情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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国際刑事裁判所規定を署名・批准していない主要国は…日本はここでも米国とお揃い!

2006-10-24 21:38:19 | 有事法制関連
共謀罪とは少し問題が違うが、国際刑事裁判所をご存じの方は多いと思います。 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、同裁判所は、「国際関心事である重大な犯罪について責任ある個人を訴追・処罰し、将来同様の犯罪が繰り返されることを防止する」ものであり、現在、署名国139カ国、締約国(批准国)102カ国だという。日米は、署名も締約もしていない(下記はウィキペディアに基づく)。

条約不署名で日本が共謀してるアメリカは、そもそも、国際裁判所規程の起草段階で重要な役割を果たしたが、国際刑事裁判所は政治的に利用される虞があるとして、国際刑事裁判所に対して強硬な姿勢をとっている。これは自国軍将兵が戦闘区域での不法行為(主として非戦闘員虐殺など)により訴追される事を防ぐため、アメリカの無謬を主張するためと見られるという。これ自体、とんでもない話であり、こういうことをする米国にお前の国も共謀罪をつくれなどと言われる筋合いはない。

また、アメリカは、対ICC政策として、自国民を国際刑事裁判所に引き渡さないことを約する二国間協定(Bilateral Immunity Agreements、BIAs)の締結を各国に要請したり、安全保障理事会で国連平和維持軍(PKO)の国際刑事裁判所からの訴追免責を認める決議を2002年(決議1422)及び2003年(決議1487)に採択したりしているという。国際的なルールを個別的になし崩しにしたうえ、大国間の談合でルールを尻抜けにしてしまったわけだ。

さらに、国際刑事裁判所に対する協力を禁止し、アメリカ国民に国際刑事裁判所からの訴追免責を与える法律(The American Servicemembers' Protection Act:ASPA)を制定している。ASPAは、アメリカとBIAsを結ばない国(NATO諸国及び一部の同盟国を除く)に対する軍事援助を停止することも規定しており、これに加えて、2004年、アメリカ議会は、アメリカと二国間協定(BIAs)を締結していない国際刑事裁判所規程締約国に対する経済援助を停止するという修正案を含む2005年度予算を可決、12月8日、ブッシュ大統領がこれに署名したという。ここまでやれば、米国は何をやっても安心だぁ…。

上記国連安保理決議は、2002年と2003年には更新されたものの、2004年にイラクにおけるアメリカ軍の捕虜の取り扱いが問題となった際には、アメリカもさすがに、決議更新の提案を断念、更新されなかったらしい。

…というわけで、アメリカのこういうやり口を見ると、極端な話、国際組織犯罪防止条約を批准しないくらいのことで日本が責められる必要はまったくないってことがよくわかりますね…。そうであれば、共謀罪を新設する理由なんて全くないわけだ?!






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15 コメント

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Unknown (白片吟K氏)
2006-10-25 04:09:26
ICC規定だって国際組織犯罪防止条約と同じ問題が生じ得ますよ。



国際組織犯罪防止条約と異なり、ICC規定には留保が禁止されています。

これを批准するには、今までの国内刑事法体系にかなりの修正が必要だと言われています。

フランスなぞ、憲法の一部改正までしました。



日本もいずれ、ICC規定を批准せざるを得ないのではないかと思いますが、

その際、また今回と同じような騒動が起きると思いますよ。
共謀罪についても… (ヤメ蚊)
2006-10-25 06:08:32
というか、共謀罪についてこそ、いずれ、国際組織犯罪防止条約を批准しないといけないかもしれないけれど、いまは放っておく…という積極的ネグレクトが許されるのではないですか?アメリカみたいに、署名を撤回してもいいですしね?!



Unknown (白片吟K氏)
2006-10-25 11:33:40
・・・なんで国際組織犯罪防止条約を全部批准する、全部批准しないの、オール・オア・ナッシングの思考なのよ。

条約中の共謀の処罰を要求する規定を全部留保すればいいだけの話じゃん。
ICC規程でも留保は可能な筈ですが・・ (JNICC勝見)
2006-10-25 21:04:22
初めまして、JNICCの勝見と申します。

国際刑事裁判所の批准に関する運動に関わっております。



白片吟K氏さんの仰る「ICC規定には留保が禁止されている」という前提なんですが、条約という“総体”として留保が禁じられているか、といえばそういうことではありません。現にフランスは、批准後7年間はICCの管轄権の行使を逃れることができる留保を表明しておりますし、オーストラリアに至っては司法長官による承認のない限りオーストラリア国民を逮捕・拘留・引き渡さないことを留保より上位の宣言という形で行っております。



各国がそれぞれ、署名・批准・加入時に公式表明した留保要件については、こちらのサイトをご覧になればご確認いただけます。国連条約局の公式サイトです。全部で何カ国がこのような留保要件を公式表明したのか、その総数はあいにくまで把握しておりませんが、非常に多くの国が留保あるいは宣言によってICCの管轄権および捜査権を制限する内容の条件を提示しております。



http://untreaty.un.org/ENGLISH/bible/englishinternetbible/partI/chapterXVIII/treaty11.asp



