情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

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警察による削除依頼に応じる?!~総務省・インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会報告

2006-07-02 16:39:04 | インターネットとメディア
新党を欲する人さんから,【今日の朝日新聞記事,ネットでの中傷について、総務省が規制をかけ始めようとしているhttp://www.asahi.com/life/update/0630/014.html配信されて見た瞬間,「ついに 来やがった!」と怒りに吠えた!「恐怖政治のはじまり~検閲KENETSU」だ!と・・・】というTBをいただき,問題とされている「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」の最終報告書案(←クリック)を読んでみた。

…これは…。ひどい…。

まず,同報告書の4~5頁にかけて,

【インターネット上を流通する情報に対するプロバイダや電子掲示板の管理者等による対応については、平成14年5月に施行された「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(平成13年法律第137号。以下「プロバイダ責任制限法」という。)4において、インターネット上の情報の流通により他人の権利が侵害されている場合にプロバイダや電子掲示板の管理者等が行う対応によって生じ得る損害賠償責任の範囲が規定されている。さらに、同法の実務的な運用指針として、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会5において、「名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」、「著作権関係ガイドライン」、「商標権関係ガイドライン」(以下、併せて「関係ガイドライン」という。)がそれぞれ策定され、プロバイダや電子掲示板の管理者等は、関係ガイドライン等を参考にして、流通により他人の権利を侵害する情報(以下「権利侵害情報」という。)への対応を行ってきたところである。】として,


いわゆる名誉毀損・プライバシー侵害については,一定の対応がなされていることを踏まえたうえ,

【ところが、インターネット上には、権利侵害情報以外の違法な情報(わいせつ情報、違法薬物の販売広告情報等の法令に違反する情報。以下「社会的法益等を侵害する違法情報」という。)、違法な情報ではないが公共の安全や秩序に対する危険を生じさせるおそれのある情報(爆発物の製造方法に関する情報、人を自殺に誘引する情報等)や特定の者にとって有害と受け止められる情報(違法ではないアダルト情報等)等が流通しているところ、これらの情報については、プロバイダ責任制限法及び関係ガイドラインが適用されるものではないため、プロバイダや電子掲示板の管理者等が情報について送信防止措置等の対応を行った場合における法的責任や、特定の情報の流通が法令に違反するか否か等の判断に関する指針が存在しない状況である。】として,

いわゆる児童ポルノや自殺サイト対策がとられていないことを指摘し,それゆえ,「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」が開かれることになったと説明している。


ああ,それなのに,それなのに…

いつの間にか,検討の対象が,児童ポルノや自殺サイトから,名誉毀損・プライバシー侵害に移ってしまったようだ。報告書も名誉毀損・プライバシー侵害対策に結構,力が入っている。

朝日新聞の上記記事を読んでも,

【名前を明かさずに参加できるネットの掲示板では、中傷されたりプライバシーを侵害されたりして損害賠償を請求しようとしても、相手が誰か分からない。02年施行のプロバイダー責任制限法では正当な理由があればインターネット接続業者などに開示を請求できるとしているが、請求が受け入れられる例は少ない。 総務省は業界団体にどういう場合に開示すべきかの指針作りを求める。うその医療ミスや異性関係を書き込まれるなど、裁判所に開示を求められた過去の判例をもとに、年内にも指針ができそうだ。】

となっている。発表する際に,役人がその辺りを強調したと思われる(それをそのまま文字にする記者も記者だが…)。


…それは話が違うんでないかい。


そして,そして,重要な問題は…。報告書案の23頁 に,【具体的には、違法情報の例示及び判断基準を提示するとともに、警察等、社会的法益を侵害する違法情報について法令の解釈及び具体的事案における適用に関して専門的知見を有する機関からの送信防止措置依頼に対して、電子掲示板の管理者等が対応手順等を参照できる違法情報への対応ガイドラインを策定し、電子掲示板の管理者等による送信防止措置を支援することが考えられる】とある。

いいですかぁ,「警察」からの送信防止措置依頼に対応するためのガイドラインをつくるんだそうです。これでは,戦前の治安維持法など一連の言論弾圧立法が蘇るようなもんではないかい?!演説中に警察が立ち入り,「弁士中止!」と叫ぶとそれまで,であったのと同じように,「小泉は通常の人よりも知能の程度が低いあほだとしか思えない」「安倍は,従軍慰安婦など問題ではないと言いながら,従軍慰安婦をネタに日本人から多額の献金を脅し取っているとされる統一協会に対し,祝電を送ったように,まったく,御都合政治家だ」などとネットで書くと,「送信中止」とプロバイダーに指示され,ごっそり,削除されてしまう…ということになるかもしれません。


