情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

プロ市民とは何か~右翼的発言者はプロ市民ではないのか?【安倍ちゃんはプロ首相?】

2006-11-19 18:38:10 | インターネットとメディア
 ここのようなブログを運営しているとプロ市民などという形容詞をいただくことがある。プロ市民っていう言葉から、何やら、活動家を指すような感じは受けていたが、じゃぁ、右寄りの発言をしているブログ主なんかは、プロ市民ではないのかなぁと疑問に思って、ちょっと、ウィキペディア(Wikipedia)で検索してみた。

 すると、プロ市民には

【1.「自覚・責任感を持つ市民」(=プロ意識を持つ市民)を意味する造語。余り普及していない。

2.一般市民を装い市民活動と称して政治的・営利的な活動を行う(とされる)者を指す造語であり、批判又は誹謗中傷する目的で使用される隠語(スラング)、蔑称。ほとんどの場合、こちらの意味で使用されている。】

という二つの意味があることが分かった。

 う~ん、どちらにしても、右翼的発言をする人がはずされる必然性はないようだ。
 
 しかし、後者については、

【一方で、「左翼活動家の隠れ蓑」あるいは「市民活動で利権を得る者たち」を意味するレッテルとしての「プロ市民」がある。つまり「アマチュアのふりをしたプロによる偽の市民活動」というような意味合いである。この言葉は2001年8月に匿名掲示板2ちゃんねるのマスコミ板に立てられた「市民団体にふさわしい名前を・・・」というスレッドにて誕生したとされるが、異説もある。また、こちらの「プロ」はプロフェッショナルの他にプロレタリアート、プロパガンダもかけているらしい。】

ということで、そもそも左翼的発言をする人を対象に使われるようになったらしく、いまだに、左翼的発言をする人を指すようだ。結局は、プロ市民というレッテルを貼ることで、「あいつは左翼の活動家(=反日的思想の持ち主ということまで指す場合もあるようだ)で、言っていることは信じるに足りない」と否定する道具として使われているようだ。

う~ん。レッテル貼りによる批判は、差し控えるべきだ、ということは右翼的発言をする方は同意しないのか、それとも同意するのか?

ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリングは,ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判で次のように発言したそうだ。

「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」

…プロ市民とはここでいう平和主義者に対して向けられたレッテル貼りではないのか?

私に言わせれば、「プロ市民」という批判の仕方をしていること自体、その批判の主が「理論的な批判はできないからレッテル貼りによって批判をしているんですよ」と自白しているに等しい。そういう批判を目にした方は、なぜ、この人はレッテル貼りという手法で批判をするのか、ということから考えてほしい。本来、発言内容そのものを批判しないといけないはずなのに…。

ちょっと、考えれば分かることだが、右翼的発言をする人は「プロ市民」ではなく、左翼的発言をする人だけが「プロ市民」だというのは、理屈に合わない。ブログ上で、毎日、一生懸命、右翼的発言を書き込んでいる人もいるのに、その人の努力は左翼的発言をする人に比べ足りない(プロではない)とでも言いたいのだろうか…。それは、あまりに失礼な評価ではないか?

プロ市民とレッテルを貼られるケースの多くは、ウィキペディアの1番目の意味、「「自覚・責任感を持つ市民」(=プロ意識を持つ市民)を意味する造語」であることが多いのではないだろうか。その実態は、【「プロ市民」とされることがある多くの活動者は手弁当で活動しており、NPO法人の専従事務局員などでない限りはその活動で生計を立てている(2ちゃんねるなどで「ネット右翼」―主に「プロ市民」側からそのようにレッテルを貼られる人々―によって存在が指摘される)プロの活動家というものは存在しない。理由としては、NPO法人の構成員は、所属団体に会費を支払う義務はあっても、報酬を受ける事はあり得ない事が挙げられる。】というウィキペディアの解説どおりなのだから…。

なお、市民運動の背景に政党との関わりがあるから、「プロ市民」と称するのだという主張はまったくナンセンス。なぜって、市民運動は政治を通して自分たちの要求を実現する行為であるから、政党と係わるのは当然。政党と何らの関わりもなく、ただ道ばたで声を上げているだけでは、政治は変わらない。それは、右翼的運動をされている人が自民党と深い関係を持っていることからも明らかでしょう。


なお、「反日」なるレッテルも、「政府を批判する者」に向けられることが多いが、「日本政府」への批判を「日本」への批判と同視することはできないはずなのにね…。


このエントリー・記事は、漫画原作者・土岐正造さんの「平成鸚鵡籠中記・新館」というブログの「小田実とは何か?(ワニマガジン・ムックシリーズ風)」にプロ市民なる用語が使われていたことを契機に書いたものであることを付記しておきます。

(追記)ちなみに、「プロ市民」という言葉を使う人は、タウンミーティングでのやらせ発言者のうち、謝礼をもらった人に対し、「プロTM発言者」という評価をするべきだと思うが、いかがでしょうか?


