情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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法務省の共謀罪反論HPは説明義務を果たしていない

2006-10-07 10:55:24 | 共謀罪
先日,法務省が共謀罪に関する日弁連意見書や各紙の記事に対する反論をHPに掲載したことをお伝えしたが,紹介しっぱなしで終わって誤解を生むと困るので,少しばかり,法務省に横から「再反論」をしておきます。

◆たとえば,法務省は
【その当時の案文に基づく犯罪化を行うことは我が国の法的原則と相容れない旨の意見を述べるとともに、共謀罪については、「組織的な犯罪集団が関与するもの」という要件を加えるべきこと、参加罪については、特定の犯罪行為と参加する行為の結び付きを要件とした、それまでの参加罪とは別の類型の参加罪の規定を設けることなどを提案しました。】(法務省HP)
という。

しかし,すでに紹介したように,法務省が提案したのは,その二つだけではな~い。


法務省は,
【5 3条1項(b)は,参加罪という概念を導入するものである。上述したとおり,参加罪という概念は,各国の国内法の基本原則と密接に関連する。例えば,日本の国内法の原則では,犯罪は既遂か未遂段階に至って初めて処罰されるのであり,共謀や参加については,特に重大な犯罪に限定して処罰される。したがって,すべての重大な犯罪について,共謀罪や参加罪を導入することは日本の法原則になじまない。しかも,日本の法律は,具体的犯罪を実行しないである犯罪組織に参加すること自体を犯罪化する規定を有していない。それゆえ,参加行為の犯罪化を実現するためには,国内法システムの基本原則の範囲内で実現化するほかない。】

【6 そこで,日本は,3条の1項(a)と(b)の間に,「国内法の基本原則に従って」というフレーズを加えることを提案する】

という提案をし(「朝日・東京新聞の共謀罪スクープに関する解説~その2」←クリック参照),実際に,条約には,この「国内法の基本原則に従って」というフレーズが加えられたのである。

「国内法の基本原則に従って」というのはどう読んでも「国内法の基本原則の範囲内で」としか読み取れない。こういう条項はどう解されるべきなのか?そのように解されることになった経緯はどのようなものだったのか?フレーズについていかなる議論がなされたのか?日本の提案でこのフレーズが入ったのだから,そのフレーズを活かさない手はないはずだというのが普通の感覚だが,それには一切答えていない。


◆また,法務省は
【我が国の提案のうち、別の類型の参加罪の規定を設ける点については、処罰の範囲が不当に狭くなるとして各国に受け入れられませんでした。
他方、共謀罪の要件に「組織的な犯罪集団が関与するもの」という要件を加える点については、平成12年1月に開催された第7回アドホック委員会において、「国内法上求められるときは、組織的な犯罪集団が関与するという要件を付することができる」旨の規定として条約に盛り込むことが各国に受け入れられました。】(法務省HP)
という。いかにも,参加罪は変更が認められなかったが,共謀罪は変更が認められたから共謀罪を導入することにした,と言いたげである。


渇~ッ!
法務省は,共謀罪についての修正の理由を,
【(3条の1項(b)()は,「重大犯罪」を犯すことを「共謀する」ことを犯罪化するものである。ここでいう重大犯罪とは,2条の2の(b)で「長期●年以上の懲役に処せられる犯罪を構成する行為」と定義されている。この条約の範囲が組織犯罪行為に関連する要素を含まなければならない以上,そのような要素に関連させるためにこの規定は,限定されなければならない。そして,このような要素は,条約案2条1項及び3条の1項(a)に2条の2に定義された組織犯罪集団の関与する重大事件という部分に見られる)】(「朝日・東京新聞の共謀罪スクープに関する解説~その2」参照)
としていた。
つまり,この条約が組織犯罪に関連するものだから,組織犯罪集団の関与という要件が必要になるのではありませんか?という観点からの修正提案だ。これが認められることと,【我が国の法的原則と相容れない】(法務省HP)こととは関係ない。

実は,条約を我が国の法的原則と相容れるものとするための提案は,参加罪の修正の方であった。だからこそ,法務省は参加罪の修正部分について,修正理由を

【3条1項(b)の()と()は,英米法系あるいは大陸法系のシステムのいずれかに合致するものとして導入されるように考案されている。条約をさらに多くの国が受け入れられるようにするためには,世界各国のの法大系が英米法,大陸法という2つのシステムに限定されていないことから,第3のオプション,すなわち「参加して行為する」ことを犯罪化するオプションを考慮に入れなければならない)】(朝日・東京新聞の共謀罪スクープに関する解説~その2)

と説明しているのだ。

よって,共謀罪の修正が認められたから,共謀罪に乗り換えたというのは,全く不合理な説明だ。このあたりのことについても,法務省は深く説明しようとはしていない。

まだまだ,言い足りないことはあるが,今日はこの辺で…。


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6 コメント

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Unknown (あきら)
2006-10-07 12:14:24
ヤメ蚊さん

こんにちは。ところで、私とほろほろ氏とのやりとりのエントリーが見当たらないんですが、移動されましたか?
エントリーを (ヤメ蚊)
2006-10-07 15:29:12
触ることはありませんが…
Unknown (あきら)
2006-10-07 19:36:54
ヤメ蚊さんがizumiさんのベルリンの壁崩壊に関して立てられたエントリーはどこでしょう?日付を教えていただければありがたいです。
10月1日 (ヤメ蚊)
2006-10-07 19:44:08
です
Unknown (あきら)
2006-10-07 21:36:13
有難うございます。携帯からは見れなくなってますが、PCで確認しました。進展ないようです。
トラックバックありがとうございました (ハラナ・タカマサ)
2006-10-22 23:13:03
■それにしても、東京新聞・毎日新聞など以外の反応のにぶさ、傍観者的態度は解せません。

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