したがって、日本がローマ規程に批准する際にも同様に日本固有の留保要件が表明される可能性はあります。



現時点では、公的立場にある人物も訴追を免責されないという条約の規定が、日本の国内法と矛盾することが問題ではないかと内閣法制局により指摘を受けております。この規定はICCにおいては「何人にも免責を認めない」という最もコアな理念なため、この規定について留保をつけることはまず考えられないとは思われますが、最終的に役人がどのような判断を行い留保要件を決定付けるかは推測しかねます。



さて、以上はあくまでICC規定の“総体”に対する留保が認められていることを示す一連の事実の列挙なのですが、ICC規程に定める犯罪要素に対する留保という、ICCの刑事裁判プロセスそのものに触れる規定については、たしかに各国が手続き法を履行できる施行法を整備することが義務付けられており、留保を行うことはできない─と考えることは可能かもしれません。しかし、実際に各国の表明を見てみると、個々の規程に対して細かく留保要件をつけていることがわかります。したがって、ICC規程はその全体および一部の双方において、留保は禁じられないと結論付けることが可能かと思われます。



長文失礼いたしました。
白片吟K氏さん (ヤメ蚊)
2006-10-25 21:28:37
もちろん、条約中の共謀の処罰を要求する規定を全部留保すればいいだけの話だと思っていますし、エントリーを読んでいただければ真意はご理解いただけるかと…。今回のエントリー及び上のコメント欄での私のコメントは、政府の言い分への皮肉です(笑)



勝見さん、丁寧にご教示いただきありがとうございます。
ヤメ蚊さんへ (JNICC勝見)
2006-10-25 21:30:03
初めまして。

本日合わせて3件TBさせていただきました。



最初のはアメリカがICCに対する反対姿勢を国際協調を柱とする対テロ戦略上の理由で軟化させていることを示す発言を示した記事とその発言が含まれる宣言へのリンク、



○2006年6月の出来事をご覧ください

http://blogs.yahoo.co.jp/jnicc_org_tk05/42125196.html



2つ目が私が個人的に総括した日本がこれまで批准できなかった理由、



○日本がこれまでICC条約に批准できなかった理由

http://blogs.yahoo.co.jp/jnicc_org_tk05/37873256.html



そして3つ目が、米国が中国という大国の台頭を念頭にASPAなどの反ICC戦略の転換を余儀なくされていることを示唆する出来事のダイジェストとなっております。



○2006年3月の出来事をご覧ください

http://blogs.yahoo.co.jp/jnicc_org_tk05/42125102.html



このように、米国はICCに対する姿勢を変えつつあり、日本は米国の当初の反ICC方針と関わりなく、日本で批准に向けて具体的にまい進しているということがおわかり頂けるかと思います。むしろ、近年の米国における反ICC姿勢の転換により、日本は積極的にICCへの批准を推進できるようになったのではないかと、私は推測している次第です。
真摯に取り組んでいらっしゃる方から (ヤメ蚊)
2006-10-25 22:07:32
すれば、とんでもない記載だったということですね。共謀罪の条約に対する政府の姿勢と比較するのにちょうどよい題材だと思ったのですが…。



時々、おじゃまして、勉強させていただきます。
共謀罪については (JNICC勝見)
2006-10-25 22:37:24
遅々として条約の精査作業が進まなかったICCに比べ、政府は非常に迅速に動いており、法律的な理論武装も各省庁が一致して展開しています。



ICCへの加盟は、国連で正式にコンセンサスを集めた国際組織犯罪防止条約への加盟に比べると、やはりプライオリティが低いと見られていたのでしょう。ICCはしょせん、911テロなどの国際的な重大な危機に瀕して進められたムーヴメントではありませんでしたから。



米国がICCに反対していたり、BIA(免責協定)戦略の推進により世界的な反ICC体制を構築しようとしていたため、日本政府としては米国の単独主義的傾向と国際協調主義との衝突により米国がどのような方針を維持するかを見極める必要があったのだと思われます。



しかしテロとの戦いなどを前にEUと真っ向から衝突するわけにもいかない米国としては、単独主義的な傾向を残しつつも、ICCなどを含めた国際法治社会の構築を目指すEUの大きな戦略に抗うことのメリットの方が低いということがわかってきたのだと思います。



日本が一気に批准に向けて進みはじめたのは、たとえばイラクのアブグレイブにおける捕虜虐待事件や、キューバ・グアンタナモ軍事基地での非人道的な裁判プロセス、そして発覚したCIAの極秘収容所の存在などにより、米国が否応なしに人道的責任や人権尊重を堅固な共通政策として掲げるEUと歩調を合わせることになってきた中で、「今だ!」とばかりに勢いをつけたからだと思います。