(写真は、ビデオプレスTVから)


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17 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TBありがとうございます (あおざかな)
2006-11-20 00:28:12
タイトル笑わせていただきました。
「プロ首相」(「プロ総理」でもいいか)、めっちゃいいですね。
「プロ都知事」とかもどっかにいそうです。
返信する
プロ都知事って (ヤメ蚊)
2006-11-20 01:12:11
何やら、休むのがプロのような話も…。
返信する
プロ市民とは (self0507)
2006-11-20 04:59:00
まず、言葉の構成とオリジンから探るのがBESTだと思うので、プロ市民のオリジンについては、桑原允彦・佐賀県鹿島市長から取り上げるべきだろうと思う。
これによれば、プロとは「pro」=professionalをとるべきだと思う。
ここで、professionalを紐解くと以下の言葉が該当するようである。
職業(上)の, 職業的な
知的職業に従事している, 専門職の
商売にする
常習的な, 根っからの
上記のような意味が適当だと思われる。
これから解するに、市民思想というものが、右派、左派とも存在することを考えると、左翼、右翼に関わらず、プロ市民は存在することになるでしょう。
ちなみに、自分は、教職関係でもありますので、”知的職業、専門職”でもあるので、プロ市民になれるとは思いますw
同時に、「常習的、根っから」の市民(人権思想家)とも思っていますので、プロ市民と呼ばれても一向に、悪意も感じません。
というよりも、プロ市民が罵声、誹謗中傷の類だと定義するかたがたの「プロ市民」定義をそのオリジンを含めて問答してみたいものです。
言葉とは変容するものですが、通俗的に通用することで言葉は定義されるものとは言い切れません。悪意ある言葉は時には明確な定義を持たないと危険であることは以前「テロ」についても語っておりますが、そのような危機意識のない人こそ、プロ市民という言葉が意味あるのでしょう。
ちなみに、商売的な右派左派もいらっしゃいますが、職業選択の自由において、誹謗も罵倒もするつもりもありません。そういう方は、まずは、職業の貴賎について、憲法から勉強するのがよろしいことでしょう。
では、眠いのでここで
補足:教育基本法改正案に関する個人見解を一応、ブログに更新しました。これまで詳細についてコメントしませんでしたが、公式に個人として意見を述べておきたいと思います(ここで宣伝するな!)

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こんにちは (のり)
2006-11-20 06:41:39
はじめまして、ヤメ蚊さん
右翼はその「右翼」という言葉自体がレッテル張りになってますし自ら誇らしげに「右翼」自称するからそのままでよいと思います。
一方、左翼の方々は自分たちのこと「左翼」とは、あまり言いませんで「平和~」とか「市民~」とか「男女共同~」とか。
コチラの方々も「右翼」同様、政治活動を生業にしてますので「左翼」と言えば良いのですが、左翼が左翼と名乗らないで「市民活動」としています。
でも一般的な感覚から言うとやっぱり彼らは一般市民ではないし一般市民の声を代表する物でも無いですよね…。
だから、個人的には「市民運動」してお金稼いでいる「プロ市民」は言い得て妙だとおもっています。
2ちゃんねるは論外。
ヤメ蚊さんが問題にするほどの価値もない便所の落書き程度のものでしょ?
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>のりさん (レイランダー)
2006-11-20 11:04:23
すいません、本当に初歩的な、素朴な疑問なんですが、「市民運動をしてお金をかせぐ」って、どうやればできるんですか?僕、それをやりたいし、広めたいんですけど…いや、本当に。
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市民活動とは? (self0507)
2006-11-20 17:16:03
横槍を入れるわけですが、市民活動ってそもそもなんだろう?という問題に関して日本人の感覚が諸外国に比べて非常に不明朗な部分があります。
例えば、消費者運動(ベルマーク集めなど)、介護福祉活動なども市民活動という枠組みであります。しかし、いわゆる日本に通俗的に意図的に使われる市民活動というのは、近代的市民運動(国民国家における市民権獲得運動)の意味に集約されるキライがあります。これは日本には一度も市民革命がなかった事に歴史的起因するわけですが、まず「市民」(citizen)から論じる必要があるのでしょうが、ここでは割愛します。
さて、市民活動で食べてゆくというのは、NPO法人で仕事をするなどでも可能です。現実に自分はNPO法人に参加していますし、著作的、啓蒙的活動で収入があるとも言える立場です。(残念ながらこれで生計を立てるつもりはありません)
基本的に日本でプロ市民(市民活動で生計を形成する人)は多くはありません。これは、諸外国と違い企業や法人が市民活動への理解が低いことから財源的な問題でどうしても単独では成立しにくい背景や、政治活動に対する寄付の税制問題などで市民活動が日本では優遇されていません。
これらの背景をもってして、政治的三流国家というレッテルもあるのは事実のようですが、とりあえず、プロ市民になることは非常に難しいことだといわざるを得ません。
まず、現実的に市民活動への一般社会の理解はかなり難しい問題があり、地域社会の見方は案外、冷たいものがありますし、資金的な問題で常に苦渋を舐めることになります。資財をなげうってまで活動する方々もいますが、そのような情熱的な人ほどレッテル貼りや排斥活動の対象になるようですので、あまり個人としては、商売的なプロ市民はお奨めできません。
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プロ市民?はスッテンテンです。 (デカルト)
2006-11-20 17:52:44
>のりさん

