないメーカーは自ずから、原価が異なり、国内競争力に優劣の差が出る。したがって、派遣が利用できるような制度になっている以上、それを利用するな、といっても、そんな不合理な選択をするわけにはいかない。

 問題を解決するには、人を使い捨てするような制度を廃止することだ。

 システムを変えることだ。

 本来、記者は、こういうコラム欄で、自分の取材経験を生かし、新しい制度を提案するべきだ。単に精神論をぶっているだけでは、貴重な取材経験は十分には生かされない。

 派遣制度に話を戻すと、現在正社員にある者にとっては、余剰人員はまず派遣などから切るという建前なので、派遣制度は自分の身分を確保することを可能とするものになっている。このためか、導入時にも大規模な反対はなかった。

 その結果、無限定に派遣が導入され、いまや、日本の会社には、「正社員」、「派遣などの非正規雇用従業員」という身分制度が生まれてしまったかのようだ。

 正社員は、リストラが、非正規雇用従業員限りでとどまるなら、それを望むだろう。非正規雇用従業員は、力量のない正社員がのうのうと仕事を続けていることに反発する。

 この状況を変えるには、基本的には正社員としての雇用を原則とするという制度にするしかない。

 もちろん、そのためには、

1:現在の正社員がフェールセーフを失うことから抱える不安、

2:有権者が国際競争力を失うという脅しにおびえる不安

の二つを克服することが必要となる。

 つまり、「わが子を『使い捨て』できるか」という問いは、システムを変えることができる国会議員及びその議員を選ぶ有権者に向けられなければならないはずだ。

 分かりやすい悪役を批判するだけでは、所詮、その悪役に勝つことはできない。

 今回の例でいえば、派遣を可能とする仕組み、ひいては非正規雇用を可能とする仕組みをなくさなければ、今後も同じことが繰り返される。

 配偶者の転勤などに伴う一時的な就職など本当に非正規でなければならない事情がない限りは、正規雇用とすることを原則とするシステムを設けることこそが、悪役に対する勝利となる。そして、実は、そのシステムが設けられた後は、システムが共有されるのだから、悪役にとっても、そんなに不都合なものにはならないはずだ。

 
※グラフは、 http://research.goo.ne.jp/database/data/000586/ より


◆市民が自ら発信することは、以上のような現在のメディアに新しい視点をもってもらうためにも重要です。NHKが以下のような特集をします。ぜひ、多くの方にお伝えください。

*****  放送記念日特集 「市民発ニュースが社会を変える」 *************

放送記念日特集「市民発ニュースが社会を変える」チャンネル:BS1
放送日:2009年 3月22日(日)
放送時間:午後9:10~午後10:00(50分)
ジャンル:ドキュメンタリー/教養>社会・時事
【語り】宗矢 樹頼


「市民発ニュースが社会を変える」 個人発ニュースによる新たなメディアの実
態とその可能性に迫る。

アメリカのマサチューセッツ工科大学での調査によれば、在学生の40%がテレ
ビを持っていないという。彼らが情報を得る手段はインターネットやネットテレ
ビだという。

テレビ離れが進む中で、今、注目されているのがアメリカの独立系テレビ局
「DEMOCRACY NOW」。9.11同時テロの時も巨大メディアがブッシュ政権のイラク
侵攻を支持する中、疑問を投げかけ続けたテレビ局だ。その編集方針は「ニュー
スは個人から生まれる」「当事者の声にこそ真実がある」という「コミュニ
ティ・ジャーナリズム」を重視していることだ。そのニュース番組は午前8時か
ら全米 268の局で放送され、午前9時からは同じ番組が320のラジオ局で流れる。
そして、昼までには、動画とテキスト全文がネット上に発信される。発信した
ニュースに対し、視聴者は局のサイトに書き込みを行うことで双方向の放送が作
られていく。番組では、主催者の女性ジャーナリスト、エイミー・グッドマンに
密着取材を試み、ニュースを発信するまでの流れを追いかけ、巨大ネットワーク
では拾いきれない、個人の意見がどの様にニュースに反映されるかを検証する。

一方、ネット大国・韓国では「個人発のニュース」が動画ポータルサイトを賑わ
せている。市民がパソコンを持って、事件の現場に出向き、その一部始終をサイ
トで生中継しているのだ。きっかけは昨年6月、「大統領退陣デモ」にまで発展
したBSE問題。そのデモの引き金となったのがインターネットのポータルサイ
トに投稿されたリポート映像、つまり個人発のニュースだった。その影響力に驚
いた韓国政府は、サイトへの発信者や運営者を逮捕、また、モニタリングを強化
する新たな立法に走るなど、表現の自由をめぐり議論を巻き起こすことになって
いる。番組では、巨大メディアが報じなかった分野にも光を当てるとともに、個
人発ニュースによる新たなメディアの実態とその可能性に迫りながら、放送の未
来はどうあるべきかを考える。



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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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