単に米国追従するだけが日本の外交の基本にあるのではなく、あわよくば米国を出し抜くことも考え、世界情勢を注意深く分析しているのが、現在の日本外交の姿なのかもしれません。
>JNICC勝見 (白片吟K氏)
2006-10-25 23:42:34
ウィーン条約法条約に言う「留保」じゃなくて、

解釈宣言だろ。

留保はローマ条約で禁止されているよ。

解釈宣言は明文にないから
>JNICC勝見さん (白片吟K氏)
2006-10-25 23:49:11
↑のコメントは途中送信してしまった物です。



それはウィーン条約法条約に言う「留保」じゃなくて、事実上の解釈宣言か、国内法にあわせた「変形」及びそのついでの何かなんじゃないの。

留保はローマ条約で禁止されているって書いてあったよ(参考文献を今持っていない)。

条約の実効性担保からそうなるのも不思議はないし。



あと、宣言が留保より「上位」っていうのは初耳だけど。

解釈宣言は明文にないもので、従って、留保より「上位」とは言えないと思う。
勝見さんのいう (ヤメ蚊)
2006-10-26 00:18:41
【あわよくば米国を出し抜くことも考え、世界情勢を注意深く分析しているのが、現在の日本外交の姿なのかもしれません】という点は、やはり肯定できません。

勝見さんが取り組まれている分野での関係者は、そのように思えるのかもしれませんが…。



うがった見方かもしれませんが、韓国が人権保障面で世界水準を達成しているのは、民主化を達成した市民の力も源泉ですが、そうすることによって、世界的な発言力を増すことも狙っているのではないでしょうか?
…続き… (ヤメ蚊)
2006-10-26 00:19:44
それと比較すると、日本の政策はまだまだのように思えるのです。
Unknown (白片吟K氏)
2006-10-26 00:35:47
世界情勢を注意深く分析しているっつーよりか、

風向き見てるって感じだもんな。日本は。



まあ、ICC規程も、とりあえずみんなに批准させるために、宣言っていう事実上の留保を認めざるを得ないってことは分かったよ。
白片吟K氏さんとヤメ蚊さんへ (JNICC勝見)
2006-10-26 12:47:56
>白片吟K氏さんへ



仰るように、たしかに規程上では、以下のとおり第120で留保は禁じられています。

第120条 留保 ― Article 120 Reservations

http://d.hatena.ne.jp/kazuma_002/20030609#p1



しかし併せて仰るように、各国の留保は国連に正式に記録されており「事実上の留保」は認められているのが現状です。宣言についての解釈は、私が誤っていました。とくにオーストラリア政府の「これは留保ではなく宣言である」という記述は、つまりローマ規程に配慮した形であるという表明だったんでしょうね。いずれにせよ、各国からあれだけの数の留保・宣言がなされているのですから、ICCがすべからく規程どおりに機能するかというとそういうわけにもいかないようです。



>ヤメ蚊さんへ



韓国などの準先進国級の国家が「人間の安全保障」の世界的な認知に合わせて「人権大国」を目指しているということでしたら、たしかに妥当な指摘かと思われます。



韓国はICCについてはいち早くこれに批准し、施行法の整備も進んでいますし、すでにICCに判事を送り込むことにも成功しています。弁護士のヤメ蚊さんならご存知かもしれませんが、このけん引役となったのが、MINBYUNという韓国の弁護士団体で、日本でいう日弁連に近い影響力を持つ組織のようです。このMINBYUNが先導となって政府に批准を進めた結果、在韓米軍などの存在がある手前及び腰だった政府の尻を叩き、批准に漕ぎ着けたんです。



つまり、政府主導の動きというよりは、民間の団体が韓国は「人権大国たるべし」という理想を追求してICCなどを支持して、政府を動かしている─というのが正しい見方だと思います。そこから官民一体の動きが生じて、仰るように世界に通じる人権保障水準を達成しているのでしょう。



私は個人的には、日本でもこのような動きを起こしたいと考えています。しかし、韓国と日本では政情が違いますので、簡単にそうもいきません。しかし外務省が日本外交の基本的指針として「人間の安全保障」を掲げている以上、ICCや他の人道・人権保護の動きについて、日本が将来先導的な役割を担うようになってほしいというのは、私の切願でもあります。
Unknown (self0507)
2006-10-29 16:35:09
ICC規定120条をそのまま解釈してる時点で国際法的な素人さが見えているのだが・・

現状、日本のICC批准運動は政府への間接的活動を経由しているわけだが、計画性の問題よりも認知の問題という障壁で先行きが厳しいようです。個人的には、その理想像を否定しえないのですが、国際社会のパワーハラスメンタルな秩序構成というものの効用を否定しえない人間としては、ICCよりも世界レベルでの国際法的認知度の向上が期待されるでしょう・・

間違っても、国際司法における法源に学者の学説が当たらないだという馬鹿を妄言するような人間が堂々としないような国際法理解を求めたいと思います・・

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