もちろん,インターネット上の名誉毀損・プライバシー侵害については,深刻な事例も少なくはなく,対応手段は必要でしょう。しかし,表現の自由との関係で,あくまでも,司法的手続による必要がある。そうでなければ,まさに「検閲」となる。

事前に,利用者とプロバイダーが契約をしていれば,構わないのではないかという議論もなされているようであるが,全てのプロバイダーが同様の契約を求めてきた場合,その契約に従うほかなく,その契約に基づいて,ガイドラインの名のもとに,警察による事前に限りなく近い事後検閲(マークしている人の投稿はすぐに掲載と同時に削除依頼がでるであろうから…)を認めるのは,憲法違反といってもよいのではないか?


総務省は7月21日までの間,意見を募集している(ここ←クリック)。

政府批判ができなくなるような社会にしたくない人の声を結集させましょう!!




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8 コメント

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Unknown (新党を欲する人)
2006-07-02 18:19:00
いやあ やはり 先生がいると心強い。

先生 僕達が死んじゃうよう

ネットブログが死んじゃうよう

つまり

日本の民主主義が死んじゃうよう

助けてください

ぬあーーーーっ!

時間がある限り (ヤメ蚊)
2006-07-02 18:30:42
正当な論評,政府批判封じにつながるような形での規制はさせないように,各方面にアピールし,意見を述べ続けるしかないですよね。



例えば,名誉毀損やプライバシー侵害については,現状の司法制度の問題点を改善する方向で検討すれば足りるのではないか,とか,公人に対する言論を封殺するようなガイドラインは絶対に認められない,とか…。
Unknown (田中大也)
2006-07-02 19:41:35
TBありがとうございます。近年、ものすごい勢いで、民主主義が損なわれている気がするのは、気のせいではないはずです。批判の声を集中させていきたいと思います。



今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
裁判員制度批判は・・・ (高野 善通)
2006-07-02 21:05:10
 裁判員制度批判の私のサイトがフィルタリングにかかったケースがあったと聞きました。

 裁判員制度批判などは、真っ先に「違法でないが有害な」サイトとして権力者に扱われる危険性を感じています。
意見は言いたいが (飯大蔵)
2006-07-02 21:55:15
お邪魔します。

某サイトで私のブログは「アカ市民」認定されています。

意見を言うには住所氏名が必須です。今度は政府に認定されそうです。

意見募集とは賛成意見募集と等しいと思ってしまいます。

この動きを止めるには、どうすればいいのでしょうね。
実名で意見を述べることを (ヤメ蚊)
2006-07-03 06:24:33
お願いしたいですが,もちろん,匿名でも,FAXや電話で抗議し,あるいは,野党議員に反対するよう求めるなどの方法があると思います。共謀罪を止めたときのようなうねりが起きれば…。
hp@okumura-tanaka-law.com (奥村徹(大阪弁護士会))
2006-07-04 11:56:46
 プロバイダの責任については、プロバイダから見れば、民事については立法でうまく逃げた・逃げすぎたという感じですが、刑事については、立法を怠り、逃げ損ねたという感じです。その結果、民事では免責される場合でも刑事責任を問われるというような判例(東京高裁)も出ています。

 児童ポルノなんて、プロバイダ刑事責任の立法とか管理者の削除義務の内容を検討すると思いきや、「裁判例によれば、電子掲示板の管理者等が違法な情報の流通を放置したことにより刑事責任を問われるには、単に違法性を認識しながら放置しただけでは足りず、情報の流通に積極的に関与していたことが求められていると解される。ただし、どの程度の関与があれば責任を問われるかについては明らかではなく、今後の裁判例等の動向を注視する必要がある。」ですから、ちょっとかじってみたものの刑法がわからないからやめたという感じでした。あるいは、立法しちゃうと、プロバイダの監視義務が生じて煩わしいので、最初から立法するつもりがなかったような気がします。
鹿砦社も有罪となったようです… (ヤメ蚊)
2006-07-04 19:06:54
ビラ撒き事件もそうですが,表現の自由の分野で民事で損害賠償が認められそうもない事案で有罪となる現象,刑事と民事の逆転現象は,目に余るものがありますね。

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