情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

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民主主義に対する司法の攻撃~日本は検察・裁判所連合、米国は最高裁

2010-01-26 06:14:07 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 小沢問題などで、日本では企業献金の禁止が本格的に検討されるのではないか、と期待される一方、米国では、21日、連邦最高裁が、【企業や団体が選挙広告などの費用を出すことを制限している連邦法は、言論の自由を保障する憲法に違反するとの判決を下した。】この判決は、【公職選挙における大企業の影響を制限する近年の流れを覆すもので、11月に行われる中間選挙にも影響が出るとみられる】という(http://mainichi.jp/select/world/news/20100122k0000e030052000c.html)。

 この判決に対して、オバマ大統領は、【「最高裁の判決は特定の利益を目的とした資金が政治になだれ込むことを認めるものだ。小規模な献金で候補者を支える平均的な米国人の影響力をそぐものだ」と強調。「議会指導部と党派を超えて、この判決に対する有効な対応策を考えていきたい」と呼びかけた】という(同上)。

 この最高裁判決についてあまり報道されていないが、どういう感想をお持ちですか。まずは、日本と米国で逆の方向に動いていることは興味深いですよね。でも、本当に逆の動きなんでしょうか。オバマ政権を誕生させたのは、ネットによる情報交換・ネットによる献金によって力を発揮した市民の力だった。今回の最高裁判決は、巨大資本が自由に政治に関与することを可能とするものであり、直近の大統領選挙で示された市民が大統領を選ぶという民意を踏みにじるものといえる。

 そう、実は、この判決は、どの国でも、いわゆる従来の支配層が民主主義によってその特権を奪われようとした際に、民主主義以外の方法によって、特権を奪い返そうとするものだという共通的な事実を示すものだ。

 日本では、民意によってなされた政権交代が、検察の不当捜査及びそれを許す裁判所によって、覆されようとしている。民主党が実績を積む前に自民党政権に戻そうという意図がひしひしと感じられる。

 米国では、小口献金による政権奪取を行った民主党を上回る政治資金を共和党に得させるために、最高裁が今回、企業献金の全面解禁を認める判決を下した。

 NPJ(News for the People in Japan)の前事務局長で現在、米国留学中の田場暁生弁護士がNPJに寄稿した【「企業の政治献金を表現の自由として最大限保障?」─米最高裁判所政治資金(広告)規制法違憲判決(2010年1月21日)を考える─】(http://www.news-pj.net/npj/npj/taba-20100123.html)では、

本件が、【保守系の団体が資金を出して制作したヒラリー・クリントンを批判する内容の映像をケーブルテレビで放映しようとしたところ、これが企業及び労働組合等の団体の資金によって 「選挙運動通信」(「明確に特定された連邦候補者に言及して、本選挙等の一定期間前に行われる放送等」 をいう)を行うことを禁止する法に該当するとして放送を禁止されたことをめぐって争われていた】ものであり、

【法そのものを違憲もしくは合憲と判断する以外の選択肢も十分にあり得た。今回問題とされた映像は法で禁止された 「選挙運動通信」 にあたらない、よって、本件に法を適用する限りにおいて憲法違反であるという手法である(適用違憲)。この手法によれば法自体を違憲とする必要はなかった。にもかかわらず、あえて多数意見が法自体を違憲としたことに、保守派の強いメッセージがうかがえる。】ことが指摘されている。

 そう、アメリカ連邦最高裁は、市民のパワーによる民主主義を企業のパワーで覆そうとしているわけだ。

 このことは、賛成した最高裁裁判官の顔ぶれをみればよくわかる。ケネディ(レーガンが選任、以下カッコ内は選任大統領)の他、ロバーツ(長官:ブッシュ・ジュニア)、アリート(ブッシュ・ジュニア)、トーマス(パパ・ブッシュ)、スカリア(レーガン)の5人、いずれも、新自由主義的な色彩が濃い大統領によって選任されている。

 これに対し、反対意見は、スティーブンス(フォード)の他、ギンズバーグ(クリントン)、ブライヤー(クリントン)、ソトマイヨール(オバマ)であり、民主党もしくは共和党でもリベラルなイメージがあるフォードによって選任された裁判官によってなされた。
 
 そう、どの国でも、民主主義が力を発揮しようとしたとき、民主的でないことによって利益を得てきたものは、あらゆる手段でそれをひっくり返そうとする。立法、行政、司法の3つの権力のうち、民主主義でひっくり返すことができるのは、立法(米国では行政も国民の直接選挙によって選択されるので、行政も)だ。そこで、残る行政、司法(米国では司法のみ)が立法に挑む形となりうる。

 日米では、まさに、その理論的な予測の範囲での、熾烈な覇権争いが生じているといってよいだろう。日本では、官僚(今回は検察。もちろん、ほかの部署での抵抗もある)と裁判所(裁判所は意図的ではないかもしれないが…)が、民主党を刑事手続きなどによって追い詰めようとし、米国では、連邦最高裁が民主党の財政的基盤を揺るがそうとしている。

 さぁ、日米の市民は、この民主主義に対する司法的クーデター(日本では検察だが、司法的という評価は可能だろう)に対し、いかなる意思表明をするのか。

 両国の市民に民主主義を支える性根があるかどうかが問われている。
  
◆ニューズウィーク日本版も必見→http://newsweekjapan.jp/stories/us/2010/01/post-939.php
 




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