ここに来る人達は、普通の人たちです。
市民運動でお金を稼いでいる人などいません。
変なこと言わないでください。

皆、なけなしのお金をカンパして裁判を支援したりしているのですよ。

都民でないとデモにいくにも交通費だけで2千円も3千円もかかります。
政治が悪いので、皆の出費は増える一方です。
返信する
デカルトさん誤解です (のり)
2006-11-20 18:18:35
はじめましてデカルトさん

ヤメ記者さんのところで返信するのも良いものかどう迷ったのですがデカルトさんブログ無いみたいですし誤解されてるみたいなのでコチラで返信します。

ヤメ記者さん、場所お借りします。

レイライダーさんの所でも書かせてもらいましたが
私が思うのは「市民運動をしてお金をかせぐ」って順番ではなくて「政治団体」が自分たちの主義主張を「一般市民」を装って発信していく活動だと思ってます。

世の中には星の数、多種多様に「市民運動」している方々がいます。そういう方々に対して「プロ市民」と言っているのでは無いです。
返信する
>self0507さん (レイランダー)
2006-11-20 20:47:11
たびたびすいません。今度はself0507さんに質問なんですが、

>自分はNPO法人に参加していますし、著作的、啓蒙的活動で収入があるとも言える立場です。(残念ながらこれで生計を立てるつもりはありません)

これは、これらの活動によって生計を立てる「つもり」がないだけなのか、現状「立てることができない」のか、どちらなんでしょう?無礼な質問で申し訳ないのですが、個人的に結構気になりまして。僕はいわゆる「NPO」とかで本当に食っていけるのか、あまりいい話は聞いたことがないんで、わからないんです。
もちろんNPOにもピンからキリまであるんでしょうが・・・(たとえば「アムネスティ・インターナショナル」みたいなメジャーな団体なら、職員はそれだけで食っていける、のは想像がつくんですが)。

一応、公正を期して、このスレッドに対する僕の基本的な立場を表明させてもらえば、「プロ市民」という発想は納得できません。一般市民が政治活動に参加するのは、民主社会においてはむしろ義務であり、日本国憲法もその義務を謳っていると考えるものだからです。

のりさんとは、もっぱら自分のブログで話し合ってみようかと思ってます(予定)。あんまり律儀にこちらに顔を出せないと思うし・・・。
返信する
レイランダー氏への返答 (self0507)
2006-11-20 23:01:01
> これ(プロ市民活動)によって生計を立てる「つもり」がないだけなのか、現状「立てることができない」のか、どちらなんでしょう?無礼な質問で申し訳ないのですが、個人的に結構気になりまして。僕はいわゆる「NPO」とかで本当に食っていけるのか、あまりいい話は聞いたことがないんで、わからないんです

自分に関してましては、「つもりがありません」し(生計を)「立てることもできない」という回答になります。
シンクタンクなどの知的な政治組織、労働組合もそれに該当するわけですが、それで生計が立つ方もいます。NGO活動としては世界最大規模の国際赤十字委員会などで生計を立ててる人もいますので、「立ち行く」ことは不可能ではないでしょう。しかし、より政治的な枠組みでの活動で生計を立てようと思うならば、若い時期から人脈を作るためにも、活動することが必要だと思います。(大学時代にそのようなコネがあったのですが・・・自分は)

>、「プロ市民」という発想は納得できません。一般市民が政治活動に参加するのは、民主社会においてはむしろ義務であり、日本国憲法もその義務を謳っていると考えるものだからです。

正論でしょう。そもそも言葉として使っている人の言葉の意図だけで理解しようというのがそもそも間違いだと思いますので、これ以上は発言しませんが、プロ市民なる存在がいることはむしろ、普通なわけであり、特別視すること自体が低レベルな政治理念だということでしょう。シンクタンクなどはプロ市民になるわけですし、オンブズマンなどもそうです。そのような組織が未発達なのは、ディスクローズが進んでいない日本だからこそなのですが、もっと問題なのは、政治に市民が深く関与することへの世間的な風当たりの問題でしょう。デモに参加する、などというと色眼鏡で見る地域社会もあることですから・・
まぁ、使用している人が言葉の定義をもって使用していれば、明確な回答が可能なわけでしょうが、対話対象の方のプロ市民の定義でも問答されるとよろしいでしょう。
自分はプロ市民でありたい、とは言いませんが、よりプロ市民だという人が増えてほしいとは願っています。
まぁ、結論からいえば、NGO、NPO活動している方々へのヤッカミみたいなものが、プロ市民という言葉の介在してるんじゃないんですか?
ちなみに、民主主義はより市民に「プロ市民であれ」と要求し続けている政体とも言い得るでしょう。
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